第五話
夢小説設定
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辺りが光り、雷の音が轟く。
「なまえちゃん、傷ついた顔をしていたな。」
それはそうか。 きっととても勇気をだしてくれたんだから。
私の言い方はあまりにひどい。
でも、私と彼女では生きる世界が違いすぎるから。
今日、自分の気持ちに気付いてしまった。
見て見ぬふりをしてきた気持ち。
あの赤面しているなまえちゃんの顔を見て、もう認めざるを得なかった。
私はなまえちゃんが好きだ。
だからこそ、彼女は私と一緒にいちゃいけない。
私が歩むのは忍びの道。彼女を連れて生きていく勇気なんて臆病者の私にはない。
あんなに純粋な子は私のような夜を生きる人間とは真逆の存在なんだから。
「…?なまえちゃん?」
すると隣の部屋に違和感を感じる。
何かあったら心配だ、彼女の弟とも約束したし。
隣の部屋に行く言い訳を胸に私は部屋を出て隣の部屋に向かう。
「なまえちゃん、大丈夫?」
私が声をかけても返事はない。
「…入るよ?」
私はそうひと声かけて、引き戸を引いた。
するとそこには部屋のすみで小さく座っているなまえちゃんがいた。
「なまえちゃん?」
近寄って見ると彼女は身震いしていて、呼吸が荒い。何かに怯えているようだった。
私の顔を見るとなまえちゃんが手を差し出す。
握ってくれということだろうか。
私は彼女の手を握る。
その姿があまりに弱々しくて、可哀想で、私は思わず彼女を抱きしめた。
小刻みに震える細い肩は弱々しくて、ますます私は罪悪感と愛おしさで心がえぐられる。
「…ごめんなさい、もう大丈夫です。」
少しすると彼女は落ち着いてきたようだった。
私は抱きしめていた体を離す。
手は握ったままだ。
聞くところによると雷の音でパニックに陥ってしまっていたようだ。
「知らなかったとはいえ、一人にしてごめんね。」
私がそう言うと彼女が首を横に振る。
「…私もこんなに駄目なんて知らなかったですし。」
そういう彼女の顔は複雑で、罪悪感を感じているようだった。
「一緒には寝ることはできないけど、せめて、なまえちゃんが眠るまで横で手を握っているよ。
それは嫌?」
彼女に私はそう提案した。
雷があとどれくらいで止むかわからないから、またひとりにはできない。
「そんな、悪いです…。」
「いいから、私もそのほうが安心だ。」
まだ何か言いたげだったが、私は有無を言わさずに彼女を布団に寝かせて横に座って手を握る。
「なまえちゃん、おやすみ」
私がそう言うと、小さな声でおやすみなさいとなまえちゃんがいう。
小さな手だ。
抱きしめたとき、肩の細さや体の華奢さに驚いた。
そしてひどく守りたいと思った。
はやく、私なんて到底勝ち目のない男が彼女の前に現れて私を諦めさせてくれ。
自分の胸の鼓動を聞きながら強くそう思った。
雨の音は気にならなかった。