運命の邂逅【女主】
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「ここは?」
「ええから入れ」
中に入ると机や椅子やら色々物が置かれている。換気はされておらずホコリ臭い。
彼女をソファに座らせ、ここにいるよう告げると、男はこちらを振り向いた。
「お前ちょっとこい」
睨みをきかせながら私を追い越していく。
彼女に話を聞かれたくないらしい、黙ってついて行いき外へ出た。
「お前は何もんなんや」
「……」
「答えんかい!」
「殺し屋よ、マキムラマコトを殺すように依頼を受けた」
「殺し屋?何が彼女を隠さないとや、アイツを狙うとるんやないかい、誰に頼まれたんや」
「それは言えない。あんたこそ何者?ドス持ちのタキシードなんて日本であんたくらいじゃない?」
「格好はどうっちゃええやろ」
「自ら彼女を殺そうとしてるとは思えない、迷いがありすぎる。誰の指示?あんたの名前は?」
「お前が答えんのなら、こっちも答える義理あらへん」
「まぁいいや、じゃあ手を組もうよ」
「ああ?頭おかしいんか」
「たぶんあんたが考えてることと意見は一致してると思うんだけど」
「ハッ。分かったような口聞きやがって。一緒にすな」
「じゃあ殺すってことで」
「ちょっ、待てや!」
「はは、ほらやっぱり。お兄さん殺す気無いでしょ。やっぱ手を組もう」
「は?」
「私も彼女は殺さない、さっき決めた」
「どういうことや」
「カタギは殺さないって決めてるの」
「あの女がカタギやてなんで分かる」
「逆にカタギ以外に何に見えるの?」
「お前はなんなんや!曖昧な返事ばっかしとらんと全部話せ!」
「分かった分かった!説明するってばぁ。マキムラマコトを殺せと依頼を受けて東京から蒼天堀まで来たの。彼女を数日尾行していた。貴方が店から出てくるまで全てね。彼女はヤクの売人だと聞いていたんだけど……どうも違和感が拭えない」
「女を狙ろうとるんは俺とお前だけやない。さっきの奴らが言うとった、あの女には“価値”があるて」
「価値?なんの?」
「知らん」
「なるほど……」
「なんや、なんか分かったんか」
「依頼者から前金5億で引き受けてるんだよね」
「5億!?あれに5億の価値があるっちゅうんか!?」
「“価値”ねぇ……。5億の意味が分かったような分からないような。この状況を見ると裏で何かが動いてると思う」
「近江も絡んどる」
「近江って関西の一大組織の近江連合のこと?さっきのが近江ならかなり面倒になるんじゃ」
「一体何が起きとんねん」
「ていうか、お兄さんこそ何者?何で近江が絡んでること知ってるの?その格好からしてカタギ?ここで引いた方が……」
「無理や、もう後がない」
「借金でもしてるの?」
「お前には関係のないことや」
「私は全部話したのに。とりあえず言えることは話したんだから、組んでくれる?」
眼帯の男は肯定も否定もせず倉庫に戻っていく、それを私は肯定と捉えた。
彼女が狙われる理由、依頼者が何故彼女を執拗に殺したがっているのか。全てを知るために、そしてこの男が何者なのか少し様子を見ることにした。
戻るとぽつんと座った彼女が目に止まる。私だったら今のうちに逃げるのに、と思ったが盲目なら無理がある。
「あの、何があったんです?何で私がこんな……」
「それはこっちのセリフや、ヤクザ連中が名指しでお前を狙うとる。心当たりがないわけないやろ」
「そんなこと言われても……」
「『マキムラマコト』いう名前はテレクラの女共によう知られとる」
「テレクラ?」
「テレクラで情報を集めとったんや。そいつは『蝙蝠の刺青』を探しとるらしい」
「蝙蝠の刺青……」
私は思わず声に出していた。
「なんや蝙蝠の刺青に心当たりあるんか」
「……いや。続けて」
「マキムラマコトはお前なんか?それともあの店長の方か?」
「マキムラマコトは彼女で合ってる、間違いない」
「お前がマキムラマコト……」
蝙蝠の刺青に心当たりがある。
