「いらっしゃいませー」

「団子を５本頼むよ
ここで食べていっていいかい？」

「もちろんです！
お茶もお出ししますね。
どうぞおかけになってください」

そういうとお客さんは勧めた席に座った。
今日は暖かく天気もいい。抜けるような青空は絶好の団子日和だ。

「しかし、去年この道を通ったときは団子屋なんてあったかねぇ。
新しくできたのかい？」

「はい！
数か月前に移転してきたんです」

お客さんにこえをかけられて私はそう言ってニッコリと微笑んだ。
すると店の中からバタバタと音がする。

「だん、ん゛ん゛、団子お待ち！」

そう言って弟が団子を持って店から出てくる。最近は声変わりでなんだか声が出しづらそうだ。そういえば最近背も随分高くなったなぁ。

「ありがとう、坊主。
ん？お嬢さんもしかして妊婦さんかい？」

そう言ってお客さんが私の膨らんだお腹を見る。

「はい、そうなんです」

私は笑顔でそう返した。自分のお腹を撫でると、いとおしい気持ちがあふれる。

「なんだい、めでたいね！
今日ここに立ち寄ったのも何かの縁だ。一緒に座って団子を食べようじゃないか」

お客さんは笑顔でそう提案してくれた。

「いいんですか？」

「もちろんさ」

その返事を聞いて、中を確認したら父さんがうなずいた。

「じゃあお隣失礼します」

そういって私はそのお客さんの隣に腰かけた。
なんだか懐かしい気持ちになった。