結局あの後、夢の事が気になって眠れなかった。
既に、早朝と呼ばれる時間ではあるし無理に寝る必要は無いと思った。

朱鳥は俺にしがみついてスヤスヤと眠っている。
うなされる事無く眠ってくれるならそれでいい。

いつも起きている時間になったのでコーヒーでも飲むかとベットを抜け出す。

コーヒーを入れていると、香りで目が覚めたのか朱鳥がムクリと起きる

「…ん…？あさ…？」

「あぁ。コーヒー飲むか？」

「うん」

朝日に照らされた白髪はキラキラと光りとても綺麗だ。

ぐしぐしと目を擦りながらストンとテーブル横に座る朱鳥はパーカーのエリがはだけ、鎖骨所か右肩出てるし、無造作に座るから太もももだいぶ見えている。

コイツが無防備なのは今に始まった事じゃ無いし、寝起きで身支度に気が回ってないのもあるだろうが
やはり動揺してしまう
俺がおかしいのか？こんなに無防備だったか？
いや、パーカーは俺のだし。
こんな姿を見るのは俺だけだし。
けれど、昨日のキスと合わさってその姿に動揺してしまう。

「めぐみ？どしたの？」

ぽやっとした顔と声が覗き込んでくる

なんとも表現しがたい、こう、胸がきゅうっとなる。

あぁ。そうだ

「…なんつーか。付き合ったって言うか、恋人になった実感っつーか。急にそんな感じがしたって、何言ってんだ俺」

かぁっと朱鳥の顔が赤くなる

「なんでオマエが照れんだよ」

「い、いや。恵も意識してるんだなって思って…」

こいびとどうし

と、唇が動いた様に見えた。

「とにかく、冷める前にコーヒー飲め」

「うん」

そう言って、コーヒーに口をつける

「おいしー」

コーヒーを飲んだ朱鳥は白髪を緩く三つ編みにまとめる。

「そう言えば、オマエいつもの簪はどうした」

「あー。あれ。前ので壊れちゃった」

サラッと爆弾発言をする。

「アレ貰い物だったし、仕方ないよね」

「なんか、すまねぇ」

「気にしないで。身代わりになってくれたんだよ。恵が居てくれるならそれでいいよ」

確かに朱鳥の簪に助けられたからここにいるわけで

「次、何を武器にしようかな」

「とにかく今は休め。それから考えろ
今は俺が守る」

朱鳥は気恥しそうに頬赤らめて小さく頷いた