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第四章

 落石の痛みに一瞬気を取られて防御が遅れたロッシャは、テネアスの剣をまともに受けて膝をついた。

「運を味方につけやがって……俺の負けだ」

 ロッシャは、緊張した面持ちで臨戦態勢を解かないテネアスにそう語りかける。
 直後、ロッシャの体が光とともに元の灰色のモグラの姿に戻っていった。

「今回のところは引き上げてやるが、お前を狙う刺客はまだ他にもいることは覚えておくんだな」

 荒い息づかいで言いながら穴を掘るロッシャ。

「待ってよ、そんな様子で帰れるの? 少し休んでからの方が……」
「敵にいらん情けをかけるんじゃねえよ。お前こそ俺を捕まえなくていいのか? 俺は帰ったら博士にお前のことを報告するぜ」
「……」
「まぁこの姿でもお前の攻撃をかわして帰るくらいわけないがな。お前が研究所に連れ戻されるのを楽しみに待ってるぜ、じゃあな」

 そう言い残してロッシャが穴の中へ潜り込んでいくと、一人残されたテネアスの大きな呼吸音が一際大きく辺りに響くのであった。
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