「おはよう、なまえちゃん」

「おはよう、鉢屋くん」


朝から本当にしつこい。
こいつの名前は鉢屋三郎。
同じ高校で隣のクラスの男子。

2か月くらい前に同じクラスの友達の勘ちゃんって男の子と二人で話してたら、話しかけられた。
二人は同じ委員会だったらしい。

うん、そこまではいいの。
問題はそのあと、鉢屋くんは私のことを気に入ってしまったらしく、そのあと執拗に声をかけてくるようになったの。

「ごめん、教室は入れないからどいてもらっていい？」

「今日も冷たいなー
私なんかした？」

「いや、べつに。」


うん、確かに彼は別に私に何かしてきたわけではない。
声をかけてくれるくらいだ。
むしろ男友達の少ない私からしたら感謝すべきくらいなんだろけど…




ただ、こう、性格が苦手なんだよね。
私がもともとの男子苦手的なの含めて、女子に声かけるのに慣れてる感じといい、チャラそうな整った見た目も、っていうかモテる人はあんまり…


「なーにやってんの！」

すると私の後ろから別の人物が声をかけてきた。

「勘ちゃん！」

そこには同じクラスの勘ちゃんこと尾浜勘右衛門。
彼は私と中学からの同級生で、ずーっと同じクラス。


「また、なまえいじめてるの、三郎」

勘ちゃんが呆れたように言う。
まぁ、二人の仲だからこそできるいじりみたいなもんだよね。

「いじめとは失礼な！
私はただなまえちゃんと仲良くなりたいだけなのに。」

「はいはい、あと3分で始業ベルなるから自分のクラスにお戻り。」

「…。
じゃあ、またな。勘右衛門、なまえ」

そう言って鉢屋くんはとぼとぼと帰っていた。