第六話
夢小説設定
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朝目覚めると三郎さんの姿はなかった。
手の温もりがなんだかまだ残ってる気がする。
三郎さん、昨晩なんで私のことを抱きしめたりしたんだろう。
可哀想だったから?それとも…
なんて、都合が良すぎるんだろうか。
諦めが悪いなぁ。あんまり、執着するタイプの人間じゃないと自分のことを思ってたんだけど。
「おはよう、なまえちゃん。」
戸の向こう側から三郎さんの声がする。
「は、はい、三郎さん!おはようございます!」
「渡したい物があるから、少しいいかな?」
まだ寝巻きなので恥ずかしいけど、昨日の夜あれだけの醜態を晒したんだから今更だよね。
「まだ寝間着ですけど、それで良ければ…どうぞ」
私がそう言うと三郎さんはじゃあ失礼するよ、と一言言って部屋に入ってきた。
「昨日はご迷惑をお掛けしました…」
私がそう言うと三郎さんは困ったように笑った。
「落ち着いたなら良かったよ。」
そういう三郎さんの顔はなんとも言えない複雑な表情で、どう思ってるのか本質的なところはわからなかった。
そして、さて!と手を一つ叩いて、表情を一変して明るい顔をした。
「着替えてなくてちょうど良かった!
これ、よかったら貰ってよ」
そう言って三郎さんは何かを差し出してきた。
それは小袖だった。
「え、これ!」
「昨日欲しそうだったから買っておいたんだ。
渡すタイミングを無くしちゃってね。
今回付き合ってもらったからね、そのお礼さ。」
そう、じつはそれは私が昨日欲しくて諦めた小袖だ。
「そんな、だって本当は私がお礼しないとなのに…、受け取れません…。」
今回のお出かけ、私は足ばかり引っ張っているけど、本来は三郎さんに私がお礼をしないといけないのに。
「いいから、受け取ってよ。
喜ぶところが見たいんだから。」
「へ…」
私はとたんに顔が熱くなる。
「ほら、これに着替えて!
朝ご飯ももう食べられるよ。」
三郎さんは私に小袖を強引に渡してさっさと部屋を出ていった。
だめだ、三郎さんの一挙一動に敏感になりすぎてる…。
私はいそいそと三郎さんから受け取った小袖に着替えた。
うん、やっぱり春色でかわいい。
「はぁ…」
ドキドキとなる胸を抑えてため息がこぼれた。
まさか同じように外で三郎さんも胸を抑えてるとは知らずに。