これは、ある時私が戦国に行くお話…

その日は、友達と一緒に勉強していた。
「今日はありがとね、百合！すっごい助かったよ！」
いつも元気いっぱいの彼女は私の親友である。彼女は今日、勉強を教えて！！！、と私にせがんで来た為、彼女の家で勉強会を開き、私にびしばししごかれたばかり。
現在、午後六時十分。このまま歩いて帰っても充分時間はあるから、又勉強をしなければ。私が受験する予定の高校は、結構ハイレベルな高校だから、今の私の学力ではまだまだ足りないのだ。
「そういえば、百合。気をつけて帰ってね、この頃不審者多いみたいだし。」
彼女は優しいから、こんな私の心配もしてくれる。
「大丈夫。私なんか襲ったって意味ないでしょ、可愛い訳でも無いし、ひねくれた所があるから。」
苦笑いして彼女に言う。けれども彼女ははぁとため息をついた。
「これの何処が可愛い訳でも無いって？そんな所で謙遜しないでよ。いい、よく聞いてね？百合は可愛いの！その可愛さが何故この世の中の男に通じないかと言うと、アンタがマスクして謎のローブを着てるからなの！今みたいに普通にしてれば、男なんてうじゃうじゃ寄って来るんだから！」…

そんな話を終えて、帰り道を歩いている。ふと空を見上げた。綺麗な月が輝いている。まさしく雅だ。けれどもここは、結構な都会だ。周りの光が眩しくて月もあまり目立たなくなってしまう。少し哀しい気持ちになりながら、前に向き直ろうとしたその瞬間。
キラリと光り、一瞬だけ月が紅く染まった様に見えた。
「っ…気のせい、だよね。」
何かの間違いだと信じ様とする私は、月を凝視した。それ以上何の異変も起こらなかったから、きっと自分の気のせい。
でも無かったのかもしれない。

月から目を離すと、いつの間にか私の周りを闇が包んでいた。
「え⁉︎」
驚いてそれしか言えない。
しかも私は、怖くて強く目を瞑ってしまった…