第一章
眠りから覚めたテネアスが最初に覚えた違和感は、目に飛び込む光に太陽の暖かさが感じられないことだった。
次に、体がとても軽いこと。千年、二千年とそびえ続けた頑強な石造りのはずが、今は少し意識するだけでも動いてしまいそうなほどに軽く感じる。「ほら、このとおり」と意識してみると……本当にかつてないほど体の一部が大きく動いたのを肌で感じ取った。
そのとき、テネアスの視界に人間の手が飛び込んだ。闘士が剣を握る、観光客がパンフレットを持つ、あの人間の手だ。だが、この手は観光客のものではない。テネアスは自身にはないはずのそれを自分の意思で動かし、そして視界の中へと持って行ったのだ。
テネアスの持つかすかな違和感は決定的な異常へと姿を変えた。
次に、体がとても軽いこと。千年、二千年とそびえ続けた頑強な石造りのはずが、今は少し意識するだけでも動いてしまいそうなほどに軽く感じる。「ほら、このとおり」と意識してみると……本当にかつてないほど体の一部が大きく動いたのを肌で感じ取った。
そのとき、テネアスの視界に人間の手が飛び込んだ。闘士が剣を握る、観光客がパンフレットを持つ、あの人間の手だ。だが、この手は観光客のものではない。テネアスは自身にはないはずのそれを自分の意思で動かし、そして視界の中へと持って行ったのだ。
テネアスの持つかすかな違和感は決定的な異常へと姿を変えた。