【一章】神室町最強の女現る。
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本棚全体の夢小説設定龍が如く【真島組・真島吾郎・佐川司メイン】
銀魂【銀時メイン】
夢主が、最強主人公になったり、恋のヒロインになったり、好きなキャラが弱ったり、the自己満足。
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ぎらぎらと眩しいくらいに輝くネオン。
その下を千鳥足で歩くサラリーマンや、腕を組んで歩く仲が良さそうなカップル。喧嘩をあちこちでしている若者達…
街を行き交う人々は、自然とサラリーマンの前からは人が避けている。
いちゃいちゃを見せつけているカップルは、高いヒールを履いた彼女の歩幅に合わせ、ゆっくりとホテル街へ進んでいく。
仕事帰りの人や、これから出勤するであろう男女、暇そうなヤンキー野郎と、この街は日本のサラダボールとでも言える状態だ。どんな人物でも受け入れ、それぞれの生き方で生きる街。
自由な街、何が起こっても不思議では無い街、そういった街である。
そこに1人の女は現れた。
「はぁっ、はぁっ……っ」
右脇腹から、止まる事を知らずどくどく流れる血に、流石にこれはヤバいな…と思いつつも、とりあえず応急処置もして右手で強く押さえる。
銃で撃ち抜かれた傷は大分深い様で、平気で指の隙間から血は垂れてくる。
弾は抜けているのか…
そんな事を冷静に分析をしながら、ふと足元を見た。
クラッ……
頭が揺れた。
それはそうだ。
この1週間、手を両手に広げた状態で拘束され、足元にも足枷をずっと付けられていた。もちろん、まともな食事を取っていなければ、水も飲めていない。
何が混ぜられているかも分からない。
憔悴し、日に日にだるくなる身体を支えるのは、拘束されている腕の鎖のみ。
流石に1週間となれば、睡魔がやってくるわけだが、身体を倒す事さえ許されない。目の前にある冷たい床で良いから、身体を投げ出したかった。
そして、目の前に数人の男が現れた。
がっと下顎を乱暴につかまれ、無理矢理上を向くことになる。
「てめぇ、うちの組員やりやがって、このぐらいで収まると思ってんじゃねぇぞ!?」
「楽にはいかせねぇからな」
「……。」
ギャーギャーうるせえんだよ、コノヤロー。発情期ですか。
何処かで聞き覚えのある台詞を頭に思い浮かべながら、男共の声を聞き流していた。
「ちっ。このアマ…。てめぇの血が足りなくなるか、てめぇの根性が先に折れるのか、根比べといこうじゃねえか!?」
次は何で遊んでくれるのかと待っていると、
「ぐはぁっ」
バットで腹を集中的に殴られた。
そして、十二分に熱しられた鉄棒を押し当ててくる。
じゅっ…
「っか…ぅ…」
つま先を始めとする10箇所程を火傷を負わされた。
「げほっ、かっ…はぁっ…」
空っぽな胃からこみ上げてくるのは、とろりとした胃液のみ。少し鉄の味も混じっているようだ。
そんな中でも女の意思は死んでいなかった。
一切の弱味を感じさせず、寧ろ目の前の男達をにらめつけ、口元はふっと不敵な笑み。
「なんだ、てめぇっ」
男がその余裕そうな態度につまらなく思いキレている。
「ぐっ…げほっ…」
みぞおちに、膝蹴りをまともに受けた。
先程から同じ様な所ばかり殴られている為、ほぼ感覚は麻痺している。新たな痛みは大して感じないが、こみ上げてくる胃液と血は止まらない。
そろそろか…。
女はやっと待ちに待ったタイミングが来たのだと察する。
「兄貴!こいつ痛みでは何も効かないっすわ!」
「こいつ女っすよね…もう、ここまで来たらまわしてやりましょうよ?!ねぇ!」
「そうっすよ!顔もなかなかだし、身体も結構悪くはないっすよ」
「…そうだな。」
「いいすか?!兄貴!?」
「体力はだいぶ落ちてるはずなんで、手足、一旦外しますね」
よし…。
やっとかよ…。
1週間長かった…。
バットと鉄棒を持ってた2人の男が近付いてくる。
ガチャ
鍵を開ける音と共に、この1週間お世話になった鎖がやっと外れ、手足が自由になった。
そう、その一瞬が狙い目。
「おい!誰か体力が落ちてるだ、コノヤロー。なめんじゃねぇぞ、くそが!!」
手足が自由になった瞬間に、1人はみぞおちのお返しに、拳を一発入れてやる。
1人は後ろから「何してんだぁ」と突っ込んでくるので、さらっと避けては、首の後ろにチョップを一発。
流石に今の身体のバッドコンディションもあってか、一発ノックダウンとはいかない。
もう一度立ち上がろうとしてくる所を、これまた先程までお世話になっていたバットで2つの頭をフルスイング。
ぐはぁっ、とうつ伏せに倒れる男2人。
「てめぇっ!」
兄貴と呼ばれてた奴がチャカを出す。
しょうもねぇ奴だな…
女相手に拳でこねぇなんて情けない奴だ…
「はぁ」
溜息をつきつつ、兄貴という奴と殴り合おうと踏み出した瞬間。
その後ろにいる、「あいつ」の姿が目に映った…。
やばい!!油断した!
