一章(杭瀬村編)
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今日はフキさんの家へ行く日だった。昨日は乱太郎達が来ていたため行けなかったからだ。時間があれば毎日行っている。そうしないと母乳が出なくなるし、胸に母乳が溜まって痛くなってしまう。
毎日通っているうちに、フキさんの家族とも仲良くなった。
母乳をあげる代わりにお米など分けてもらうこともあった。
「うしおさん、これ私が着ていたものだけどもらってくれる?」
そう言ってフキさんは普段から着れそうな着物をくれる。
「そんな、着物なんて高いですし…」
「そんな高価なものじゃないの…古着屋で買ったものだから。うしおさん女物の着物持ってないでしょう?」
こちらに来てからは大木の着物を借りたままだった。男もののため大きくて不恰好だが、なんとか着ている状況だった。
着物を買うお金は無かったし、ありがたいことではある。
「今まで遠くまでお乳をもらいに行ってたから、家のことや畑をやる時間が取れなかったの。でも今はうしおさんのおかげで助かってるのよ。それにこの子も前より元気に育ってる気がするの」
フキさんはお腹がいっぱいで眠っている我が子を愛おしそうに眺める。確かに前より大きくなってきている感じがする。
「だから貰ってちょうだい。いつものお礼だから…ね?」
「…本当に助かります…ありがとうございます」
うしおは着物を受け取ると、大事そうに抱える。
「大切に着ます」
そう言うとフキはにっこり微笑んだ。
帰り道うしおの足取りは軽かった。自分にできる事が人の役に立っている。この世界で生きる第一歩を踏み出せたような気がした。
(大木先生の着物、借りっぱなしにもできないしね)
家に着くとフキからもらった着物に着替える。
(身の丈も丁度いいみたい)
新しい着物に心が弾む。
「なんじゃうしお新しい着物か?」
「あ!雅之助さんおかえりなさい。実はフキさんに着なくなった着物をいただいたんです!」
「おーそうか。よく似合っとるぞ!」
「っ…そうですか?ありがとうございます」
まっすぐ褒められる事などなかったので、うしおは恥ずかしそうに目を逸らす。
「今までワシの着物じゃったから、不恰好だったしの。一着では足りんだろう。そろそろうしおの着物を買いに行くか!」
「いえいえっ、そんな大丈夫ですよ」
「他の者に着物を貰わせていては、夫としていかんだろう!妻に着るものぐらい贈らなくてはな!」
「妻って…」
近所の手前そういう設定にしているが、村の人に結婚したとは明言していない。あくまで夫婦なのかな?と思わせているだけだ。だから、大木から妻と言われることは初めてでむず痒い。
「たまには息抜きに街に行くか。夫婦水入らずで」
「…雅之助さん…揶揄ってますよね」
「アハハうしおも言い返すようになったの!」
「毎日揶揄われてたら言い返しますよ!」
「すまんすまん。だがいつも畑や家事を頑張ってくれてるじゃろう。たまには息抜きもせんとな!」
「それはここに住まわせてもらってるから当然ですよ….」
「それでもワシは助かっておる」
日頃、慣れない生活に慣れようと必死だった。それも住まわせてもらっていて、お金も出せないからと思っていたからだ。それが当然だと思っていた。だが大木にそんな事言われると頑張って良かったと思える。
「…それになうしお…」
「はい…」
大木がずいっと顔を寄せてくる。近い距離にうしおはドキドキする。
「…お前を連れて行きたい所もある。ワシとデートしてくれんか?」
(なにその表情!色っぽ過ぎてどうしよう)
眉を下げ哀願するような仕草が、いつもとギャップがあり過ぎて心臓に悪い。
うしおは顔を真っ赤にさせて、行きますと頷く。
「決まりじゃな!」
いつもの笑顔でうしおの頭を撫でる大木に、うしおはドキドキしたままだった。
毎日通っているうちに、フキさんの家族とも仲良くなった。
母乳をあげる代わりにお米など分けてもらうこともあった。
「うしおさん、これ私が着ていたものだけどもらってくれる?」
そう言ってフキさんは普段から着れそうな着物をくれる。
「そんな、着物なんて高いですし…」
「そんな高価なものじゃないの…古着屋で買ったものだから。うしおさん女物の着物持ってないでしょう?」
こちらに来てからは大木の着物を借りたままだった。男もののため大きくて不恰好だが、なんとか着ている状況だった。
着物を買うお金は無かったし、ありがたいことではある。
「今まで遠くまでお乳をもらいに行ってたから、家のことや畑をやる時間が取れなかったの。でも今はうしおさんのおかげで助かってるのよ。それにこの子も前より元気に育ってる気がするの」
フキさんはお腹がいっぱいで眠っている我が子を愛おしそうに眺める。確かに前より大きくなってきている感じがする。
「だから貰ってちょうだい。いつものお礼だから…ね?」
「…本当に助かります…ありがとうございます」
うしおは着物を受け取ると、大事そうに抱える。
「大切に着ます」
そう言うとフキはにっこり微笑んだ。
帰り道うしおの足取りは軽かった。自分にできる事が人の役に立っている。この世界で生きる第一歩を踏み出せたような気がした。
(大木先生の着物、借りっぱなしにもできないしね)
家に着くとフキからもらった着物に着替える。
(身の丈も丁度いいみたい)
新しい着物に心が弾む。
「なんじゃうしお新しい着物か?」
「あ!雅之助さんおかえりなさい。実はフキさんに着なくなった着物をいただいたんです!」
「おーそうか。よく似合っとるぞ!」
「っ…そうですか?ありがとうございます」
まっすぐ褒められる事などなかったので、うしおは恥ずかしそうに目を逸らす。
「今までワシの着物じゃったから、不恰好だったしの。一着では足りんだろう。そろそろうしおの着物を買いに行くか!」
「いえいえっ、そんな大丈夫ですよ」
「他の者に着物を貰わせていては、夫としていかんだろう!妻に着るものぐらい贈らなくてはな!」
「妻って…」
近所の手前そういう設定にしているが、村の人に結婚したとは明言していない。あくまで夫婦なのかな?と思わせているだけだ。だから、大木から妻と言われることは初めてでむず痒い。
「たまには息抜きに街に行くか。夫婦水入らずで」
「…雅之助さん…揶揄ってますよね」
「アハハうしおも言い返すようになったの!」
「毎日揶揄われてたら言い返しますよ!」
「すまんすまん。だがいつも畑や家事を頑張ってくれてるじゃろう。たまには息抜きもせんとな!」
「それはここに住まわせてもらってるから当然ですよ….」
「それでもワシは助かっておる」
日頃、慣れない生活に慣れようと必死だった。それも住まわせてもらっていて、お金も出せないからと思っていたからだ。それが当然だと思っていた。だが大木にそんな事言われると頑張って良かったと思える。
「…それになうしお…」
「はい…」
大木がずいっと顔を寄せてくる。近い距離にうしおはドキドキする。
「…お前を連れて行きたい所もある。ワシとデートしてくれんか?」
(なにその表情!色っぽ過ぎてどうしよう)
眉を下げ哀願するような仕草が、いつもとギャップがあり過ぎて心臓に悪い。
うしおは顔を真っ赤にさせて、行きますと頷く。
「決まりじゃな!」
いつもの笑顔でうしおの頭を撫でる大木に、うしおはドキドキしたままだった。