ガラガラ…

「いらっしゃいませー
こちらどうぞー」

「どうも。」

私はカウンターに座った。
ここは大学時代からよく来てたバー。
よく元カレとデート帰りに行ったもんだ。

そうそう、雷蔵に本性を表すきっかけを作ったのは元彼の利吉だったわね。そういや。


利吉は、なんつうか。

完璧？だった。

最初は正直憧れた。
私がなりたい”私”だったから。


彼は嘘つきじゃない。

本当にかっこ良くて、頭が良くて、スポーツも音楽もできて、優しくて面倒見が良かった。

でも、そんな、彼に私は自分から別れを告げた。

彼といると、どんどん自分を嫌いになったから、

結局私は彼じゃなくて、彼を通して理想の自分を見て安心してただけだったから。

付き合って3年目のことだった。

彼は必死に止めてくれたけど、私は断った。

そして彼はいま…