依頼者である男の腕にその刺青があることを私は知っていた。
「ええから入れ」
中に入ると机や椅子やら色々物が置かれている。換気はされておらずホコリ臭い。
彼女をソファに座らせ、ここにいるよう告げると、男はこちらを振り向いた。
「お前ちょっとこい」
睨みをきかせながら私を追い越していく。
彼女に話を聞かれたくないらしい、黙ってついて行いき外へ出た。
「お前は何もんなんや」
「……」
「答えんかい!」
「殺し屋よ、マキムラマコトを殺すように依頼を受けた」
「殺し屋?何が彼女を隠さないとや、アイツを狙うとるんやないかい、誰に頼まれたんや」
「それは言えない。あんたこそ何者?ドス持ちのタキシードなんて日本であんたくらいじゃない?」
「格好はどうっちゃええやろ」
「自ら彼女を殺そうとしてるとは思えない、迷いがありすぎる。誰の指示?あんたの名前は?」
「お前が答えんのなら、こっちも答える義理あらへん」
「まぁいいや、じゃあ手を組もうよ」
「ああ?頭おかしいんか」
「たぶんあんたが考えてることと意見は一致してると思うんだけど」
「ハッ。分かったような口聞きやがって。一緒にすな」
「じゃあ殺すってことで」
「ちょっ、待てや!」
「はは、ほらやっぱり。お兄さん殺す気無いでしょ。やっぱ手を組もう」
「は?」
「私も彼女は殺さない、さっき決めた」
「どういうことや」
「カタギは殺さないって決めてるの」
「あの女がカタギやてなんで分かる」
「逆にカタギ以外に何に見えるの?」
「お前はなんなんや!曖昧な返事ばっかしとらんと全部話せ!」
「分かった分かった!説明するってばぁ。マキムラマコトを殺せと依頼を受けて東京から蒼天堀まで来たの。彼女を数日尾行していた。貴方が店から出てくるまで全てね。彼女はヤクの売人だと聞いていたんだけど……どうも違和感が拭えない」
「女を狙ろうとるんは俺とお前だけやない。さっきの奴らが言うとった、あの女には“価値”があるて」
「価値?なんの?」
「知らん」
「なるほど……」
「なんや、なんか分かったんか」
「依頼者から前金5億で引き受けてるんだよね」
「5億!?あれに5億の価値があるっちゅうんか!?」
「“価値”ねぇ……。5億の意味が分かったような分からないような。この状況を見ると裏で何かが動いてると思う」
「近江も絡んどる」
「近江って関西の一大組織の近江連合のこと?さっきのが近江ならかなり面倒になるんじゃ」
「一体何が起きとんねん」
「ていうか、お兄さんこそ何者?何で近江が絡んでること知ってるの?その格好からしてカタギ?ここで引いた方が……」
「無理や、もう後がない」
「借金でもしてるの?」
「お前には関係のないことや」
「私は全部話したのに。とりあえず言えることは話したんだから、組んでくれる?」
眼帯の男は肯定も否定もせず倉庫に戻っていく、それを私は肯定と捉えた。
彼女が狙われる理由、依頼者が何故彼女を執拗に殺したがっているのか。全てを知るために、そしてこの男が何者なのか少し様子を見ることにした。
戻るとぽつんと座った彼女が目に止まる。私だったら今のうちに逃げるのに、と思ったが盲目なら無理がある。
「あの、何があったんです?何で私がこんな……」
「それはこっちのセリフや、ヤクザ連中が名指しでお前を狙うとる。心当たりがないわけないやろ」
「そんなこと言われても……」
「『マキムラマコト』いう名前はテレクラの女共によう知られとる」
「テレクラ?」
「テレクラで情報を集めとったんや。そいつは『蝙蝠の刺青』を探しとるらしい」
「蝙蝠の刺青……」
私は思わず声に出していた。
「なんや蝙蝠の刺青に心当たりあるんか」
「……いや。続けて」
「マキムラマコトはお前なんか?それともあの店長の方か?」
「マキムラマコトは彼女で合ってる、間違いない」
「お前がマキムラマコト……」
蝙蝠の刺青に心当たりがある。
依頼者である男の腕にその刺青があることを私は知っていた。