一章(杭瀬村編)
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大木と町へ向かうためうしおはフキからもらった着物を着て、頭には手拭いを被った。
(農作業以外で手拭い被るの違和感だけど…仕方ないよね)
街に行くなら、なおさら目立たないようにしなければならない。手拭いかぶってるのは不恰好だけど仕方ない。
「準備はいいか?」
「はい、お待たせしました」
2人並んで街へ向かう。大木はうしおの歩幅に合わせて、ゆっくり歩いてくれていた。
(何にも言わないけど、こういう所優しいなあ。普段ガサツそうに見えるのに)
くすりと笑ううしおに、大木がどうしたと首を傾げるが、なんでもないと首を振った。
「街なんて初めてだから楽しみです」
「色んな店があるから、気になるところは見てもいいぞ。だが、その前に連れて行きたい所があるがいいか?」
「もちろんです。どこに行く予定なんですか?」
「ちょっとな」
どこかは教えてくれないみたいだ。
(行ってからのお楽しみ的な?どこなんだろう…)
しばらく歩くと街に着いた。思ったよりも人で賑わっている。平屋の建物が並び、さまざまななお店が軒を連ねている。
「わー!色んなお店がありますね!」
「ここらで一番大きい街だからな」
うしおはキョロキョロと辺りを見ながら歩く。そうしていると、通行人にぶつかってしまう。
「っあ、すみません」
うしおはぶつかった人に謝る。相手は大丈夫だと言ってくれて、去って行った。
「子供のようじゃな。はぐれられては困るからの」
そう言って大木はうしおの手を握る。
「ま、雅之助さんっ!?」
「迷子防止じゃ」
ガハハと笑うと、そのまま歩き出してしまう。いくら夫婦のフリをしているからって、これは恥ずかしい。
「子供じゃないですし大丈夫ですよ!」
子供扱いされているようで、少し不満でもあった。だが、何を言っても笑うばかりで手を離してはくれない。
(…恥ずかしいけど、諦めるしかない)
うしおは繋がれる手をそのままに、大木について行く。
向こうのほうに行列が見える。行列は女性ばかりで、皆んなどことなく顔を赤らめている。
(なんかアイドルの出待ちみたい)
そんな事を思っていると、大木は行列に構わず店の中に入って行く。
「じゃまするぞ!」
「これは大木先生、お待ちしておりました。」
中に入ると、ダンディなおじ様と金髪の少年が女性の髪を結っている。
(斎藤タカ丸!そしてお父さんもいる!)
「…こちらの方ですね。初めまして私は斎藤幸隆と申します」
「僕は息子のタカ丸です。よろしくお願いします」
「初めましてうしおと申します」
「挨拶はそのくらいで、店が忙しい時に悪い。受け取りに来たんだが」
「ご準備できていますよ。さっ、こちらへどうぞ。」
幸隆は女性の接客を終えると、かがみの前に案内してくれる。
「タカ丸。しばらくの間接客を頼むよ」
「はーい」
ふにゃりと笑う姿はアニメそのままだ。
可愛いなあとうしおが和んでいると、幸隆が奥から何かを持ってきた。そしてうしおの後ろに座る。
「この手拭いを解いてもよいですか?」
「えっ?あのこれはちょっと…」
「かまわん!」
(なんで雅之助さんが答えてるの!)
では、と幸隆が手拭いを取ると、短い髪が見えてしまう。その髪を驚きもせず綺麗に整えて、何かを被せてきた。
(…これってもしかして…)
「…カツラですか…?」
「ええ、そうです。大木先生にご注文いただいて作りました」
「雅之助さんが……」
「これなら手拭いがなくても、人目を気にしないじゃろう」
「わざわざ作ってくれたんですか…?」
「…まあな。ここなら無理な注文もどうにかしてくれるしの」
大木は幸隆に手間をかけさせて悪いと言い、代金を支払う。
「学園にはお世話になっていますからね」
「うわー!うしおさん、とってもお似合いですね!」
いつのまにかタカ丸もやってくる。褒められて純粋に嬉しい。
鏡を覗くと今までとは別人のようだった。
長い黒髪で、下の方を結った髪型だ。まるでこの時代の女性のようだった。
「…これなら好きな着物も選べるじゃろう?」
「…雅之助さん…ありがとうございます」
きっと高価な品だろう。私のために作ってくれたのだ、本当にありがたい。
(こんなに良くしてもらっていいのかな…?)
うしおは嬉しいと思う反面、この恩はこれから返そうと思った。
斎藤親子が店の出口まで見送りをしてくれる。
「ありがとうございました」
うしおがお礼を言う。
「2人ともお似合いですよ」
パチリとウィンクをする幸隆。タカ丸もニコニコしながら送ってくれる。
「っ///」
(…どう言う意味のお似合いなの?これって否定するべき?)
