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第二章

 思いもよらぬ言葉。テネアスはセレネの顔を見て聞き返す。
 
「あの博士が待ってるんじゃないの?」
「私はもともと使われなくなった飛行場で、ストーク博士の施設生体化マシンの実験で鳥の姿になったの。最初の頃は博士を遠くまで運んだりで重宝してもらってたんだけど、最近は他にも生体化した子たちの力を使って大人数を運べる飛行艇を完成させてね……」
「……うん」
「もう、私のことは元の飛行場跡に戻すって話も出てたんだ。あなたを捕まえる手柄を立てられたらもしかしたら……って思ってたけど、この有様だからもう望みはないかなって……」

 悲しそうに呟くセレネに、テネアスは少し責任を感じて言葉に詰まる。
 
「いらなくなった私を一時でも必要としてくれた恩もあるし、戻すのなら素直に受け入れようと思ってたけど……そっかあなたのような生き方もあるのよね」

 妙に納得したようなセレネの声。少しの沈黙の後、「よかったら僕と一緒に来ない?」と「私もあなたの旅に加えて貰えないかしら」という言葉が同時に響いたのであった。
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