01
俺の名前は明神悠莉(みょうじんゆうり)、どこにでもいる普通の高校一年生だ。
「じゃあな、悠莉」
「おう」
友人と別れ、一人帰り道を進む。途中、どうしても人通りの少ない所を通らなければいけないのが今の高校生活で一番不満な点だ。
だが残念ながらここから家まではこの道が最も近いので、不満を持ちながらも俺はこのルートを使う他無かった。
「はぁ、もっと家が近かったらな……」
そんな独り言を呟きながら歩みを進めると、遠くに人影が見えた。こんな所で人に会うなんて珍しいこともあるもんだ。俺は呑気にそう思いながらも歩き続ける。
どんどん近づいていく距離。徐々に人影が大きく鮮明になり、それがフードを被った男であることが見てわかるようになる。
「……ゃ……っ……」
男は何やらブツブツと呟いている。何だか気味が悪い、早くすれ違ってしまおう。
そう思って歩みを速めると男は俺の行く手を阻むように向きを合わせてくる。
(何だ、こいつ)
不安に感じて思わず立ち止まってしまうが男は気にすることなくこちらに向かって足を進めてくる。
意外に足が速かったのか、男と俺の距離はあっという間に縮まりとうとう目の前まで迫って来た。
「……何か」
用ですか、と聞こうとした瞬間だった。
ズン、と腹部に衝撃が走る。
「ぇ……?」
何が起きたのかと下を向くと、何かが腹に刺さっている。これは……包丁?
それ以上は遅れてやって来た痛みで考えられなくなった。
腹が、燃えるように熱い。
「ぁ、がっ……」
あまりの痛みに喋ることもままならない。
男が包丁を引き抜くと俺は数歩後退るが、足に力が入らず背中から地面へと倒れる。
痛い、誰か。
助けを求める様に辺りを見回すが、誰もいない。
男は俺に跨がると包丁を持った手を振り上げる。
「ゃ、め……たす、け」
最後まで言い終わる前に包丁が振り下ろされ、今度は胸部に衝撃。
包丁が引き抜かれ、また胸に刺される。
引き抜いて、刺して、引き抜いて、刺して……男は同じ動作を笑顔で繰り返している。
俺はもう一言も発することも出来ずにただ男のなすがままにされている。
熱かった体が、どんどん冷たくなっていくのを感じる。
(寒い……どうして、俺が)
そんな俺の思考を読み取ったかの様に男が口を開く。
「これで、邪神が、蘇る」
にんまりと笑う男に何を言ってるんだ、と心で悪態をつきながら俺の意識は暗がりへと落ちていった。
「じゃあな、悠莉」
「おう」
友人と別れ、一人帰り道を進む。途中、どうしても人通りの少ない所を通らなければいけないのが今の高校生活で一番不満な点だ。
だが残念ながらここから家まではこの道が最も近いので、不満を持ちながらも俺はこのルートを使う他無かった。
「はぁ、もっと家が近かったらな……」
そんな独り言を呟きながら歩みを進めると、遠くに人影が見えた。こんな所で人に会うなんて珍しいこともあるもんだ。俺は呑気にそう思いながらも歩き続ける。
どんどん近づいていく距離。徐々に人影が大きく鮮明になり、それがフードを被った男であることが見てわかるようになる。
「……ゃ……っ……」
男は何やらブツブツと呟いている。何だか気味が悪い、早くすれ違ってしまおう。
そう思って歩みを速めると男は俺の行く手を阻むように向きを合わせてくる。
(何だ、こいつ)
不安に感じて思わず立ち止まってしまうが男は気にすることなくこちらに向かって足を進めてくる。
意外に足が速かったのか、男と俺の距離はあっという間に縮まりとうとう目の前まで迫って来た。
「……何か」
用ですか、と聞こうとした瞬間だった。
ズン、と腹部に衝撃が走る。
「ぇ……?」
何が起きたのかと下を向くと、何かが腹に刺さっている。これは……包丁?
それ以上は遅れてやって来た痛みで考えられなくなった。
腹が、燃えるように熱い。
「ぁ、がっ……」
あまりの痛みに喋ることもままならない。
男が包丁を引き抜くと俺は数歩後退るが、足に力が入らず背中から地面へと倒れる。
痛い、誰か。
助けを求める様に辺りを見回すが、誰もいない。
男は俺に跨がると包丁を持った手を振り上げる。
「ゃ、め……たす、け」
最後まで言い終わる前に包丁が振り下ろされ、今度は胸部に衝撃。
包丁が引き抜かれ、また胸に刺される。
引き抜いて、刺して、引き抜いて、刺して……男は同じ動作を笑顔で繰り返している。
俺はもう一言も発することも出来ずにただ男のなすがままにされている。
熱かった体が、どんどん冷たくなっていくのを感じる。
(寒い……どうして、俺が)
そんな俺の思考を読み取ったかの様に男が口を開く。
「これで、邪神が、蘇る」
にんまりと笑う男に何を言ってるんだ、と心で悪態をつきながら俺の意識は暗がりへと落ちていった。
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