パンっ
乾いた音と共に、熱くなる脇腹。
打たれた場所が急所では無い事だけ確認をし、すぐに奥にいた「あいつ」を探した。
だが、子分と共に何処かへ去って行った。
「おい、待て!ぐっ…」
情けない男に向かって、てめぇは邪魔なんだよ!と言いつつ、
兄貴と呼ばれてた奴の銃を一手で取り返し、カウンター攻撃。
すると倒れる3人の男の他に、何処からか10人程の足音が近付いてくる。
面倒ごとになる前に、
「よっしゃ、逃げるか。」
そう出口に向かって走り出そうとした時にとある事に気づく。
あぁ、服ボロボロか…
……ちょいとお借りしまーす!
足元に転がる男から適当に服を剥ぎ、素早く着替えを済ませた。
重傷を負っているうえに、逃げる為走ってきた為、少しの油断で意識を失いそうになる。
はぁっ、はぁっ
息を切らしながら、チャンピオン街のとある一角、狭い路地裏に入った。
黒革のパンツに、拝借した黒のジャケット、深く被った帽子といった格好をし、とりあえず乱れた息を整えようと試みる。
壁に背中を預け、ずきずきと痛む傷を引きずりながら、隣にあった自動販売機に手を伸ばす。
ぐっ…
壁には動いた分だけ血の跡がつくが、構う事はない。とりあえず水を飲みたい一心でボタンを押す。
ごくっ。
久々に物が喉を通り、胃の中に物が入った気がした。
そんな感覚に浸っていた所、
カツッ、カツッ
足音が近付いてくる。
もうさっきの奴ら来たのか…?
そうとなりゃ、ちょっくらラストスパートしようかね…!
女が戦闘態勢に入ろうと身構えた時、気の抜けた声が、目の前の男からしてくる。
「何や、運がええのぉ〜」
「全身黒い服着た奴を探せっちゅう、親父の命令だから、しゃーなしに街出て来たんやけど…」
「追われてる黒服っちゅうのはお前かいな、勢いよく走ってる姿ちょーど見てたでぇ」
目の前に現れたのは、真島組組長、真島吾郎であった。この風貌と、伝説から、存在くらいは知っている。
女は、こんなバッドコンディションで、こんな狂犬と喧嘩しなければいけないのか、とタイミングを恨みながらも…
ははっ。こりゃ楽しい喧嘩ができるってもんだ。
内心はワクワクしている。
この喧嘩を存分に楽めるよう、コイツには、自分が女だとバレたくない。バラすのは、とりあえず目の前の喧嘩を本気でやり合ってからだ。
とりあえず、こっちも戦う気があるという事を伝える為、手を伸ばし、くいっくいっとやってみる。一度で良いからやってみたかったんだ、これ。
「ほぉ〜やる気かいな。」
真島はそう言うと、後ろにいる組員に向かい、一切手を出すな、と一言。
「ここまでうちの組に気に入られてるやつや、どんなもんか気になってのぉ〜。
おっしゃ、行くでぇ!
