一章(杭瀬村編)
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「よしお前たち!ここらへん一帯のネギの収穫を頼む!」
大木は広大なネギ畑を指差す。
3人は元気よく返事をすると作業に取り掛かる。うしおと土井もしゃがんでネギの収穫を始める。
すると、大木がうしおに耳打ちする。
「前回のこともある。無理はするなよ。」
周りに聞かれないように気を遣ってか、いつもより低い声が耳をくすぐる。
(近いっ)
うしおは耳を抑えて顔を赤らめる。
「わ、分かりました」
大木は何食わぬ顔でいる。
(最近なんだか揶揄われたり、距離が近くなっているような…仲良くなれてきたってことかな)
うしおと初めて出会った夜から、しばらく共に生活して、少しは距離が縮まったのかもしれない。少し距離感が近くて心臓に悪いけれど。
(よし。今日は倒れずに無理せず頑張るぞ!)
前回の挽回のチャンスだと、うしおは張り切った。
広い畑のため、それぞれ近くもなく遠くもない距離で収獲していた。土井先生と作業ということで緊張していたが、話すこともほぼ無い。
(なんだ緊張して損した)
うしおは黙々と作業をする。今日は前回と比べて曇っているため、そんなに暑さはなかった。それでも大木はたまにうしおの様子を伺って大丈夫か?と声をかけてくれる。
(すごい気を遣ってくれてる。大木先生って、やっぱり優しい人だなあ。ほぼ見ず知らずの怪しさ満点だった私を、気にかけてくれるなんて…)
うしおは大木の気遣いにありがたさを感じる。
「大木さん。私は大丈夫ですから、心配せずいつも通り作業してください」
私を気にして遠くで作業ができていない気がする。それは逆に収獲の邪魔になっているようで申し訳なかった。
「…そうか?それじゃあ、乱太郎たちと一緒にネギを家まで運んでくれるか?」
「分かりました。ついでにお茶持って来ますね」
「気が利くな。頼んだ」
大木は少し向こうまでネギを収獲しに行った。
うしおは乱太郎達に声をかける。
「みんなー!一旦ネギをお家まで運ぶよー!」
「「「はーい」」」
少し離れたところにいた3人が集まって来た。
土井先生も一緒に着いて来てくれるみたいだ。
みんなでネギを荷台に積むと家まで運ぶ。
「みんな疲れてない?」
「僕もうだめかもー」
そう言うしんべいは今にも倒れそうだ。
「ほら、しんべい。あと少しだから頑張れ」
土井の励ましに力無くうなづく。
「家でお茶を淹れますので、少し休憩にしましょうか。おにぎりも握ろうかな」
「おにぎり!僕なんだか元気になれそう!」
現金なやつだと乱太郎ときり丸は顔を見合わせ苦笑する。
「すみません、うちの生徒が」
「いえ、元々休憩する予定でしたし。大木さんにも無理はするなと言われてますので」
「…どこか体が悪いのですか?」
「少し体力が落ちてて…いまリハビリ中なんです。病気ではないですよ!」
「そうなんですね」
「大木さんには気を遣ってもらって…」
「だから大木先生、今日は僕たちの近くにいたんですね。うしおさんがいるから」
「いつもならすぐ、向こうのほうで作業するもんな。てっきりうしおさんといちゃいちゃしたいからかと思ったぜ」
「きり丸君!?」
「だって、こっそり耳打ちしたり、たまにうしおさんのそばに来て話しかけてたじゃないっすか。」
「ええ?それは私の体調を心配して…」
「私も2人はそういう仲なのかと思ってました」
「乱太郎君まで!」
「でも大木先生とうしおさん、すごく歳が離れてそうだよね」
「なんの心配してるの?しんべえ君」
「確かに!じゃあ土井先生なんてどうっすか?」
「こら!きり丸!」
土井が軽く拳骨を落とす。きり丸は頭をさするが、痛くは無いだろう。
「きり丸君、それは土井さんに失礼よ。こんな年上相手に…」
自分で言っていて悲しくなる。あの頃、土井先生に恋していた自分の歳とはかけ離れている。
「…え?うしおさんって何歳なんすか?」
「……30歳だけど」
「「「えーー!!」」」
「何よ、歳くらいとるの!」
「二十歳より少し上くらいかと思ってました…」
「土井さんまで。子供っぽいと仰るのですね」
若くみられるのは嬉しいが、本当の年齢を言いづらい。それに、幼いガキ扱いされてるみたいで嫌だ。
(もしかして大木さんも、そう思ってるから揶揄ってくるのかな…)
「そういう訳ではなく本当にお若いと思って」
「……ありがとうございます…?」
喜んで良いのか分からないが、一応お礼だけ言っておく。
「それなら大木先生の方がお似合いだねー」
のほほんと言うしんべえに、うしおはそんなんじゃ無いと否定する。
しかし、なぜか胸がざわざわとむず痒い。
(…本当にそんなんじゃ無いのに)
その後も、うしおを大木とくっつけたがる三人に、家までの道中で疲れてしまった。
大木は広大なネギ畑を指差す。
3人は元気よく返事をすると作業に取り掛かる。うしおと土井もしゃがんでネギの収穫を始める。
すると、大木がうしおに耳打ちする。
「前回のこともある。無理はするなよ。」
周りに聞かれないように気を遣ってか、いつもより低い声が耳をくすぐる。
(近いっ)
うしおは耳を抑えて顔を赤らめる。
「わ、分かりました」
大木は何食わぬ顔でいる。
(最近なんだか揶揄われたり、距離が近くなっているような…仲良くなれてきたってことかな)
うしおと初めて出会った夜から、しばらく共に生活して、少しは距離が縮まったのかもしれない。少し距離感が近くて心臓に悪いけれど。
(よし。今日は倒れずに無理せず頑張るぞ!)
