かげぼうし
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武器庫の方で爆発音がする。
仙蔵が焙烙火矢を予定通りに放ったのだろう。
近くでは武器同士がぶつかり合い火花を散らしていた。
「文次郎、ばててんじゃねーぞ!」
「うるせぇ!お前の方こそ動きが鈍くなってんじゃねーのかよ!」
お互いに敵の兵士と向き合いながら、二人には余裕が見られる。
しかし二人は建物の影に隠れている敵に気がついていない。
敵兵数人が二人に襲いかかる。
「「・・・っ!」」
眼前にいる敵と対峙しながらは、いくら六年生であっても余裕なままではいられない。
「・・・・気を抜きすぎだ・・・」
戦いの喧噪の中で聞き取るにはあまりに小さな声だ。しかし、6年間の付き合いから内容は大体分かるものだ。
敵に取り囲まれそうなところを長次が後方から援護に入る。
「長次・・・悪いな」
「お前がよそ見するからだ、留三郎」
「なにを!お前こそ、い組のくせに何やってんだよ!」
「・・・モソ・・・」
敵は未だに三人の周りに殺意を持って存在している。
それらの存在を無視しているわけではないが、二人は通常通り喧嘩を始めてしまう。
「お前達いい加減にしろ」
普段おとなしい長次であっても、我慢の限界というものがある。
いくら六年生の実習とはいえ真剣に取り組むべきである。この喧嘩さえなければ二人は良いコンビであることは間違いない。
いつまでも落ち着かない二人に、長次の不気味な笑いがこぼれそうになる。
「いつまでやっているんだ文次郎。早く撤退するぞ」
その声と同時に爆風に包まれる二人。
「「仙蔵!!味方にまで攻撃をするな!!」
軽く爆発に巻き込まれた留三郎と文次郎は抗議の声を上げる。
「お前達がぐずぐずしているからだ」
仙蔵はそれを鼻で笑った。彼らの周りにいた敵兵はほとんど身動きがとれないほどになっていた。
「・・・作戦は終わったのか・・・」
「ああ。あとは計画通り吊り橋の先で小平太を待つのみだ。」
「・・・・そうか、では向かおう・・・」
仙蔵と長次が動き出すと、留三郎達も共に移動を始める。
「・・・・伊作?」
「・・・留三郎?」
橋の影に隠れ、待機している伊作と合流する。
「それで小平太は?」
「もうすぐだと思うよ、仙蔵。救援の狼煙はあがっていないし」
「そうか。」
何かあれば合図が送られる事となっている。
実習とは言え、実際に怪我もすれば命の危険だってある。
気を緩めることはできない。
「大丈夫だよね」
「心配ない、あの小平太だぞ」
「そうだ。だいたい予算会議の資料も提出していないし、戻ってこなければ困る。」
「・・・モソ・・・」
お互いに大丈夫だと言い合ってはいるが、何かあったのではないかという不安もある。
念のため、失敗した場合を考えて動けるようにしておかなくては。
そんなことを考えていると、橋の向こうから凄い早さで荷車がやってくる。
あの早さで、荷車いっぱいの大荷物を、しかも最小限の音のみで移動させる。
そんなことが出来るのは・・・
「・・・来た!!」
伊作は嬉しそうに声をあげる。
皆が待つ橋に土埃をあげながら荷車が到着する。
「待たせたな!」
闇の中でも分かるほど明るい笑顔で登場した人物に、全員が安堵の表情を浮かべる。
「おっせーよ!」
「悪い悪い!荷物を積むのに手間取ってな!」
「でも良かったよ、無事で」
「それよりも荷物多くねーか?」
留三郎は荷台にある荷物の数を数える。
今回の実習では、ある荷物を奪えというものだった。
荷物の数が若干多い。
「小平太、お前さては適当に積んできたのではあるまいな?」
「そ、そんなことないぞ!だが一応確認してみるか!」
小平太は慌てて荷の中身を確認する。
長次も同室の仲であるしと思い、共に確認をする。
「こちらは問題ない」
長次は小平太に向けて視線を送る。
「・・・・・・・・・こっちも問題ないぞ!」
その視線に答えるように小平太が言う。
「・・・そうか、では忍術学園に帰還するとしよう」
「よし!では私が学園まで引いていこう!」
「・・・小平太・・・慎重に・・・」
「・・・分かっている!」
そうして、先ほどよりもゆっくりな速度で荷を引き始める。
その速度に合わせ、六年生は忍術学園へと帰る。
小平太のいつもの爆走が発動しないおかげで、実習の帰り道は平穏であった。
しかし、この平穏も学園に到着すると共になくなってしまうのだった。
