二人で部屋を出てしばらくこそこそ歩いてたら、喜八郎が急に走り出した。


「ちょ、喜八郎！」


はやい！はやい！はやい！
喜八郎の普段のスローリーな動きとは裏腹に走る速度はなかなか速い。

どんなに声をかけても喜八郎は返事もせずに走り続けた。

ある程度走って、裏山を抜けたところで止まった。


「ぶっ！」


私は勢い余って喜八郎の背中に顔を突っ込む。



「ふふ、大成功～」


顔をあげるとなかなか見れないくらい良い笑顔の喜八郎と、一面の桜。



「うわぁ…きれい…！」



なんかもうファンタジーみたいだった。
一面の桜に風に乗ってやってくる桜の花吹雪、落ちた花びらも一面にしかれて世界はピンクに包まれていた。


「すごい！
なにここすごい！喜八郎！」

私は興奮して喜八郎の手を強く握った…。


「こないだ穴を掘りにこの辺を散策してたら見つけてね、もうすぐ全部散ってしまうから、その前になまえを連れてきたかったんだ。」


そう言ってほほ笑む喜八郎がまた、綺麗で、後ろの桜にも引けを取らないくらい絵になっていた。




「そうか、ありがとう…。」




それから私たちはそこでお腹が減るまで二人で桜を見ながらおしゃべりをして、夕方前に滝に怒られるのを覚悟で二人で手をつないで帰ったのだった…。







…to be continued