第三話
夢小説設定
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「なまえ、今日はお寺にお供えのお団子持ってってちょうだい」
「はーい」
母さんにそう言われて私は団子を受け取って家を出た。
お寺までの道を歩きながらこの間のことを思い出す。
あの時の三郎さんかっこよかったなぁ…
細く見えるけどあんな大男をいとも簡単にのしていた。
謎は多いけど、本当に素敵な人。
お礼、お出かけしようなんて、本当にそんなことでいいのかな…。むしろ気を遣わしてしまって申し訳なかったかな。
でも、三郎さんとお出かけ楽しいだろうな…。
2人でお出かけしようってことは、三郎さんは奥さんとかいないのかな。
あんなにかっこよくて話上手ならモテそうだけど。
って、何考えてんだ私!
関係ない関係ない、そもそも顔と名前以外はなんにも知らないのに…。
これはあれ、吊り橋効果的な。あの助けてもらった瞬間がかっこよすぎたのがいけない。
好きじゃない、好きじゃない。いや、お客さんとしては好きだけどね!
はあ、何考えてんだ、わたし。
そんなことを考えてるとちょうどお寺についた。
「こんにちはー」
私は奥に向かって声をかけた。
すると中からこちらに向かってくる足音が聞こえる。
「おぉ、なまえか!
どうぞ上がりなさい。」
奥から和尚さんが出てきた。
「はい、ありがとうございます。」
私はにこりと微笑んでお寺に上がる。
「これ、お団子です。」
私は母さんに渡された団子を和尚さんに渡す。
「おぉ、こりゃありがたい。
いつも悪いねぇ
そこに座りなさい、すこし話でもしよう」
そう言って和尚さんは団子を供えて、私にはお茶を出してくれた。
「いやはや、なまえも今年で15、君があの家族に引き取られてもう10年も経ったとは、時がたつのは早いのう」
「そうですね、ほんとうに。」
和尚さんが遠い目をする。
そう、私は5歳までここで育ち、その後今の父さんと母さんに引き取られたのだ。
「今でも昨日のことのように覚えているぞ、あの日、君が訪れたときのことを。」
物心がついた時には私はこのお寺で生活していた。
私はここに来たまでの経緯はまったく覚えていないし、実の母のことも何も知らない。
5歳の頃、ちょうどこの近くに団子屋を始めた両親に私はえらくなついた。
そこで子供ができずに悩んでいた今の両親は私を育てるために引き取ったのだ。
それから2年後の私が7歳のときに、母さんは新しい命を授かった。弟だ。
それでも二人は私のことをそれまで通り、それまで以上に愛情深く育ててくれた。
私は今の家族を愛しているし、感謝しかない。
一生をかけて親孝行していかなければと思っている。
「…私の訪れた日ですか?」
「あぁ、君も今年で15。もう、真実を知ってもいいだろう。」
私は自分がここに来た日を知らない。
気がついたらここにいたから、てっきり赤ちゃんの頃にここに捨てられたもんだと思っていた。
「あれは君が1歳になった頃だろうか、君のお母さんが君を胸に抱いてここを訪れた。
彼女はどうしようもない怪我をしていた。」
「怪我…ですか?
何故?」
私は初めて聞く話にたじろぐ。
「…戦だ。
彼女は大怪我を負いながら三日三晩、命からがら山を超えて逃げてきたのだ。」
「戦…ですか…」
「そして君を托してここで、命尽きた。
その戦はクロトマヤタケモドキ城と今はない城との戦いだった。」
私の額に汗が流れ落ちる。
ここで、本当の母が死んだ…。
その事実をまだ飲み込めない。
クロトマヤタケモドキ城…聞いたことがある。
とても戦が強くて有名な城だ。
和尚さん今まで以上に緊張した面持ちで、口を開いた。
「なまえ、君の父君は、忍者だ。」
その瞬間時が止まったのように感じた。
どれくらいの沈黙が流れたかわからない。
先に口を開いたのは私だった。
「忍者…ですか…?」
「そうだ、そしてその戦で相手の国の忍者の手によって…」
その沈黙は容易に父の最期を想像させた。
「そう…だったんですね。」
まだ頭がついていかない。
実の両親の存在、そして死。
すべてが突然過ぎて頭が空っぽになる。
「なまえ、何も気にすることはない。
ただ、私は知ってほしかった。
君の実の母は君を愛していたということを。それだけじゃ。
君はこれからも元気で過ごしなさい。それが一番の私の望みだよ。」
和尚さんがそう言ってくれる。
私は実母に、いや、実の両親に愛されていた。
今まで全く興味も情もなかった。でも、今はひどくそれに罪悪感を覚えてしまう。
頭の中がぐるぐると回る。
「すこし、頭を冷やしてから帰ってもいいですか?」
一度落ち着きたかった、こんな気持ちでどんな顔をして両親に顔を合わせるべきかわからない。
「もちろんじゃ、好きなだけいなさい」
「ありがとうございます。」
ただひとつ言えるのは、私はこれからも今の両親を大切にしていこう。片時も離れずに。それだけだ。
「はーい」
母さんにそう言われて私は団子を受け取って家を出た。
お寺までの道を歩きながらこの間のことを思い出す。
あの時の三郎さんかっこよかったなぁ…
細く見えるけどあんな大男をいとも簡単にのしていた。
謎は多いけど、本当に素敵な人。
お礼、お出かけしようなんて、本当にそんなことでいいのかな…。むしろ気を遣わしてしまって申し訳なかったかな。
でも、三郎さんとお出かけ楽しいだろうな…。
2人でお出かけしようってことは、三郎さんは奥さんとかいないのかな。
あんなにかっこよくて話上手ならモテそうだけど。
って、何考えてんだ私!
