「笑いっ過ぎてっお腹痛いっ」

未だに笑いを引きずりながら宿へと向かう

既に辺りは真っ暗だ

もちろん手は繋いでいる。

「これ、五条先生へのお土産で良いかな」

どんな呪霊も払える最強の呪術師に対して、般若心経の土産。
サイコーの嫌味だろ

「あぁ。先生も喜ぶと思うぞ」

宿に着くともうすぐで晩飯の時間だった。

風呂は晩飯の後にするかと考え朱鳥と一緒に大広間へと行く

食事はありきたりなバイキング形式だった。
チェーン店に特産料理を望むのが間違ってる。

朱鳥は広間をぐるりと見渡し
俺を見上げ

「これ、好きなの選んでいいの？」

「ん？あぁ。まさか、バイキング初めてか？」

「うんっ」

瞳が期待にキラキラしている。

「好きなの選んでいいが、取りすぎるなよ」

とだけ注意し各々料理を選ぶ。

和食、洋食、中華、イタリアン、オリジナル
様々な料理がある。
これはこれで悪くないな

料理を皿に取り席に戻ると、朱鳥は既に席に戻っていた。

皿には色んな料理が少しづつ、かつ綺麗に盛り付けられていた。

箸をとり食べ始める

「美味しー」

舌鼓を打つ朱鳥

「恵は料理するの？」

不意に聞かれる。

「あぁ。最低限はな。朱鳥はするのか？」

「うん。多少はね」

「得意料理とかあんのか？」

「得意……か分からないけど、出汁巻き玉子は良く作ったよ」

なるほど

「…今度、それ食わせろよ」

「うん？いいよ？」

不思議そうな顔はしているが了承を得た。

「あらあら。素敵なカップルさんね」
年配の夫人が野次を言うだけ言っていって去って行った。

朱鳥は料理に夢中で気づいていない。

実際には付き合っていないが、傍から見るとそう見えるのか。

まぁ、男避けに彼氏ヅラした訳だが。

「お代わり取ってくるねー」

パタパタと席を離れる

料理を真剣に選んでいる朱鳥を見ながら、そんな状況をコイツはどう思っているのだろうかと考えた。