あれから数日

あからさまに朱鳥に避けられている。

よくやっていた組手も俺以外を指名

席が隣になる座学では教科書にかぶり付き

終わるとすぐに教室からいなくなってしまう

視線すら反らす

これはアレか

この前のアレが原因か

確かに無断で部屋に連れ込んだのはマズかったかもしれない

いくら放っておけなくて取った行動でも、やはり嫌だったんだろう

謝るべきだとは思うが、会話さえ出来ない状況

意識してる相手にここまで避けられると結構
いや、かなり堪える

どうしたものかと考えながら教室に入ると、そこには朱鳥の姿が

驚いた顔をしてその場で固まっている

あぁ。
俺が入り口に居るから逃げられないのか

朱鳥は逃げるのを諦めたのか、手元の本に視線を落とす

教室には俺と朱鳥の二人きり

とてもソワソワして落ち着かない様子だ

そんなに嫌われてしまったか

「…悪かった」

ボソリと呟く

「えっ？」

「この前、無理やり部屋に連れ込んで、悪かった」

「えっ？どうして謝るの？どちらかと言うと私が謝らなきゃ！」

慌ててそう返してくる

「それが原因で俺の事避けてるんじゃないのか？」

「ちがっ。違うよ！」

手を振り否定してくる

「なら、他に気を悪くすることしたか」

「違うっ。恵は何もしてない！何もわるくないよ！」

「じゃあ、なんで避ける」

「それは…」

さっきまでの勢いは無くなり言葉に詰まる

「んっと。えっと…」とモジモジしているので、何か言えない事でもあるのか

「…言いたくないなら無理に言わなくていい。
悪かったな、付き合わせて」

そう言って教室を出ようと席を立つと、クンッと後ろに引っ張られる

振り返って見ると朱鳥がおれの制服の裾を掴んでいた

今にも泣き出しそうな表情で必死に何かを言おうとしてるが、まるで声を奪われたかのように言葉に詰まっている

それが焦れったいのか余計に泣きそうになる