第五話
夢小説設定
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「私、一緒の部屋で大丈夫です。」
雨の音がただ響く。
三郎さんは時が止まったように目を見開いて呆然としている。
それはそうだよね。いくらなんでも私でもわかる。若い男女が同じ部屋に泊まるなんて非常識だって。でも、この状況で二つも部屋を取るのは大変だろうし、お金のことある。
でも、自分の気持ちに気付いてしまった。 三郎さんと少しでも長くいたい。せっかく一緒にいれるのに別々の部屋なんて絶対に後悔すると思う。
私、三郎さんが好きだ。
「それ、意味ちゃんとわかってる?」
三郎さんがやっと口を開く。
私はコクリと頷いた。
すると三郎さんの顔が赤く染まる。私の顔もきっと真っ赤だろう。
三郎さんのこんな顔始めて見た。
「はぁ、そういう訳にもいかないよ。
僕は君の弟くんから君を借りてきたんだ、部屋は二部屋にわけさせてくれ。」
三郎さんは少し困った顔をして、そう言った。
「そう…、ですよね。
すいません、忘れてください。」
私は思わず俯いた。
当たり前のことだけど、勇気を出した分ショックだった。
すると三郎さんが私の肩に手をぽんとのせる。
「…とびきり可愛かったから、そういう顔してそんなことを誰彼構わず言っちゃだめだよ」
「へっ!」
私は驚いて顔を上げる。
そこにはニヤリとしたいつもの三郎さんがいた。
「こ、こんなこと他の人に言いませんよ!」
「ははっ、私だけなんて光栄だな!」
もしかしたら、三郎さんは私が落ち込んでるのに気付いてこんなふうにふざけてくれてるのかもしれない。あるいは慰めてくれてる?
「でもね、私には君はもったいなすぎるから、もっと素敵な"他の人"にそう言ってあげるんだよ。」
そう言う三郎さんの瞳はどこから淋しげで、表情はとても優しかった。
私は悲しくなってまた俯いた。
雨音だけが嫌に耳について離れない。