【一章】神室町最強の女現る。
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夢主が、最強主人公になったり、恋のヒロインになったり、好きなキャラが弱ったり、the自己満足。
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消毒液の匂いがする。
うっすらと目を開けると、白い屋根。
しかし大病院では無さそうな雰囲気だ。
それでも、今横になっているベッドはとてもふわふわで、寝心地が良い。
掴まっていた1週間は勿論の事、思い返せば、ここ数ヶ月まともに休んでいなかった。
せっかくだから、もう少し寝させてくれ…
と思いつつ意識を飛ばそうとすると、隣に人の気配を感じた。
いや、気配では無い。温もり、実像だ!
「!!?」
いっっ…
驚いた勢いで力んでしまい、全身の痛みにもがく。
「ん、お、なんや、目ぇ覚めたんかいな?」
そう、あの眼帯野郎が隣で、同じベッドで横になっていたのだ!
確かに、最後の記憶はコイツの顔で終わっている。
そして治療できる場所へ、真島が連れて来てくれたのだろう。
そこまでは意図は分からずとも、理解はできた。
だが、隣に寝ていた事については、予想外で不覚にも驚いてしまった訳だった。
「…なんか…久しぶりに、誰かと寝ましたよ。」
「お〜そうなんか。おはよーさん、やな?」
もう何も抵抗する事もなく、とりあえずこの場を受け入れる事にした。
隣にいる真島からは、喧嘩の時のような殺気は全く感じられず、調子のいい掴めない男、という感じがした。
「なんか、運んでくれてありがとうね。
何の意図があって生かされてるのか、そしてこれから何されるのかは……ま、知らんけど。」
「ええ、ええ。ほんで何されるかっちゅうたら……そりゃ喧嘩の続きに決まってるやないかあ!」
確かにコンディションばっちりな時にやりたかった、と返事をしてみたが、真島は何処か複雑そうな表情であった。
「どうした?」
「いや、なんもない。」
「…せや!おま、名前は?ワシは、真島吾郎っちゅうもんや」
「…真島ちえ。同じ真島さんっすよ!
ははっ。よろしくどうぞ、真島さん。」
なんやそれ、と、また男の真島は複雑そうな顔をしている。
特に珍しい苗字では無い為、同じでも決しておかしくは無いが…こんな偶然もあるんだな。
「それと…本気で昨日は本気でやりあってくれてありがとうね。」
「……。」
真島は黙っている。
ま、そうだよな…
短時間ではあれど、あの時本気で殴り合ったのが女だったからかな。
しかし、そういう女だからって差別、気持ちの良いものでは無い。
そう、ちえは考えていた。
すると、真島が口を開く。
「2つちえちゃんに言うときたい事があるわ。
1つは、俺かて本気で女殴ってしもうたと後悔した。だから、ここへすぐ運んだのは、その罪滅ぼしの気持ちもあった。
けど…一番思うたんはな…。
ワシはお前を最高の喧嘩ライバルだと確信したんや!
ただもっぺん喧嘩したいんや!」
「ワシは、嘘はつかんで。」
そう言ってニヤニヤしている眼帯野郎。
それならちょうど良い。
あたしもやっと対等に楽しめる喧嘩相手が出来たんだから。
少し嬉しいと思っている自分の気持ちに、ちえは正直になる事にした。
「そりゃどーも。
で…もう1つって言うのは?」
「ああ、それやけどな…」
「お〜、やっと起きたか。もう目ぇ覚さねぇと思ってたぜ?」
話の途中で、奥から出てきたは、白衣を着た男。
そう、医者の柄本だ。
「なんだ、ここって、柄本の店かよ!久しぶりぃ。」
「なんや、知り合いかいな?」
まぁ、色々とね。
この柄本という医者。
腕はとても良いが、世間的には闇の医者である。そして柄本にお世話になってると言う事は、何か訳有りだからである。
つまり、ちえの過去もそう言う事だ。
真島は若干の何かを察しつつ、特に深く突っ込む事はない。
「てか、あんたらいつまで2人仲良く寝てんの?できてんの?やってんの?」
あかんあかん、さっきフラれたばっかりやでぇ〜とか言いながら、真島はベッドから出て行った。
あたしもずっと横になっていてはなんなので、ゆっくり体を起こす。
今回の1週間拷問のせいで、銃の傷の他、内臓や骨もやられているらしい。
痛み止めが効いてるはずだが、それでも痛みはひどくある。
「ちえ、無理すんなよ、ここに運ばれて4日間意識戻さなかったんだ。」
「それが、言おうとしてた2つ目や。ちえチャン…」
そう言う事ね。
「しかし、お前今回はやけにひどくやられてたなぁ…?」
「この人に殴られたからかね!」
「なんや!絶対ワシのせいやない怪我やろ!」
助けてもらったお礼っていう訳ではないが、一応助けてはもらったので、2人が聞きたそうにしている例の拷問から、ここに来るまでの経緯を簡単に話した。
「まぁ、その複雑な経緯のことも気になるが、ここは神室町だ。知らない、聞かないが良いことが大半だ。こうして生きてるんなら、それでいい。」
「せやなぁ…。」
2人は黙って聴き、それ以上何を突っ込んでくる事もなかった。
ちえも特別話す気も無い。
ぐぅ……
誰かの腹の虫が鳴る。
「…なぁ、腹空かんか?そういやワシ、今日何も食うてないねん。
ちえチャン、とりあえず何か食えるか?
少しでも腹にいれな、治るもんも治らんやろ」
正直言うと、内臓は食べ物は欲していないし、食欲も無い。しかし、流石に身体が痩せてるのは分かるし、筋肉が落ちても困る。
柄本からも、睡眠不足からの過労、軽い脱水症状と栄養失調、貧血と、オールマイティな症例を言われた。
「…はぁ……こんなほっそい華奢なやつと互角やったんかぁ〜」
真島は天井を見上げながらぼやく。
「これはやつれただけ。細マッチョなの!
あんただって線は細いでしょーに?」
点滴には栄養剤が入ってると柄本が説明してくれたが、軽くゼリー状の食材を真島が用意してくれてあったので、頂く事にした。
いつの間にか、隣でおにぎり1つを食べ終わっている。
その真島が煙草に火をつけ始めたのを見て、自分が約2週間ニコチンを摂取していない事に気付いてしまった。
おい!
病人はあかんやろ!と言われながらも、真島からタバコをもらう。
ついでに、火もつけてもらった。
「うまいなぁ…」
その夜のこと。
もちろん身体は絶対安静の状態だが、外の空気を吸いたくなり屋上へ向かう。
無理言って柄本に買って来てもらった煙草に火をつけながら、星と夜景を眺めていた。
あの拷問の部屋でみた、兄貴と呼ばれる男の背後に現れた「アイツ」の姿…
何故あそこにいたのか。
今、何処にいるのか。
考えても分かり様が無いが、ここで寝ていても分からない。
そんな事を考えながら、短くなった煙草を足で踏み消す。
部屋に戻ると、綺麗に新調された黒革のパンツと、ちょっと良さそうな生地で丁度いいサイズ感のジャケット、顔を半分隠せる肌の帽子が置かれていた。
「ふっ…。不思議な男…」