【二章】新たな出会い
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本棚全体の夢小説設定龍が如く【真島組・真島吾郎・佐川司メイン】
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夢主が、最強主人公になったり、恋のヒロインになったり、好きなキャラが弱ったり、the自己満足。
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「お疲れ様です!」
鍋屋の前に、車が一台止まる。
運転席から西田が素早く出てきて、頭を下げてくる。
後部座席のドアが開いた所で、ちえちゃんと乗り込んだ。
嶋野の親父の所へ向かう車中、気を遣って何を話かける訳でも無く、ただ色々な思いにふけながら、外の流れる景色を眺めていた。
ちえちゃんは運転席の後ろ、俺の右隣に座っている。
ドアに肘をつき、自分と同じ様に外を眺めているようだった。
沈黙を破ったのは、西田であった。
「親父、嶋野の親父は行きつけの料亭にいるそうです。そこに車着けますね。」
おう、と一言返事をしたが、なんや、今まで組員が連れてきた黒服達の扱いとはちゃうやんけ。とも思う。
今までは事務所に連れてきては、半分恐喝の様な形で、身分を問い立てていたのだ。
(親父は何を企んでいるやろか…
事務所やなく、料亭っちゅう場所に誘うて事は、少なくとももてなすて事か…
ちえの警戒を解くちゅう事も考えられるわな…
それとも…
親父は既に何か知っとるんやろか…)
そう考えているうちに、親父が待つ料亭に到着した。
「行くで、ちえちゃん」
「はいよ。」
店に入れば、奥の個室に案内される。
ふすまを両手で、すっと開く。
一歩下がり一礼をする。
部屋の正面には、ふぐ刺しと日本酒を嗜んでいる親父がいた。
「失礼します。」
ちえは礼儀正しく入室の一言を発し、俺も入室した所でふすまを閉めた。
そして親父の方へ振り返れば、あのおっかない顔がこっちを見ている。
きっと見ているのはちえの事やろが、なんぼ見てもおっかない顔や、と思う。
とりあえず自分とちえは立ったまま横に並んだ。
「親父、例の黒服の一件についてです。
指令を受けた日にチャンピオン街で見つけた者です。
ひどい怪我で寝込んでたもんやから、連絡が遅うなってしもうたんです。」
真島がそう伝えると、嶋野はふぐ刺しを豪快に回し取り食べている。
その口いっぱいのふぐを、日本酒でくいっと流していた。
「真島ァ、なんですぐに報告せんかったんや…?」
「……コイツが親父の探す黒服だという確証は無かったからや。」
「ほぅ。ま、ええわ。」
そう嶋野は意味深に言うと、ちえの方を見た。
その視線にちえは喋り始める。
「どうも、真島ちえ、と申します。
嶋野さん、こちらの真島さんから伺っております。」
親父は、真島ちえ…か…。と繰り返すと、
「まぁ、座りぃや。」と。
その合図で、2人は座った。
俺は親父の言動に何か引っかかるような言い方がある…と思いながらも、一番聞きたかった事を聞いた。
「親父、このちえちゃんが、親父が探していた黒服の奴っちゅう事で間違いないんでしょうか?」
「ああ、せや。
まぁ今だから言うが、ホンマはお前らが喧嘩している時に、黒服の正体がちえさんやって事は分かっとった。」
どういう事やと言うと、そないなオモロイ喧嘩やってる情報くらい耳に入ってこな、極道のてっぺんなんぞ取れんわ。がははっ。
豪快に笑いながら嶋野は答えた。
「だとしたら、嶋野さんが何故あたしを探すんですか?」
今度はちえが問う。
「おとり……にしたいからや。」
おとり??
ちえと一緒にハモってしもうた。
囮ちゅう事は、狙いは他のもんにあるはずや。
誰かを誘き出す…ちゅうところか?
「流石、真島やな。
ワシがほんまに狙うとんのは、郷田龍司。近江連合や。」
「近江の郷田龍司…やと?!」
「……!」
ちえが隣で目を見開いている。
「せや、ちえさん。お前の兄貴や。」
「郷田龍司が兄貴…!?ほんまなんか!」
ふふふ、と笑いながらちえは嶋野の事を見る。
「嶋野さん、あたし達が兄弟である事を知っているという事は、この前の1週間、「アイツ」に…バカ兄貴に何をされてたかは、ご存知という事ですよね?」
「せや。」
ちえは言葉を続ける。
「ありがとう、嶋野さん。
あたしは兄貴にあんな事されて黙ってられる程出来た妹では無いものでして…
一発殴りたかったんですよ。
そもそも神室町に出てきたのも、龍司を探す為。
その手がかりになればと、嶋野さんに会わせてもらったけど、こうもどんぴしゃで情報が聞けるとは…ラッキーです。ふふっ」
そんなちえに親父は「ふっ」と鼻で笑った。
「ちゅう事でやな、しばらくちえさんは、真島組での預かりや。」
「…ワシが見るんか!?」
つい驚いてしまった。
正直、嶋野とちえを会わすとなった時は、何をされるかも分からないし、身の危険もあると踏んでいた。
それが預かりだと…?
しかもワシの髪で…?
預かりちゅう事は、客人扱いせぇって事やろ…?
「…分かったわ。」
「よろしくね、真島の兄さん?ふふっ」
「うっさいわ。」
がははは、と豪快に笑う親父を目の前に、あまり状況を整理しきれていない自分がいる。
「真島ァ、揃いのパンツ、よう似合ぅとるわ。がははっ。
まぁ、その調子でしばらく仲良うやってくれや。」
そう親父は言うので、とりあえず今の所は、親父がちえを狙う、という事はないという事だろうか。
(……?そうや、なんでワシはちえの身の安全を確認してるんや?
喧嘩したいワシの獲物やからか?
それもあるが……)
(いや、それよか郷田龍司とちえが兄弟だとしても、何で親父が知ってて、何で郷田を探すんや…
そもそも何故ちえは兄を探しに?
でもちえの話からすると、あの傷を負わせたんは、兄である郷田なのか…?)
何を企んでいるのか知らんが、取り急ぎやらなければならない事は、ミレニアムタワーの空き部屋へちえの部屋を作ってやる事か、と開き直った。
「そんじゃ親父、失礼すんで」
「失礼します。」
ちえと一緒に料亭を出て、迎えに来た西田運転の車へ再び乗る。
「親父、どういたしますか?」
「ワシの事務所へ向かえ。」
「へい。」
そう言うと車は走り出す。
ここから事務所があるミレニアムタワーまで30分程かかるはずだ。
少しちえの話を聞いていいのやろうか…
何はともあれ、まずはこれだ。
煙草を1本取り出し、ちえにも「いるか?」と差し出す。
「どうも。」と受け取ったので、火を付けてやり、自分のにも火を付けた。