出張という名の旅行から帰ってきて、日常へと戻ったと思いきや、なんだか、恵とのすれ違いの日々です。

基本的に任務でいないし、話しかけても素っ気なく、すぐどっか行っちゃうし

前みたいに構ってくれない。

避けられてるのかな

でも、任務で忙しいから仕方ないのかな

ちょっと甘えすぎたかな

でも、ちょっと寂しいな

まぁ、仕方ないのかな。

と、ぼんやり歩いていると、突然 目の前に黒い壁が

「ちゃんと前を見なきゃダメだよ？」

壁だと思ったのは五条先生で、ぼっーとしてた私は五条先生にぶつかりそうになっていたらしい

「すみません」

頭を下げる

「何か、悩み事かな？」

上から降ってくる言葉

悩み事？

「いえ。特に何も」

「そうは見えないけどなぁ」

上体を屈めて私の目を覗き込んでくる先生

「……強いていうなら……」




「恵に嫌われたぁ？」

五条先生のお部屋に移動して、先程考えてた事を言ってみると、素っ頓狂な言葉が先生から出てきた。

「ただ、任務が忙しいだけだと思うんですけど、なんだか避けられてるなーって」

だから

「嫌われたのかなって」

「なるほどね」

私の前に珈琲を置いてくれ、自分の分には相変わらず砂糖をゴロゴロ入れて口をつける。

「なんでそう思うの？」

なんで。

「なんでって…」

なんで。

「迷惑かけたから？」

「迷惑ってどんな？」

答えた傍から問いかけられる

多分、沢山迷惑はかけてる。
けど、具体的に言えと言われると困る

「んっと。恵は優しいから言わないだけで、多分、沢山迷惑かけたから」

「うん。それは答えになってないね」

珈琲に口をつける先生。

うーん
自覚が無いのは良くない、問題点をちゃんと見つけないと謝ろうにも謝れない

ただ謝罪しても、恵には迷惑だろう。

「ま。ぶっちゃけ考えすぎだと僕は思うよ」

ぐるぐる考えてた私に先生はそう言った

「恵は情に熱いヤツだし。身内をそう簡単には嫌いにならない子だよ」

先生と恵の付き合いは長いと聞いた事があるから、先生の言ってることは正しいんだろうけど

「じゃあなんでって顔してるね」

「単純に任務が忙しいからだと思うよ」

確かに、恵は2級術師。一年だけど、単独任務もこなせる。

「寂しいなら僕の所においでー」

と、両腕を広げる五条先生

セクハラ案件ってか年の差。

「遠慮しておきます」

そう断ると、ちぇーっと拗ねる。

「まぁ、朱鳥がそんなに悩む必要は無いよ」

ぐるぐる悩ませたのは一体誰か。

でも、なんだかちょっと安心した。

「ありがとうございました。珈琲ご馳走様でした」

そう言って五条先生の部屋を後にした。