その日、私は最大のピンチに襲われていた。

「ここ、どこ」

迷った。完全に迷った。

高専無駄に広い

どれも似たような建物だし。

近道しようとした5分前の私を殴りたい。

「おや？どうされました」

突然の背後からの声にビクンと跳ねる。
恐る恐る振り返るとそこには金髪に変わったグラサンのスーツの男の人が立っていた。

「貴女は確か、転入生の」

「えっと。宮城朱鳥です」

ペコりとお辞儀する。

「こんな所でどうされました？」

溢れ出る助けてくれる大人のオーラ。

「道に迷いまして…」

「どちら迄のご予定ですか」

「正面ロータリーへ行きたくて」

おずおずと応えると

「そうですか。ご案内いたしましょう」

と、歩き出す。
助かった！っと後ろをついて行く

「どうですか。ここには慣れましたか？」

「はい。だいぶ…えっと…」

「あぁ。失礼。自己紹介がまだでしたね。
私は、七海健人。ここで呪術師をしています」

落ち着いた声に丁寧な口調
ザ･大人な感じがする。

「よろしくお願いします」

改めて頭を下げる。

少し歩くと見た事ある景色になる

「ここをまっすぐ行くと着きますよ」

以外と近い所で迷っていたようで恥ずかしい

「ありがとうございました」

「いえ。では、私はこれで」

と去って行く七海さん。

呪術師してるならまた会えるかな。

教えて貰った通りまっすぐ歩くとすぐに目的地に着いた

「朱鳥おっそい！」

先に着いていた野薔薇に怒られる

「ごめん、迷っちゃって」

「寮からここまでで迷うとかどんだけだよ」
「ここ、似たような建物多いからわかりずれーよな」

呆れ顔の恵に対して、同意見の悠仁

「よくここまで来れたわね？」
「道を教えて貰ったの」
「へー。誰に？」
「七海さんって人」
「えっ！ナナミンに会ったの？」

悠仁が食いついてくる

「七海さん知ってるの？」

「おう！五条先生の後輩らしいぜ」

五条先生の後輩？

「えぇっ！五条先生の後輩？！あんなに大人なのに？！」

「まぁナナミンが大人ってのもあるけど」
「アノ先生が子供ってのもあるわね」
「アイツは大人気ない」

異口同音な三人。
危うい五条先生の地位。

「七海さん凄い大人感があったの。
スーツ着こなしてるし。大人オブ大人って感じ！」

「……朱鳥は大人がいいのかよ」

恵が問いかけて来るがなんだか機嫌悪い？
なんだかトゲがある。

「スーツかっこよくない？」

そう答えると、ふいっとそっぽ向いて歩き出してしまった。
後をついて行きながら

「恵。なんか機嫌悪い？」

コソッと野薔薇に聞いて見るも

「アイツは何時もあんな感じでしょ」

一蹴されてしまった。

「今日はせっかくのショッピングなんだから楽しみましょ！」

笑顔でいってくる野薔薇

そう、今日は皆で街で買い物をするのだ。