第二話
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「ふーっ」
私は1つ息を吐いた。
やっと買い物が終わったからだ。
なんとか日があるうちに帰れそう!
私は胸をなで下ろして帰宅路についた。
この時間ならいつも山道を歩いて帰ってる。
それに慣れてしまった私は魚屋のおじさんの忠告をすっかり忘れて山道の方に向かった。
荷物も重いし早く帰ろう。
そう思って、少し早足で山道を進んだ。
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「姉ちゃん、荷物重そうだね、手伝おうか?」
山道を歩いて少しだった頃、後ろから突然声をかけられた。
親切な人だろうか、
私が振り返るとそこには見るからにガラのわるそうな男が3人立っていた。
その姿は見るからにさっき話してた山賊そのものだ。
「いえ、大丈夫です…。」
やばい…そう思った私はすぐに踵を返し、すぐさま前を向いてさっきとは比べられないほど早足で歩き出す。
怖い。
すると突然後ろから腕をグイっと掴れる。
音を立てて腕に持ってたものが道に落ちた、私の腕をつかむ手の力強さに私の恐怖心は増す。
「そう言わずにさぁ」
男はニヤニヤと汚い顔でこちらを舐めるように見る。
「っ、本当に大丈夫ですから。」
私は必死に腕を引っ張るがビクともしない…
それどころかどんどん強くなっていく。
山賊はおもむろに空いてる片手で私の顎をつかむ。
「ふーん、可愛い顔してるな
せっかくだしこいつごと連れてくか」
途端に私の頭の中は真っ白になる。
逃げなきゃ、そう分かってるのに解けない腕と恐怖で足が動かない。
山賊に攫われることがどういう事かなんてさすがの私でも容易に想像できる。
咄嗟に声を出そうにも呼吸も乱れて声も出せない。
怖い。
こんなに強い恐怖を感じたのは生まれて初めてだった。
「おめーらは荷物を持て、俺はこの女を抱えていく!」
そう言うとその男は無理やり私を持ち上げようとした。
私は必死でできるだけ抱えづらいように体に力をいれて抵抗した。
なんて無力なのか…
恐怖で顔は青白く汗はびっしょりだ。
私の態度が気に入らなかったのか山賊の男は機嫌悪く声を荒らげる。
「抵抗するのか?
生意気だなぁ!」
そして私に向かって拳を振り上げた、私は恐怖で目を強く強く瞑った。
…
しかしその痛みはいつまで経ってもやってこなかった。
むしろ掴まれてる腕の力は次第に弱くなっていく。
なにごと?
私は閉じていた目を少しづつ開ける。
するとそこには振りかざした拳を抑えられた山賊と自分の身の丈よりも何尺も大きい男の拳を抑える三郎さんの姿があった。
「さっ…」
私は咄嗟に名前を言いそうになったが、口を噤んだ。
三郎さんがどんな仕事をしているのか分からないのに、気軽に見知らぬ山賊の前で名前を呼ぶことはできないと思った。
「てめぇ、どういうつもりだ」
山賊は声を荒らげる。
自分が明らかに劣っているとは、体躯の差からか認められないのだろう。
「どういうつもりもこういうつもりも、その汚い手で触られているお嬢さんが可哀想だったんでね、」
そう言って相手を煽ってニヤリと笑う三郎さん。
「なんだとテメェ!!」
そう叫ぶと私を掴んでいた手を離した。
突然離された私は後ろに尻餅をついた。
「お嬢さん、離れてな」
三郎さんがそう言う、私はそれに従って少し離れる。
山賊は空いた手で三郎さんを殴ろうとするが、三郎さんは山賊の片手を抑えたまま軽快にその拳を避ける。
「なんだ、この程度か。」
三郎さんがニヤリと笑う。
なんだか私の知ってる三郎さんとは別人だ。
「なんだと…!
