久々の大学時代の同期との飲み会の帰り、俺はバグった脳とハッキリしない足取りで帰り道を歩いていたのだが、そこで先輩に出会って、その場のノリで心霊スポットに連れていかれることになって――そこまでは覚えている。気づけば俺は街路灯ひとつない雑木林にひとり立っていて、暗がりの中では帰り道もわからない。酔いが醒めてポケットを探ればスマホはきちんと収まっていたので安心したのも束の間、俺は一緒に来た筈の『先輩』が果たして誰だったのかがどの記憶にもないことを思い出した。
　ただライトをつけた目の前に転がっている蛆の湧いた人型に纏わりつく布切れは、近い記憶に存在した気がしてならないのだ。