閑話怪談レポート
教育実習で担当することになったクラスの児童に昼休み、校庭遊びに誘われたのでかごめかごめなんぞ懐かしいなとうろ覚えのルールを記憶の底から掘り起こして、屈んだ腰が痛むのが気になりつつも終了十分前のチャイムがなるまで楽しんで、最後に先生が鬼ねと言われて円の中に座る。歌が終わって足音が消えたあとだーれだと女の子の声がしたが声だけではまだ数日しか共にしていない私には誰だかわからないので適当に浮かんだ名前を言えば、違うよと言われて周りからくすくすと笑い声が漏れて、私はやっとのことで覚えたクラス名簿の名前を片っ端からいうのだけれど、一向に当たらず次第に笑い声も減っていく。全員の名前を呼んだのに返ってきたのは違うよという声で、もう笑い声もない。かわいい嘘なのだと私の負けよと後ろを見るとそこに居たのは時代錯誤な赤い釣りスカートを着た見覚えのない女の子だけで、不気味なほど口の端を釣り上げた笑顔と異様なまでに鮮やかな橙の空に目が焼かれるようだった。