前回の挽回のチャンスだと、うしおは張り切った。
広い畑のため、それぞれ近くもなく遠くもない距離で収獲していた。土井先生と作業ということで緊張していたが、話すこともほぼ無い。
(なんだ緊張して損した)
うしおは黙々と作業をする。今日は前回と比べて曇っているため、そんなに暑さはなかった。それでも大木はたまにうしおの様子を伺って大丈夫か?と声をかけてくれる。
(すごい気を遣ってくれてる。大木先生って、やっぱり優しい人だなあ。ほぼ見ず知らずの怪しさ満点だった私を、気にかけてくれるなんて…)
うしおは大木の気遣いにありがたさを感じる。
「大木さん。私は大丈夫ですから、心配せずいつも通り作業してください」
私を気にして遠くで作業ができていない気がする。それは逆に収獲の邪魔になっているようで申し訳なかった。
「…そうか?それじゃあ、乱太郎たちと一緒にネギを家まで運んでくれるか?」
「分かりました。ついでにお茶持って来ますね」
「気が利くな。頼んだ」
大木は少し向こうまでネギを収獲しに行った。
うしおは乱太郎達に声をかける。
「みんなー!一旦ネギをお家まで運ぶよー!」
「「「はーい」」」
少し離れたところにいた3人が集まって来た。
土井先生も一緒に着いて来てくれるみたいだ。
みんなでネギを荷台に積むと家まで運ぶ。
「みんな疲れてない?」
「僕もうだめかもー」
そう言うしんべいは今にも倒れそうだ。
「ほら、しんべい。あと少しだから頑張れ」
土井の励ましに力無くうなづく。
「家でお茶を淹れますので、少し休憩にしましょうか。おにぎりも握ろうかな」
「おにぎり!僕なんだか元気になれそう!」
現金なやつだと乱太郎ときり丸は顔を見合わせ苦笑する。
「すみません、うちの生徒が」
「いえ、元々休憩する予定でしたし。大木さんにも無理はするなと言われてますので」
「…どこか体が悪いのですか?」
「少し体力が落ちてて…いまリハビリ中なんです。病気ではないですよ!」
「そうなんですね」
「大木さんには気を遣ってもらって…」
「だから大木先生、今日は僕たちの近くにいたんですね。うしおさんがいるから」
「いつもならすぐ、向こうのほうで作業するもんな。てっきりうしおさんといちゃいちゃしたいからかと思ったぜ」
「きり丸君!?」
「だって、こっそり耳打ちしたり、たまにうしおさんのそばに来て話しかけてたじゃないっすか。」
「ええ?それは私の体調を心配して…」
「私も2人はそういう仲なのかと思ってました」
「乱太郎君まで!」
「でも大木先生とうしおさん、すごく歳が離れてそうだよね」
「なんの心配してるの?しんべえ君」
「確かに!じゃあ土井先生なんてどうっすか?」
「こら!きり丸!」
土井が軽く拳骨を落とす。きり丸は頭をさするが、痛くは無いだろう。
「きり丸君、それは土井さんに失礼よ。こんな年上相手に…」
自分で言っていて悲しくなる。あの頃、土井先生に恋していた自分の歳とはかけ離れている。
「…え?うしおさんって何歳なんすか?」
「……30歳だけど」
「「「えーー!!」」」
「何よ、歳くらいとるの!」
「二十歳より少し上くらいかと思ってました…」
「土井さんまで。子供っぽいと仰るのですね」
若くみられるのは嬉しいが、本当の年齢を言いづらい。それに、幼いガキ扱いされてるみたいで嫌だ。
(もしかして大木さんも、そう思ってるから揶揄ってくるのかな…)
「そういう訳ではなく本当にお若いと思って」
「……ありがとうございます…?」
喜んで良いのか分からないが、一応お礼だけ言っておく。
「それなら大木先生の方がお似合いだねー」
のほほんと言うしんべえに、うしおはそんなんじゃ無いと否定する。
しかし、なぜか胸がざわざわとむず痒い。
(…本当にそんなんじゃ無いのに)
その後も、うしおを大木とくっつけたがる三人に、家までの道中で疲れてしまった。