「そうじゃろう。なんせ夫婦じゃからのお」
「違いますって!」
また揶揄われていると、大木の腕を軽く叩く。しかし、大木はその手をするりと掴み握る。あまりに自然な仕草にドキリとする。
「それじゃあなあ。ほれ、着物を見に行くんじゃろ」
「そうですけど///」
大木はうしおの手を引いて店を出る。
「大木先生にも春が来たのだろうな」
「2人ともお似合いだよね」
うしおの知らない所で、斎藤親子は2人の後ろ姿を眺め話していた。
(農作業以外で手拭い被るの違和感だけど…仕方ないよね)
街に行くなら、なおさら目立たないようにしなければならない。手拭いかぶってるのは不恰好だけど仕方ない。
「準備はいいか?」
「はい、お待たせしました」
2人並んで街へ向かう。大木はうしおの歩幅に合わせて、ゆっくり歩いてくれていた。
(何にも言わないけど、こういう所優しいなあ。普段ガサツそうに見えるのに)
くすりと笑ううしおに、大木がどうしたと首を傾げるが、なんでもないと首を振った。
「街なんて初めてだから楽しみです」
「色んな店があるから、気になるところは見てもいいぞ。だが、その前に連れて行きたい所があるがいいか?」
「もちろんです。どこに行く予定なんですか?」
「ちょっとな」
どこかは教えてくれないみたいだ。
(行ってからのお楽しみ的な?どこなんだろう…)
しばらく歩くと街に着いた。思ったよりも人で賑わっている。平屋の建物が並び、さまざまななお店が軒を連ねている。
「わー!色んなお店がありますね!」
「ここらで一番大きい街だからな」
うしおはキョロキョロと辺りを見ながら歩く。そうしていると、通行人にぶつかってしまう。
「っあ、すみません」
うしおはぶつかった人に謝る。相手は大丈夫だと言ってくれて、去って行った。
「子供のようじゃな。はぐれられては困るからの」
そう言って大木はうしおの手を握る。
「ま、雅之助さんっ!?」
「迷子防止じゃ」
ガハハと笑うと、そのまま歩き出してしまう。いくら夫婦のフリをしているからって、これは恥ずかしい。
「子供じゃないですし大丈夫ですよ!」
子供扱いされているようで、少し不満でもあった。だが、何を言っても笑うばかりで手を離してはくれない。
(…恥ずかしいけど、諦めるしかない)
うしおは繋がれる手をそのままに、大木について行く。
向こうのほうに行列が見える。行列は女性ばかりで、皆んなどことなく顔を赤らめている。
(なんかアイドルの出待ちみたい)
そんな事を思っていると、大木は行列に構わず店の中に入って行く。
「じゃまするぞ!」
「これは大木先生、お待ちしておりました。」
中に入ると、ダンディなおじ様と金髪の少年が女性の髪を結っている。
(斎藤タカ丸!そしてお父さんもいる!)
「…こちらの方ですね。初めまして私は斎藤幸隆と申します」
「僕は息子のタカ丸です。よろしくお願いします」
「初めましてうしおと申します」
「挨拶はそのくらいで、店が忙しい時に悪い。受け取りに来たんだが」
「ご準備できていますよ。さっ、こちらへどうぞ。」
幸隆は女性の接客を終えると、かがみの前に案内してくれる。
「タカ丸。しばらくの間接客を頼むよ」
「はーい」
ふにゃりと笑う姿はアニメそのままだ。
可愛いなあとうしおが和んでいると、幸隆が奥から何かを持ってきた。そしてうしおの後ろに座る。
「この手拭いを解いてもよいですか?」
「えっ?あのこれはちょっと…」
「かまわん!」
(なんで雅之助さんが答えてるの!)
では、と幸隆が手拭いを取ると、短い髪が見えてしまう。その髪を驚きもせず綺麗に整えて、何かを被せてきた。
(…これってもしかして…)
「…カツラですか…?」
「ええ、そうです。大木先生にご注文いただいて作りました」
「雅之助さんが……」
「これなら手拭いがなくても、人目を気にしないじゃろう」
「わざわざ作ってくれたんですか…?」
「…まあな。ここなら無理な注文もどうにかしてくれるしの」
大木は幸隆に手間をかけさせて悪いと言い、代金を支払う。
「学園にはお世話になっていますからね」
「うわー!うしおさん、とってもお似合いですね!」
いつのまにかタカ丸もやってくる。褒められて純粋に嬉しい。
鏡を覗くと今までとは別人のようだった。
長い黒髪で、下の方を結った髪型だ。まるでこの時代の女性のようだった。
「…これなら好きな着物も選べるじゃろう?」
「…雅之助さん…ありがとうございます」
きっと高価な品だろう。私のために作ってくれたのだ、本当にありがたい。
(こんなに良くしてもらっていいのかな…?)
うしおは嬉しいと思う反面、この恩はこれから返そうと思った。
斎藤親子が店の出口まで見送りをしてくれる。
「ありがとうございました」
うしおがお礼を言う。
「2人ともお似合いですよ」
パチリとウィンクをする幸隆。タカ丸もニコニコしながら送ってくれる。
「っ///」
(…どう言う意味のお似合いなの?これって否定するべき?)
「そうじゃろう。なんせ夫婦じゃからのお」
「違いますって!」
また揶揄われていると、大木の腕を軽く叩く。しかし、大木はその手をするりと掴み握る。あまりに自然な仕草にドキリとする。
「それじゃあなあ。ほれ、着物を見に行くんじゃろ」
「そうですけど///」
大木はうしおの手を引いて店を出る。
「大木先生にも春が来たのだろうな」
「2人ともお似合いだよね」
うしおの知らない所で、斎藤親子は2人の後ろ姿を眺め話していた。