仙蔵が焙烙火矢を予定通りに放ったのだろう。
近くでは武器同士がぶつかり合い火花を散らしていた。
「文次郎、ばててんじゃねーぞ!」
「うるせぇ!お前の方こそ動きが鈍くなってんじゃねーのかよ!」
お互いに敵の兵士と向き合いながら、二人には余裕が見られる。
しかし二人は建物の影に隠れている敵に気がついていない。
敵兵数人が二人に襲いかかる。
「「・・・っ!」」
眼前にいる敵と対峙しながらは、いくら六年生であっても余裕なままではいられない。
「・・・・気を抜きすぎだ・・・」
戦いの喧噪の中で聞き取るにはあまりに小さな声だ。しかし、6年間の付き合いから内容は大体分かるものだ。
敵に取り囲まれそうなところを長次が後方から援護に入る。
「長次・・・悪いな」
「お前がよそ見するからだ、留三郎」
「なにを!お前こそ、い組のくせに何やってんだよ!」
「・・・モソ・・・」
敵は未だに三人の周りに殺意を持って存在している。
それらの存在を無視しているわけではないが、二人は通常通り喧嘩を始めてしまう。
「お前達いい加減にしろ」
普段おとなしい長次であっても、我慢の限界というものがある。
いくら六年生の実習とはいえ真剣に取り組むべきである。この喧嘩さえなければ二人は良いコンビであることは間違いない。
いつまでも落ち着かない二人に、長次の不気味な笑いがこぼれそうになる。
「いつまでやっているんだ文次郎。早く撤退するぞ」
その声と同時に爆風に包まれる二人。
「「仙蔵!!味方にまで攻撃をするな!!」
軽く爆発に巻き込まれた留三郎と文次郎は抗議の声を上げる。
「お前達がぐずぐずしているからだ」
仙蔵はそれを鼻で笑った。彼らの周りにいた敵兵はほとんど身動きがとれないほどになっていた。
「・・・作戦は終わったのか・・・」
「ああ。あとは計画通り吊り橋の先で小平太を待つのみだ。」
「・・・・そうか、では向かおう・・・」
仙蔵と長次が動き出すと、留三郎達も共に移動を始める。
「・・・・伊作?」
「・・・留三郎?」
橋の影に隠れ、待機している伊作と合流する。
「それで小平太は?」
「もうすぐだと思うよ、仙蔵。救援の狼煙はあがっていないし」
「そうか。」
何かあれば合図が送られる事となっている。
実習とは言え、実際に怪我もすれば命の危険だってある。
気を緩めることはできない。
「大丈夫だよね」
「心配ない、あの小平太だぞ」
「そうだ。だいたい予算会議の資料も提出していないし、戻ってこなければ困る。」
「・・・モソ・・・」
お互いに大丈夫だと言い合ってはいるが、何かあったのではないかという不安もある。
念のため、失敗した場合を考えて動けるようにしておかなくては。
そんなことを考えていると、橋の向こうから凄い早さで荷車がやってくる。
あの早さで、荷車いっぱいの大荷物を、しかも最小限の音のみで移動させる。
そんなことが出来るのは・・・
「・・・来た!!」
伊作は嬉しそうに声をあげる。
皆が待つ橋に土埃をあげながら荷車が到着する。
「待たせたな!」
闇の中でも分かるほど明るい笑顔で登場した人物に、全員が安堵の表情を浮かべる。
「おっせーよ!」
「悪い悪い!荷物を積むのに手間取ってな!」
「でも良かったよ、無事で」
「それよりも荷物多くねーか?」
留三郎は荷台にある荷物の数を数える。
今回の実習では、ある荷物を奪えというものだった。
荷物の数が若干多い。
「小平太、お前さては適当に積んできたのではあるまいな?」
「そ、そんなことないぞ!だが一応確認してみるか!」
小平太は慌てて荷の中身を確認する。
長次も同室の仲であるしと思い、共に確認をする。
「こちらは問題ない」
長次は小平太に向けて視線を送る。
「・・・・・・・・・こっちも問題ないぞ!」
その視線に答えるように小平太が言う。
「・・・そうか、では忍術学園に帰還するとしよう」
「よし!では私が学園まで引いていこう!」
「・・・小平太・・・慎重に・・・」
「・・・分かっている!」
そうして、先ほどよりもゆっくりな速度で荷を引き始める。
その速度に合わせ、六年生は忍術学園へと帰る。
小平太のいつもの爆走が発動しないおかげで、実習の帰り道は平穏であった。
しかし、この平穏も学園に到着すると共になくなってしまうのだった。
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