すると女の子の方が気づいたのか私の方を鉢屋くんに指さす。

私はやばい！と思って瞬間的に走り出す。



私は急いで家に向かう。


鉢屋くんの声が聞こえた気がしたけど、それも耳に入らなかった。


今だけは顔を見ないでほしい。
嫉妬と悲しさと悔しさで今にも泣きそうなぐちゃぐちゃの顔を…。



ガチャガチャガチャ！



私は急いで、ドアを閉めて鍵をかけた。


喉がぜえぜえと鳴る。
こんなに走ったのはいつぶりだろう…。


私は自分の部屋につくなり大粒の涙を流した。


かわいい子だった。
噂通り隣の女子高の制服で、大きな赤いリボンは彼女の自信が現れていて、自分の矮小さに嫌気がさした。


「うう…」


私なんかもともと不釣り合いだったのだ…、
コミュニケーションも苦手で、地味で、抜きんでたとこも一つもなくて。
鉢屋くんはクラスの女子の人気者で優しくて友達思いで、文武両道。


あの女の子の方がお似合いなのなんて、考えなくてもわかるのに…



「なんで私、悔しいなんて、思うの…」


勝手に一番そばにいる錯覚に陥ってた。
だって、学校で私以外の女の子といるの見たことなかったんだもん、
まさか、他校なんて頭になかったから…
余裕かましてたのかなぁ…その付けが回ってきたのかなぁ…




あぁ、こんなに好きだなんて思わなかった。