和尚さんはここじゃあなんだからと、私と突然現れた男の人を隣の部屋に移動させた。自然と私とその男の人は向かい合って座る。和尚さんは私の後ろに座ってくれた。

その男の人は、忍者の服に灰色のごわついた髪をしていた。

｢オホン、俺の名前は竹谷八左ヱ門。
三郎、雷蔵、兵助、勘右衛門の旧友だ｣

｢は、はじめまして、なまえです｣

竹谷八左ヱ門と名乗ったその男性に私はペコリと頭を下げた。彼も優しく会釈を返してくれる。

｢今回の件、雷蔵から話は聞いてるよ。
俺はちょうど忍務で近くの町から帰るところだったんだ。それで、何か不測の事態がないか心配になって寄ってみたらこの事態。本当に来てよかった｣

｢そう、だったんですね｣

駆けつけてくれた竹谷さんにも、伝えておいてくれた不破さんにも感謝だ。三郎さんはお友達に愛されてるんだなぁと実感する。

｢安心してくれ。三郎の意識が戻ったら俺が雷蔵のところまで三郎となまえちゃん、君を必ず届ける。大船に乗ったつもりでいてくれ！｣

｢ありがとう、ございます。｣

私はそう言って深々と頭を下げた。

｢君もなまえも、彼が起きるまで少し休みなさい。
あと数時間は意識も戻らんじゃろう。｣

私と竹谷さんは頷いて各々少し休むことにした。私が寝不足なように、竹谷さんも仕事後にそのまま来たようで疲れている様子だった。