一章(杭瀬村編)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
三郎から大木先生が見知らぬ女性を連れていたと聞かされ、雷蔵は驚く。
「確か大木先生は独身だったよね、恋仲の人かな」
「それが一番あり得そうだな。任務にしては相手の女はくノ一らしくなかった」
「でも偶然お店に来るなんてね」
「私も驚いたさ。でもしばらく黙っている代わりに高価な着物を買ってくださったんだ。ラッキーだったよ」
「売り上げが伸びるのはありがたいね。しばらく黙ってろってどのくらいなんだろうか」
「期間は指定されなかったからな。おそらくどこかのタイミングで、女の正体を知らされるか…もしくは忍術学園に大木先生と来る可能性もあるな」
「忍術学園に?」
「ああ。黙っていろではなく、“しばらく”黙っていろだからな。我々生徒に伝えるタイミングがあるのかもしれない。ただし、今日ではなかった」
「なるほどな。それなら僕たちはそれまで黙っていればいいんだね」
雷蔵はそれ以上、女の事は気にならないらしく品出しを始める。
「…それじゃあ、私は残りの奴らに伝えてくる」
「分かった。いってらっしゃい」
兵助と八左ヱ門の豆腐屋は、予想以上に盛況だった。朝からお客さんがチラホラと来てくれていたが、何やら口コミで後から沢山の人達が来店してくれていた。
(おほー、この分だと生物委員会の餌代が増えそうだ)
良い餌が買えそうだと喜ぶ八左ヱ門。来店客を捌きつつ、笑顔で接客をしている。
兵助は足りなくなった豆腐を作っている最中だ。
「兵助ー!そろそろ豆腐が切れそうだ!」
「分かってる。もう少しで出来上がるから待っててくれ」
兵助は額の汗を拭う。1人で豆腐屋をやろうと思っていたが、八左ヱ門に頼んでよかった。1人では店が回らなかっただろう。
「いらっしゃいませ!もうすぐ出来立ての豆腐がでますよ!」
元気な声で客を呼び込む。
「…出来立てのお豆腐ですって。雅之助さん、晩ごはんに買っていきませんか?」
「……まあ、そうだな」
「あれ、お豆腐嫌でした?」
「そんなことはないぞ!とっとと買って帰るぞ」
「はい」
親密な雰囲気の2人が入店する。
「大木せっ……」
驚きで声を上げかけた八左ヱ門だったが、大木の目配せに口をつぐむ。
(今の会話からして同棲してるよな。恋人?いや奥さん?)
混乱する頭で、普段通り接客をしなくてはと気を取り直す。女性を見ると小柄で若そうだった。
(大木先生より随分年下だなあ。…って、なんであんなに驚いた顔してんだ?)
女の人は何故か自分を見て驚いている。今までの客からは、こんな風に見られていなかった。服装などに問題はないはずだ。
「…えっと、どうかされました?」
「え?いや、何でもないです。……随分若い方だなあって」
「…そうですか?」
大木を見るが、こちらも理由が分からないみたいだった。
「もうすぐ豆腐が出来上がるので、お待ちください」
少し待ってもらっていると、厨房から兵助が出来立ての豆腐を運んできた。
「お待たせしました。出来立てですよ」
にっこりと笑顔を浮かべる兵助だったが、目の奥は笑っていない。
(大木先生が女の人連れてきて驚いてるな)
五年間共に過ごした級友だ、なんともない様だが僅かな変化に八左ヱ門は気がつく。
「…っあ…じゃあお豆腐一丁ください」
「毎度あり」
八左ヱ門は豆腐を持ち帰り用の小さな桶に入れる。女はそれを受けとる。
豆腐を受け取ってすぐに大木と女の人は店を出て行った。
「なあなあ!大木先生の奥さんかな!」
「豆腐買って帰る仲だからな。一緒に住んでいるんだろうな。それより、あの人は何故俺たちを見て驚いていたんだ?」
「それが分かんねえんだよなあ。大木先生も知らなそうだったし」
「気になるな…」
「そっちかよ。俺は2人の仲の方が気になるぜ!」
「ともかく実習が終わってからだな」
「探るのはしばらく後になるぞ」
「「三郎!」」
「大木先生からしばらく黙っていろとの事だ。探るのはその後だな」
「おい!三郎、もしかしてお前たちの店にもきたのか?」