お前ら、加勢しろ!」
そう山賊がいうと2人の仲間の山賊も三郎さんに攻撃する。
「おっと、よっと、」
そんな呑気な声で三郎さんは3人からの攻撃を余裕でかわす。
格が違う。まさにそういう感じだ。
「お遊びはもういいだろ」
そう言うと三郎さんは腕を掴んでいる1番の大男を背負飛ばした。
受け身をできなかったその男は動けそうにない。
「ほら、こいよ」
三郎さんはほかの2人にそう言うが、相手は今までの攻撃で、歯が立つ相手ではないことを察し、攻撃するのを躊躇っているようだ。
「やれやれ、今なら逃がしてやるよ
帰って一番偉いやつに伝えな、すぐに山を変えろ。ってね」
そう三郎さんがいうと2人の山賊は血相を変えて逃げていった。
三郎さんはそれを見届けてから倒れている山賊の元へ行く。
「あんたも見捨てられて可哀想に、ま、調子に乗ってた罰だな。
目が覚めたら急いで山賊のところに戻りな」
そう言って三郎さんは山賊の首を軽く打って気絶させた。
そして立ち上がってこちらに向き直す。
「なまえちゃん、大丈夫だった?」
そう言う三郎さんの声はいつも通りで少し安心した。
「はい、お陰様で怪我もなく」
私は咄嗟にそう返した。
「そうじゃなくて、怖かったでしょ」
そう言われて私は自分の手足の震えに気づく。
あれ、手汗もすごい。
私、自分で思ってた以上に怖かったんだ。
そう自覚すると今まで大丈夫だったのに、ポタリと涙が溢れた。
「ごめんなさ、安心しちゃって…」
私はそう言いながら涙を拭うが一方に落ち着かない。
すると三郎さんが手を広げた。
「大丈夫だから、おいで」
私は咄嗟に三郎さんの胸に飛び込んだ。
人肌に安心したのか震えが徐々に収まってきたのがわかる。
数分間、私たちはそのままの体制でいて、落ち着いてきて私から体を離した。
「本当にありがとうございました。」
私はそう言って深々と頭を下げた。
なんたって命の恩人に等しい。三郎さんが来てくれなかったらどうなっていたことか…。
「いや、本当に良かったよ。
団子を食べに行ったら、おつかいというし嫌な予感がして来てみたら当たったみたいだ。」
なるほど、なんで三郎さんがこんなところにと思ったけど、そういうことだったのか。
「そうだったんですね、本当にありがとうございます。
どうお礼したらいいか…」
私がそう言うと三郎さんは困った顔をした。
「礼なんていいよ、それよりも今後は人気が少ない道を1人で歩かないようにね」
三郎さんはそういうが、私がそれでは気が済まない。
「いえ、そういう訳には…
何か私に出来ることは無いですか?」
私がそう言うと三郎さんが腕を組んで少し考える動作をする。
「うーん、そうだなぁ…
じゃあ、今度違う町に一緒にお出かけしよう。というのはどうだろうか?」
「へっ!そ、そんなことでいいんですか?」
三郎さんの提案に私は驚いた。
それのどこがお礼なのか…
「いいんだよ、私もひとりで町にいることが多いし、たまには…ね
いい息抜きになるさ」
三郎さんがそうふわりと笑う。
なんだか安心する笑みだ。
「そうですか、私でよければお供させてください。
お出かけ、楽しいものにしましょうね!」
私がそう言うと三郎さんは嬉しげに微笑む。
「あぁ、そうだね。
さぁ、帰ろうか。」
三郎さんはそう言って私の荷物を持ってくれる。
気がつくと綺麗な夕日がさしていて、さっきのことが嘘のように穏やかな気持ちで私たちは帰路についたのだった。
「ふーっ」
私は1つ息を吐いた。
やっと買い物が終わったからだ。
なんとか日があるうちに帰れそう!
私は胸をなで下ろして帰宅路についた。
この時間ならいつも山道を歩いて帰ってる。
それに慣れてしまった私は魚屋のおじさんの忠告をすっかり忘れて山道の方に向かった。
荷物も重いし早く帰ろう。
そう思って、少し早足で山道を進んだ。
-----------
「姉ちゃん、荷物重そうだね、手伝おうか?」
山道を歩いて少しだった頃、後ろから突然声をかけられた。
親切な人だろうか、
私が振り返るとそこには見るからにガラのわるそうな男が3人立っていた。
その姿は見るからにさっき話してた山賊そのものだ。
「いえ、大丈夫です…。」
やばい…そう思った私はすぐに踵を返し、すぐさま前を向いてさっきとは比べられないほど早足で歩き出す。
怖い。
すると突然後ろから腕をグイっと掴れる。
音を立てて腕に持ってたものが道に落ちた、私の腕をつかむ手の力強さに私の恐怖心は増す。
「そう言わずにさぁ」
男はニヤニヤと汚い顔でこちらを舐めるように見る。
「っ、本当に大丈夫ですから。」
私は必死に腕を引っ張るがビクともしない…
それどころかどんどん強くなっていく。
山賊はおもむろに空いてる片手で私の顎をつかむ。
「ふーん、可愛い顔してるな
せっかくだしこいつごと連れてくか」
途端に私の頭の中は真っ白になる。
逃げなきゃ、そう分かってるのに解けない腕と恐怖で足が動かない。
山賊に攫われることがどういう事かなんてさすがの私でも容易に想像できる。
咄嗟に声を出そうにも呼吸も乱れて声も出せない。
怖い。
こんなに強い恐怖を感じたのは生まれて初めてだった。
「おめーらは荷物を持て、俺はこの女を抱えていく!」
そう言うとその男は無理やり私を持ち上げようとした。
私は必死でできるだけ抱えづらいように体に力をいれて抵抗した。
なんて無力なのか…
恐怖で顔は青白く汗はびっしょりだ。
私の態度が気に入らなかったのか山賊の男は機嫌悪く声を荒らげる。
「抵抗するのか?
生意気だなぁ!」
そして私に向かって拳を振り上げた、私は恐怖で目を強く強く瞑った。
…
しかしその痛みはいつまで経ってもやってこなかった。
むしろ掴まれてる腕の力は次第に弱くなっていく。
なにごと?
