｢しかし、いいタイミングで目が覚めてよかったな。入学式間に合うぞ！｣

そう言って食満先輩が私の頭にぽんと手を乗せました。
忘れていましたが、そうです、今日は入学式です！

｢ほんとですか、良かったです｣

私は胸を撫で下ろしました。強烈な性癖に出会ってしまったせいで忘れていましたが、今日から私の素敵学生ライフが始まるはずなんです！（出鼻はくじかれてしまいましたが…）

｢いや〜、ごめんね
新学期だからバタバタしていて｣

そう言ってさっき保健室のベッドの奥で作業をしていた保健委員長の男の先輩がこっちにやってきました。

｢こちらこそ、新学期そうそうお世話になりました。
新一年のみょうじなまえです！よろしくお願いします｣

私はそう言ってペコリと頭を下げました。

｢はじめまして、僕は保健委員長の善法寺伊作。
何かあったらいつでも保健室を使ってね
もちろん保健委員としての利用もウェルカムだよ｣

｢やめとけよ、不運になるぞ｣

｢ちょっと、やめてよ留三郎！｣

（…骨フェチ？）

二人がワチャワチャと会話をしている中、私はまたも文字を見つけてしまいました。
善法寺伊作先輩の頬にははっきり"骨フェチ"と書いてありました。

（どんな変態さんなんでしょうか？）

二人の会話に全く参加せずに私は頭の中にはてなマークを浮かべる。

わからないものは仕方ないですし、変態さんの性癖を積極的に解明することもないでしょう。
私は二人の会話に耳を傾けました。

｢だいたい、新学期早々骨格標本を新野先生の椅子に座らせるなよ！｣

｢骨格標本？｣

聞き捨てならないセリフに私は思わず聞き返してしまいました。

｢あぁ、ほら｣

私の言葉を聞いて、食満先輩の指差してそう言いました。指先を辿るとそこには養護教諭が座る椅子に骨格標本が置いてありました。

｢ひっ…｣

私は思わず小さく声をあげました。
なかなか、昼間とはいえ普通に置いてあると怖いものがあります。