最寄り駅についたころには、空は真っ暗だった。


最近2人で歩いてた夜道は１人だとやっぱり少し怖い。
待っててもらえばよかったかな…って思うけど、さすがに気が引けるし。
私は少し早足に歩く、すると…



コツコツコツ…
　コツコツコツ…



私の歩く足音とは別の足音が後ろから聞こえた。


誰かついてきてる？
いや、まさか…

私は自分に言い聞かせるように首を振って小走りで家に向かった、




コツコツコツコツ！
　コツコツコツコツ！



それでもまるっきり同じスピードで聞こえる足音…

やっぱり…、誰かついてきてる…
よし、あの曲がり角に差し掛かったら走ろう…


私はそう思って鞄を抱きしめた…。
こわい…、もし鉢屋くんがいてくれれば…




考えたってしょうがないのに…




そして、角をまがった瞬間に私は勢いよく走り始めた。
しかし後ろからも走る音がする…。


うそでしょ！追ってくるつもり？！


私は無我夢中で走ったが、もはや追いつかれるのも時間の問題だった…。


こわい！
鉢屋くん！鉢屋くん！


私は頭の中で何度もここにはいない鉢屋君の名前を呼んだ。



すると不意に横から腕をつかまれて、私は民家の陰に体を引っ張られた。



「きゃっ！や、やめっ！」



私が大声をあげようとした瞬間、口元をふさがれた。


気付いた時には私はその人の腕の中にいた。


やばい！
まさか仲間がいたなんて！


私は恐怖から固く目をつむった、…すると、聞き慣れた声がした。



「しっ、私だ、鉢屋三郎だ。」


「へ？」



そこには鉢屋くんがいた。