…がっかりさせんなやあ!!!」
バシッ
とりあえず、一発目はお互いのストレートを互いに受ける。
受けてあげてるとも言うが、互いの力を見定める事もできる。
「ぺっ」
「やるやないかい」
流石組長さんと言った所で、受け方を間違えるか、その辺のゴロツキが相手では、一発KOで終わりだと思う。
スピーディーな攻撃をしてくる真島に対し、それ以上のスピードで避けては、こちらも攻めていく。全身の体重とスピードを使って、男にも負けない力を出せるのが、自分の特性だ。
「ひっひ、なかなか楽しませてくれるのぉ〜」
「…ニッ」
後ろで驚いているような、引いているような組員の視線には気づかないフリをする。
本当は会話してやりたいが、声を出すとバレてしまう為、帽子から見える口元だけ不敵な笑みを返してやる。
長期戦では身体がもたない。
これで決める。
眼帯側のデットスペースを狙いフェイントをかけつつ、腰にある一発ノックダウンのツボを狙う。
肘と膝、どう姿勢が崩れても殴れる体勢に入った。
「な!」
真島はデットスペースに入られた事に素早く気付き、くるっと身体を素早く回し、カウンターの攻撃体勢に入る。
ほぅ、それならこっちだ!
一瞬の判断で、腰ツボは諦め小さく屈む。
そしてスネを狙って思いっきり蹴った!
「ぐふっ」
「いっっつ」
2人は思わず声を出す。
無事、女の攻撃であるスネを目指した蹴りは狙い通り入った。が、対する真島の攻撃モーションも既に始まっており、女の首にモロに入ってしまった。
ぐらっ…激しい目眩がする。
なんとか足で踏ん張る。
既にボロボロの身体を鞭打って戦っていた為、今の身体では、すぐに戦闘体勢へ戻せなかった。
どんっ。
その隙に、真島に首を捕まれ、壁に押さえ付けられた。
ただ、それと同時に落ちていたガラスの破片を真島の首の真横へ寸止めしておく。
勝負はおあいこだ。
真島は横目でガラスの破片を確認し、少しがっかりした様な顔をしていた。
そして目の前にある顔に気づいたようだ。
「!?」
「お、お前…女かいな……?」
先ほどの首にくらった一撃にて、深く被っていた帽子は吹っ飛んでしまった。
これではバレて仕様がない。
喧嘩を続けようにも、どのみち自分の身体はもう動かなかった。
真島に向かい口元から血を流したまま、笑ってみせた。
「どーも…こんばんは。」
「天下の嶋野組さんにまで可愛がってもらえるなんて…幸せです…よ。」
ずるっ。
今まで真島と壁に支えてもらっていたが、真島の首を締める力が緩んだ為、女は支えを無くし、ずるずると座り込んでしまう。
壁には縦に血がべっとりとつく。
「お前!?血!?…大丈夫かいな!?ちょいと服めくるで。……なんや、はじかれとるやないか…」
それにひどい痣と火傷の数。肋骨も数本いってるであろう。
真島は何故か古傷が痛んだ。
「ちょっと…好奇心であんたとやりあったは良いけど…張り切りすぎたみ…たい。マジで身体ヤバいさ…血が足りねぇ……ちょ、どいて…」
追われてる身のくせに、どいて、なんて言っても無理な事は分かってた。
それでも、早く治療しなければ、本格的にやばい状態だった。
壁にをつたって歩き出そうとする。
「待てや、姉ちゃん」
男はあたしを引き止め言葉を続ける。
「てめぇは、ワシの獲物だ。せっかくえぇもん見つけたんや。親父に取られてしまうんは、勿体ないわぁ」
正直、今は話の内容が頭に入ってこない。
「…気に入られたんなら、どうも。ただ続きをやるにしても、一旦休ませてもらえないっすか…」
一言喋るだけでも傷から血が流れ出し、身体が軋む。1秒でも早く、手当てをしなければ…!
…いや、しかし、何処へ??
行く先の答えも出ないまま、本能でとりあえず前に進もうとした。
左手を上げ、男にひらひらと手の平を振り、歩こうとした時…
がくん。
膝から崩れ落ちてしまった。
いや、崩れ落とされた?
真島に膝かっくんされた。
ただでさえ貧血状態なのに、脳が上から下に一気に落ちた事で、ひどい目眩に覆われる。
ぐっ。
気持ち悪さと同時に目の前が霞み、また胃液を吐く。
目の前の眼帯野郎の笑みを最後に意識を手放した。
「おい、西田!この女、柄本の所連れてけ。…へ?じゃないわ、ボケェ!はよしろやぁ!」