第五話
夢小説設定
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「失恋…かぁ」
わたしは三郎さんが用意してくれた部屋で一人、うなだれた。
失恋なのかな?
往生際が悪いな、どう考えてもあれは失恋だ。
「はぁ、」
まだ何も始まってなかったのに、"他の人"なんてなぁ。
自覚と同時に即終了。
私なんかじゃ役不足だよね。
そりゃそうだよね、あれだけできる人、私なんて相手にしないよね。
それでなくても私は三郎さんの名前と顔くらいしか知らない。歳も出身も仕事も。何も知らない。
というか、そんなことも教えてくれないのに、無理に決まってたのか。
いやでもさぁ、助けてくれたり、お店に良く顔を見せてくれたり、今回みたいに町に連れ出してくれたりしたら勘違いしちゃうよなぁ。
思い出していたら、ホロリと涙が頬を伝った。
「私、そんなに好きだったのか…」
よく鈍い鈍い言われるけど、自分のことにもこんなに鈍感なんてなぁ。
雨は一向に弱まらない、三郎さんいわく、夜のうちに通り過ぎるだろうって。
実は少しだけ、雨の日の夜は苦手だ。
子供の頃から雷が怖くて、小さい頃はいつもお母さんや弟と手を握って眠った。
今も家族はみんな一緒に寝てるから、こうやって一人で雨の夜を過ごすの少し不安。
でも今更、三郎さんの部屋行けないしなぁ。
そう言って一緒の部屋がいいって言えばよかったのかなぁ。
いや。そんな虚しい夜こそ耐えられないよ。
「雷、鳴らないといいなぁ。」
わたしは自分の膝を抱きしめて、一人つぶやいた。
隣の部屋にいるのに、こんなにも遠くに三郎さんを感じるのは、きっと三郎さんと私の心の距離を感じてしまったから。