「慌てるなよ八左ヱ門。まずは、何があったか話そうじゃないか」
そういって座る三郎に、2人は膝を突き合わせ話を聞き始めた。
「確か大木先生は独身だったよね、恋仲の人かな」
「それが一番あり得そうだな。任務にしては相手の女はくノ一らしくなかった」
「でも偶然お店に来るなんてね」
「私も驚いたさ。でもしばらく黙っている代わりに高価な着物を買ってくださったんだ。ラッキーだったよ」
「売り上げが伸びるのはありがたいね。しばらく黙ってろってどのくらいなんだろうか」
「期間は指定されなかったからな。おそらくどこかのタイミングで、女の正体を知らされるか…もしくは忍術学園に大木先生と来る可能性もあるな」
「忍術学園に?」
「ああ。黙っていろではなく、“しばらく”黙っていろだからな。我々生徒に伝えるタイミングがあるのかもしれない。ただし、今日ではなかった」
「なるほどな。それなら僕たちはそれまで黙っていればいいんだね」
雷蔵はそれ以上、女の事は気にならないらしく品出しを始める。
「…それじゃあ、私は残りの奴らに伝えてくる」
「分かった。いってらっしゃい」
兵助と八左ヱ門の豆腐屋は、予想以上に盛況だった。朝からお客さんがチラホラと来てくれていたが、何やら口コミで後から沢山の人達が来店してくれていた。
(おほー、この分だと生物委員会の餌代が増えそうだ)
良い餌が買えそうだと喜ぶ八左ヱ門。来店客を捌きつつ、笑顔で接客をしている。
兵助は足りなくなった豆腐を作っている最中だ。
「兵助ー!そろそろ豆腐が切れそうだ!」
「分かってる。もう少しで出来上がるから待っててくれ」
兵助は額の汗を拭う。1人で豆腐屋をやろうと思っていたが、八左ヱ門に頼んでよかった。1人では店が回らなかっただろう。
「いらっしゃいませ!もうすぐ出来立ての豆腐がでますよ!」
元気な声で客を呼び込む。
「…出来立てのお豆腐ですって。雅之助さん、晩ごはんに買っていきませんか?」
「……まあ、そうだな」
「あれ、お豆腐嫌でした?」
「そんなことはないぞ!とっとと買って帰るぞ」
「はい」
親密な雰囲気の2人が入店する。
「大木せっ……」
驚きで声を上げかけた八左ヱ門だったが、大木の目配せに口をつぐむ。
(今の会話からして同棲してるよな。恋人?いや奥さん?)
混乱する頭で、普段通り接客をしなくてはと気を取り直す。女性を見ると小柄で若そうだった。
(大木先生より随分年下だなあ。…って、なんであんなに驚いた顔してんだ?)
女の人は何故か自分を見て驚いている。今までの客からは、こんな風に見られていなかった。服装などに問題はないはずだ。
「…えっと、どうかされました?」
「え?いや、何でもないです。……随分若い方だなあって」
「…そうですか?」
大木を見るが、こちらも理由が分からないみたいだった。
「もうすぐ豆腐が出来上がるので、お待ちください」
少し待ってもらっていると、厨房から兵助が出来立ての豆腐を運んできた。
「お待たせしました。出来立てですよ」
にっこりと笑顔を浮かべる兵助だったが、目の奥は笑っていない。
(大木先生が女の人連れてきて驚いてるな)
五年間共に過ごした級友だ、なんともない様だが僅かな変化に八左ヱ門は気がつく。
「…っあ…じゃあお豆腐一丁ください」
「毎度あり」
八左ヱ門は豆腐を持ち帰り用の小さな桶に入れる。女はそれを受けとる。
豆腐を受け取ってすぐに大木と女の人は店を出て行った。
「なあなあ!大木先生の奥さんかな!」
「豆腐買って帰る仲だからな。一緒に住んでいるんだろうな。それより、あの人は何故俺たちを見て驚いていたんだ?」
「それが分かんねえんだよなあ。大木先生も知らなそうだったし」
「気になるな…」
「そっちかよ。俺は2人の仲の方が気になるぜ!」
「ともかく実習が終わってからだな」
「探るのはしばらく後になるぞ」
「「三郎!」」
「大木先生からしばらく黙っていろとの事だ。探るのはその後だな」
「おい!三郎、もしかしてお前たちの店にもきたのか?」
「慌てるなよ八左ヱ門。まずは、何があったか話そうじゃないか」
そういって座る三郎に、2人は膝を突き合わせ話を聞き始めた。