一章(杭瀬村編)
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大木は収穫と配達の準備を終えて家に戻った。
そろそろ昼餉の時間だが、あの女の体調はどうだろうか。
産後とはあまりにも体力がない。村には何人か産後の女子がいるが、みな畑仕事はしている。
元々体力がないのだろう。
(外の仕事はもう少し慣れてからにするべきか)
大木は静かに部屋の中を覗く。
布団は規則正しく上下しており、眠っているようだった。
眠っている間に雑炊を作ってしまおう。カタリと台所で音を立てると、びくりと女が起き上がった。
「体調はどうだ?」
「大丈夫です。久しぶりにしっかり寝てしまいました。お昼ですよね、手伝います。」
すぐに立ちあがろうとするうしおを大木は制止する。
「まだ寝ておれ。雑炊でいいか?」
「はい、充分です」
うしおは申し訳なさそうにぺこぺこする。
大木の作った雑炊を食べる。味噌で味付けされた優しい味だった。
「…美味しいです」
結婚してから料理なんて作ってもらった記憶がない。男の人の料理って、貴重だなあとしんみりする。
「食欲はあるみたいだな。その様子なら、午後から配達に行ってくるが、1人で大丈夫か?」
「もちろんです。留守番しっかりしてます。」
「頼む。もし村のものが野菜を取りに来たら、土間にある野菜を渡してやってくれ。」
「分かりました。」
大木は雑炊をかき込むと、行ってくると荷車を引いて行ってしまった。
うしおは昼食の片付けをし、夕食は火を使わない簡単なものでも作ろうかと考えていた。
すると、玄関からこんにちはと女性の声がする。うしおは慌てて手拭いを被ると玄関に、出る。すると子供を背負った女性が立っていた。
「っはい!」
「こんにちは。あら大木さんは?」
「今配達に行ってまして。もしかしてお野菜ですか?」
「ええ。いただけますか?」
うしおは渡された籠に野菜を詰める。
「どうぞ。…結構重いですが大丈夫ですか?」
「このくらい平気ですよ」
「いや、でも…。お宅まで運びましょうか?」
「そんな、申し訳ないわ」
「いえいえ!大木さんもまだ帰らないでしょうし、お届けするくらいさせてください。」
畑仕事は役立たずだったから、何か別のことで役に立てればとうしおは申しでた。
すると赤ちゃんがぐずりだし、女性もそれじゃあと自宅に届けることとなった。
ついていけばそこまで遠くなく、歩いて5分程のところだった。
「すみません。届けてもらっちゃって」
「いえ、また何かあればお手伝いします」
「うわーん!」
帰ろうとしたところで赤ちゃんが本泣きしはじめた。これはオムツかミルクだな。
女性がおしめを確認するが、どうやらミルクだったようだ。
「すみません、騒がしくて。…飴湯作るからね」
「…あめゆ?」
「あ、私お乳の出が悪くて。普段は飴湯で、時々ちょっと遠くまでお乳をもらいに行ってるの。」
「そうなんですね」
粉ミルクがない時代は大変なのだろう。
そう言えばお乳があまり飲めていないと、子供の成長や免疫力がつきにくいって聞いたことがある。
「…もしよければ、私がお乳あげましょうか?」
「えっ?お子さんいるんですか?」
「ちょっと事情があって…近くにいないんです。」
女性は何か察したのか、悲しそうな顔をする。
「だから母乳はたくさんありますよ。大丈夫です!」
強がったのが分かったのだろうか、女性はそれ以上何も言わずに子供をうしおに預ける。
子供の重みを久しぶりに感じる。
(…あたたかい…)
うしおはお乳に一生懸命吸い付く子供の横顔を見つめる。
(あの子もこんな風だった)
思い出して切なくなる。
(やっぱり、早く帰りたい)
そろそろ昼餉の時間だが、あの女の体調はどうだろうか。
産後とはあまりにも体力がない。村には何人か産後の女子がいるが、みな畑仕事はしている。
元々体力がないのだろう。
(外の仕事はもう少し慣れてからにするべきか)
大木は静かに部屋の中を覗く。
布団は規則正しく上下しており、眠っているようだった。
眠っている間に雑炊を作ってしまおう。カタリと台所で音を立てると、びくりと女が起き上がった。
「体調はどうだ?」
「大丈夫です。久しぶりにしっかり寝てしまいました。お昼ですよね、手伝います。」
すぐに立ちあがろうとするうしおを大木は制止する。
「まだ寝ておれ。雑炊でいいか?」
「はい、充分です」
うしおは申し訳なさそうにぺこぺこする。
大木の作った雑炊を食べる。味噌で味付けされた優しい味だった。
「…美味しいです」
結婚してから料理なんて作ってもらった記憶がない。男の人の料理って、貴重だなあとしんみりする。
「食欲はあるみたいだな。その様子なら、午後から配達に行ってくるが、1人で大丈夫か?」
「もちろんです。留守番しっかりしてます。」
「頼む。もし村のものが野菜を取りに来たら、土間にある野菜を渡してやってくれ。」
「分かりました。」
大木は雑炊をかき込むと、行ってくると荷車を引いて行ってしまった。
うしおは昼食の片付けをし、夕食は火を使わない簡単なものでも作ろうかと考えていた。
すると、玄関からこんにちはと女性の声がする。うしおは慌てて手拭いを被ると玄関に、出る。すると子供を背負った女性が立っていた。
「っはい!」
「こんにちは。あら大木さんは?」
「今配達に行ってまして。もしかしてお野菜ですか?」
「ええ。いただけますか?」
うしおは渡された籠に野菜を詰める。
「どうぞ。…結構重いですが大丈夫ですか?」
「このくらい平気ですよ」
「いや、でも…。お宅まで運びましょうか?」
「そんな、申し訳ないわ」
「いえいえ!大木さんもまだ帰らないでしょうし、お届けするくらいさせてください。」
畑仕事は役立たずだったから、何か別のことで役に立てればとうしおは申しでた。
すると赤ちゃんがぐずりだし、女性もそれじゃあと自宅に届けることとなった。
ついていけばそこまで遠くなく、歩いて5分程のところだった。
「すみません。届けてもらっちゃって」
「いえ、また何かあればお手伝いします」
「うわーん!」
帰ろうとしたところで赤ちゃんが本泣きしはじめた。これはオムツかミルクだな。
女性がおしめを確認するが、どうやらミルクだったようだ。
「すみません、騒がしくて。…飴湯作るからね」
「…あめゆ?」
「あ、私お乳の出が悪くて。普段は飴湯で、時々ちょっと遠くまでお乳をもらいに行ってるの。」
「そうなんですね」
粉ミルクがない時代は大変なのだろう。
そう言えばお乳があまり飲めていないと、子供の成長や免疫力がつきにくいって聞いたことがある。
「…もしよければ、私がお乳あげましょうか?」
「えっ?お子さんいるんですか?」
「ちょっと事情があって…近くにいないんです。」
女性は何か察したのか、悲しそうな顔をする。
「だから母乳はたくさんありますよ。大丈夫です!」
強がったのが分かったのだろうか、女性はそれ以上何も言わずに子供をうしおに預ける。
子供の重みを久しぶりに感じる。
(…あたたかい…)
うしおはお乳に一生懸命吸い付く子供の横顔を見つめる。
(あの子もこんな風だった)
思い出して切なくなる。
(やっぱり、早く帰りたい)