第一章
「やぁ、目が覚めたんだね!」
異常な状況にうろたえるテネアスのすぐそばで音が響いた。これは人間の声だ。テネアスには普段大勢の人間の声が一度に聞こえているから、一人の人間の声をこんなにはっきりと意識したのは久しぶりのことだ。
「ふふ、びっくりしているね」
声の持ち主は続けて喋りながらこちらに近づいてくる。そして間もなくその姿が視界に映った。ボサついた真っ白い髪に白衣を着こみ、目線がうかがい知れないほど分厚い眼鏡をかけた細身の若者だ。同じ人間であればあるいはわかるのかもしれないが、個の人間への意識が薄いテネアスには見た目や声から性別を推察することはできないようだった。
「円形闘技場テネアス君、これがキミの新しい姿だよ!」
人間は言いながら一枚の鏡を取り出してテネアスの視界に向けて掲げる。そこに映っていたのは、小さな人間の子供の姿であった。
異常な状況にうろたえるテネアスのすぐそばで音が響いた。これは人間の声だ。テネアスには普段大勢の人間の声が一度に聞こえているから、一人の人間の声をこんなにはっきりと意識したのは久しぶりのことだ。
「ふふ、びっくりしているね」
声の持ち主は続けて喋りながらこちらに近づいてくる。そして間もなくその姿が視界に映った。ボサついた真っ白い髪に白衣を着こみ、目線がうかがい知れないほど分厚い眼鏡をかけた細身の若者だ。同じ人間であればあるいはわかるのかもしれないが、個の人間への意識が薄いテネアスには見た目や声から性別を推察することはできないようだった。
「円形闘技場テネアス君、これがキミの新しい姿だよ!」
人間は言いながら一枚の鏡を取り出してテネアスの視界に向けて掲げる。そこに映っていたのは、小さな人間の子供の姿であった。