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第三章

 セレネを抱えたまま研究所とは逆向きに進み始めたテネアスは、日が沈み始めた頃に小さな町に辿り着いた。
 暗くなりかけの時間帯だが、道にはそれなりに人通りがあり賑やかだ。

「今日はここに泊まりましょうね」
「うん」
 
 道中ちらほらと身の上や施設だった頃の話をしながら来た二人は、今では激しい戦いを繰り広げていたとは思えないほどに自然に会話している。

「話には聞いてたけど生き物になると本当にお腹が空くんだね、何か食べられるものないかな」
「そんなに多くないけどお金を持ってるから、何か買って食べましょう。鳥の姿の私には買い物できないからテネアスにお願いしたいんだけど、買い物の仕方はわかる?」
「僕の中でも食べ物とか売られてたから分かるよ、任せて!」

 昔から人間たちがおいしそうに食事をする姿を見てきて、食事というものに憧れのあったテネアスは足取りも軽やかに通りを進んでいった。
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