私は閉じていた目を少しづつ開ける。
するとそこには振りかざした拳を抑えられた山賊と自分の身の丈よりも何尺も大きい男の拳を抑える三郎さんの姿があった。
「さっ…」
私は咄嗟に名前を言いそうになったが、口を噤んだ。
三郎さんがどんな仕事をしているのか分からないのに、気軽に見知らぬ山賊の前で名前を呼ぶことはできないと思った。
「てめぇ、どういうつもりだ」
山賊は声を荒らげる。
自分が明らかに劣っているとは、体躯の差からか認められないのだろう。
「どういうつもりもこういうつもりも、その汚い手で触られているお嬢さんが可哀想だったんでね、」
そう言って相手を煽ってニヤリと笑う三郎さん。
「なんだとテメェ!!」
そう叫ぶと私を掴んでいた手を離した。
突然離された私は後ろに尻餅をついた。
「お嬢さん、離れてな」
三郎さんがそう言う、私はそれに従って少し離れる。
山賊は空いた手で三郎さんを殴ろうとするが、三郎さんは山賊の片手を抑えたまま軽快にその拳を避ける。
「なんだ、この程度か。」
三郎さんがニヤリと笑う。
なんだか私の知ってる三郎さんとは別人だ。
「なんだと…!
お前ら、加勢しろ!」
そう山賊がいうと2人の仲間の山賊も三郎さんに攻撃する。
「おっと、よっと、」
そんな呑気な声で三郎さんは3人からの攻撃を余裕でかわす。
格が違う。まさにそういう感じだ。
「お遊びはもういいだろ」
そう言うと三郎さんは腕を掴んでいる1番の大男を背負飛ばした。
受け身をできなかったその男は動けそうにない。
「ほら、こいよ」
三郎さんはほかの2人にそう言うが、相手は今までの攻撃で、歯が立つ相手ではないことを察し、攻撃するのを躊躇っているようだ。
「やれやれ、今なら逃がしてやるよ
帰って一番偉いやつに伝えな、すぐに山を変えろ。ってね」
そう三郎さんがいうと2人の山賊は血相を変えて逃げていった。
三郎さんはそれを見届けてから倒れている山賊の元へ行く。
「あんたも見捨てられて可哀想に、ま、調子に乗ってた罰だな。
目が覚めたら急いで山賊のところに戻りな」
そう言って三郎さんは山賊の首を軽く打って気絶させた。
そして立ち上がってこちらに向き直す。
「なまえちゃん、大丈夫だった?」
そう言う三郎さんの声はいつも通りで少し安心した。
「はい、お陰様で怪我もなく」
私は咄嗟にそう返した。
「そうじゃなくて、怖かったでしょ」
そう言われて私は自分の手足の震えに気づく。
あれ、手汗もすごい。
私、自分で思ってた以上に怖かったんだ。
そう自覚すると今まで大丈夫だったのに、ポタリと涙が溢れた。
「ごめんなさ、安心しちゃって…」
私はそう言いながら涙を拭うが一方に落ち着かない。
すると三郎さんが手を広げた。
「大丈夫だから、おいで」
私は咄嗟に三郎さんの胸に飛び込んだ。
人肌に安心したのか震えが徐々に収まってきたのがわかる。
数分間、私たちはそのままの体制でいて、落ち着いてきて私から体を離した。
「本当にありがとうございました。」
私はそう言って深々と頭を下げた。
なんたって命の恩人に等しい。三郎さんが来てくれなかったらどうなっていたことか…。
「いや、本当に良かったよ。
団子を食べに行ったら、おつかいというし嫌な予感がして来てみたら当たったみたいだ。」
なるほど、なんで三郎さんがこんなところにと思ったけど、そういうことだったのか。
「そうだったんですね、本当にありがとうございます。
どうお礼したらいいか…」
私がそう言うと三郎さんは困った顔をした。
「礼なんていいよ、それよりも今後は人気が少ない道を1人で歩かないようにね」
三郎さんはそういうが、私がそれでは気が済まない。
「いえ、そういう訳には…
何か私に出来ることは無いですか?」
私がそう言うと三郎さんが腕を組んで少し考える動作をする。
「うーん、そうだなぁ…
じゃあ、今度違う町に一緒にお出かけしよう。というのはどうだろうか?」
「へっ!そ、そんなことでいいんですか?」
三郎さんの提案に私は驚いた。
それのどこがお礼なのか…
「いいんだよ、私もひとりで町にいることが多いし、たまには…ね
いい息抜きになるさ」
三郎さんがそうふわりと笑う。
なんだか安心する笑みだ。
「そうですか、私でよければお供させてください。
お出かけ、楽しいものにしましょうね!」
私がそう言うと三郎さんは嬉しげに微笑む。
「あぁ、そうだね。
さぁ、帰ろうか。」
三郎さんはそう言って私の荷物を持ってくれる。
気がつくと綺麗な夕日がさしていて、さっきのことが嘘のように穏やかな気持ちで私たちは帰路についたのだった。