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bsr超短編



 カーテンから差し込む朝日が眩しくて、むくりと上半身を起こした。
 相変わらず頭がぼうっとして思考が定まらない。
 この毎朝のスタートダッシュの遅さに嫌気が差すが、何をどうしてもこればっかりは治らないのだから、毎度のことながらうんざりする。
 早くまともに動き出せよと後頭部をガシガシと掻いてみるが、やっぱり頭にかかった霞のようなものが取れなくて、苛立ちからか、つい舌打ちが出た。

「…………佐助、さん?」

 ──背後から聞こえた声に、唐突に心臓が飛び跳ねた。

 慌てて振り返れば、シーツを胸元までたくし上げながら、彼女が知らない人を見るような顔で、青ざめながらこちらを凝視していて。
 明らかに何も身につけていないその姿に、ふと自分の身体を見やれば、やはり同じく何も身につけていないことにそこでようやく気付く。
 あれほど覚醒の遅かった頭が一気に回転し、昨晩の何もかもがありありと蘇る。
 それから、たった今、一番彼女に見せたく無かった姿を晒してしまったという事実に、顔から一気に血の気が引いた。

「あっ、いや、あの、これは……!」
「ごめんなさい、やっぱり突然上がりこんで…….ご迷惑でしたよね」
「え!? ち、違、違う! 違うから!」
「私なんかと寝て……嫌、だったんですよね」
「ああああ違う! 違うんだって! そんなわけ無いでしょ!? 俺様今世界一幸せって胸張って言えるぜ!?」
「だ、だって、」
「あああもおおおおごめん! とりあえずごめん! 俺様が全部悪い! だからちょっと一回落ち着こっか!? 俺様ほんとに、ほんっとに、あんたのこと大好きなんだってば!!」

 ごめんなさいと顔を背けてベッドを降りようとする彼女に、某大泥棒よろしくベッドに縫いつけるように飛び掛かれば、小さい悲鳴と一緒にいとも簡単に彼女の身体は再びベッドへと沈んだ。
 さてさて、ここからどう弁解したものか。
 頭はもうすっかり覚醒して、なんなら覚醒通り越して軽くパニクってる。
 目の前には生まれたままの姿の彼女が俺様の腕でベッドに縫いつけられてて。

 あー……、んー……、…………うん。

 とりあえず、涙目で「離して」と騒ぐその口を丁寧に塞いでから、どう説明するか考えるとするかねえ。
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