「ねぇ、なまえ、鉢屋くんに彼女が出来たって噂あるけど本当なの？」


それはある日の昼下がり、人間関係の狭い私はいつも通りしおりちゃんと
一緒に次の授業の教室に移動している最中だった。


「へ？」


私は素っ頓狂な声を出す。
だってそんな話露程も聞いてない。


「なんかこの間の日曜日に鉢屋くんが女の子と二人で歩いてて、鉢屋くんの家まで入って行ったって聞いたよ？
なんでも隣町の女子高の子でさ、結構人気ある学校らしくて。
この間うちの学校の男子が合コンとかもしてたみたい…。」


「え、知らないよ？」


全くもって聞いたこともない話だった。
っていうか、そもそもあの辺といるときに恋愛の話なんてしないんだけどさ。


「あ、そうなの！
まぁ、デマの可能性高いし、そんな気にすることないわよ！」


しおりちゃんがそう言って私の肩を叩く。
しおりちゃんなりに気遣ってくれてるんだろう。



鉢屋くんに彼女…。
いや、あんなにカッコ良くて性格良くて、逆に今までいなかったのがおかしいくらいだ…。


…噂って言われても信じちゃうよ…。