関係ない関係ない、そもそも顔と名前以外はなんにも知らないのに…。
これはあれ、吊り橋効果的な。あの助けてもらった瞬間がかっこよすぎたのがいけない。
好きじゃない、好きじゃない。いや、お客さんとしては好きだけどね!
はあ、何考えてんだ、わたし。
そんなことを考えてるとちょうどお寺についた。
「こんにちはー」
私は奥に向かって声をかけた。
すると中からこちらに向かってくる足音が聞こえる。
「おぉ、なまえか!
どうぞ上がりなさい。」
奥から和尚さんが出てきた。
「はい、ありがとうございます。」
私はにこりと微笑んでお寺に上がる。
「これ、お団子です。」
私は母さんに渡された団子を和尚さんに渡す。
「おぉ、こりゃありがたい。
いつも悪いねぇ
そこに座りなさい、すこし話でもしよう」
そう言って和尚さんは団子を供えて、私にはお茶を出してくれた。
「いやはや、なまえも今年で15、君があの家族に引き取られてもう10年も経ったとは、時がたつのは早いのう」
「そうですね、ほんとうに。」
和尚さんが遠い目をする。
そう、私は5歳までここで育ち、その後今の父さんと母さんに引き取られたのだ。
「今でも昨日のことのように覚えているぞ、あの日、君が訪れたときのことを。」
物心がついた時には私はこのお寺で生活していた。
私はここに来たまでの経緯はまったく覚えていないし、実の母のことも何も知らない。
5歳の頃、ちょうどこの近くに団子屋を始めた両親に私はえらくなついた。
そこで子供ができずに悩んでいた今の両親は私を育てるために引き取ったのだ。
それから2年後の私が7歳のときに、母さんは新しい命を授かった。弟だ。
それでも二人は私のことをそれまで通り、それまで以上に愛情深く育ててくれた。
私は今の家族を愛しているし、感謝しかない。
一生をかけて親孝行していかなければと思っている。
「…私の訪れた日ですか?」
「あぁ、君も今年で15。もう、真実を知ってもいいだろう。」
私は自分がここに来た日を知らない。
気がついたらここにいたから、てっきり赤ちゃんの頃にここに捨てられたもんだと思っていた。
「あれは君が1歳になった頃だろうか、君のお母さんが君を胸に抱いてここを訪れた。
彼女はどうしようもない怪我をしていた。」
「怪我…ですか?
何故?」
私は初めて聞く話にたじろぐ。
「…戦だ。
彼女は大怪我を負いながら三日三晩、命からがら山を超えて逃げてきたのだ。」
「戦…ですか…」
「そして君を托してここで、命尽きた。
その戦はクロトマヤタケモドキ城と今はない城との戦いだった。」
私の額に汗が流れ落ちる。
ここで、本当の母が死んだ…。
その事実をまだ飲み込めない。
クロトマヤタケモドキ城…聞いたことがある。
とても戦が強くて有名な城だ。
和尚さん今まで以上に緊張した面持ちで、口を開いた。
「なまえ、君の父君は、忍者だ。」
その瞬間時が止まったのように感じた。
どれくらいの沈黙が流れたかわからない。
先に口を開いたのは私だった。
「忍者…ですか…?」
「そうだ、そしてその戦で相手の国の忍者の手によって…」
その沈黙は容易に父の最期を想像させた。
「そう…だったんですね。」
まだ頭がついていかない。
実の両親の存在、そして死。
すべてが突然過ぎて頭が空っぽになる。
「なまえ、何も気にすることはない。
ただ、私は知ってほしかった。
君の実の母は君を愛していたということを。それだけじゃ。
君はこれからも元気で過ごしなさい。それが一番の私の望みだよ。」
和尚さんがそう言ってくれる。
私は実母に、いや、実の両親に愛されていた。
今まで全く興味も情もなかった。でも、今はひどくそれに罪悪感を覚えてしまう。
頭の中がぐるぐると回る。
「すこし、頭を冷やしてから帰ってもいいですか?」
一度落ち着きたかった、こんな気持ちでどんな顔をして両親に顔を合わせるべきかわからない。
「もちろんじゃ、好きなだけいなさい」
「ありがとうございます。」
ただひとつ言えるのは、私はこれからも今の両親を大切にしていこう。片時も離れずに。それだけだ。