運命の邂逅【女主】
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騒ぎに気づいて、店長が事務所から戻ってきた。
「あ、あの……。支配人、何があったんですか?貸切のお客様は……?」
「貸切はしまいや」
「え、あんなにお金頂いてるのに、もう……?」
「ええから、お前はサツの応対しとけ。他のモンには開店準備させろ。今から通常営業や」
「わ、わかりました。準備でき次第店開けます。支配人はそれまでどうされますか?」
「店開くまで事務所におる、何かあったら呼べ」
「あ、はい。それで、あちらの方は……」
2人が同時に私を見る。
「気にせんでええ、早う行け」
その一言を最後に、店長は業務に戻っていった。
「何も聞けずじまいだったね」
「なんやったんやアイツ」
「マコトさんは無事なんだよね?」
「ああ、倉庫におる。で、かがなはどないするんや。まだこっちにおるつもりか」
「あなた達3人が心配で。お手伝いしてあげるよ」
「ガキに心配されるほど落ちぶれとらん」
「ガキじゃないし!」
「そっちの依頼主はどうするんや」
「死んだって伝える、金はしっかり貰う」
「お前に聞きたいことがある、蝙蝠、シカリオってなんや?」
「立ち話もなんや、とりあえず事務所戻るか」
真島の後ろを付いていく。2階に上がった奥の部屋が事務所のようだ。
真島が事務所のドアを開けて入ると室内からタバコの香りが鼻をかすめた。
入ってすぐ右に作業台があり、部屋の奥はパーテーションで区切られて見えないが、ソファがあり寛げるスペースになっているようだ。
真島はそのパーテンションを超えた辺りでぴたりと立ち止まる。
「さ、佐川はん……」
「よぉ、邪魔してるよ」
佐川と聞いて体が反応した。どこから湧いて出たのか。真島の雇い主が事務所に顔を出していた。サシで会う分には構わないが、真島と一緒にいるのはマズイ。
佐川と会ったとき、真島と既に会っていたことは話していなかったはずだ。
「いつから、ここに……?」
「サツが店に入ったすぐ後だ。にしてもずいぶん騒がしかったなあ。え?」
「……」
「それより真島ちゃよぉ……お前、仕事終えたら電話しろっつったろ?」
「仕事?」
「マキムラマコトだ、殺ったんだろ?ニュースで見たよ。蒼天堀に浮かべるなんて派手じゃないの。何ですぐ連絡してこなかった、ホウレンソウはどうした」
「うっかりしてたんや、これから連絡するとこやった」
「ふぅん……うっかりねぇ。でも妙なんだよな、例の女の死体……。俺ぁ、腑に落ちねんだよ。なんでわざわざ死体の顔潰したの?そのくせ死体にゃ、女の働き先の服着せたままだ。死体の身元隠してえのか、隠したくねえのか、よくわからねえじゃねえか」
佐川の言うとおりよく考えればわかることだった。計画が甘すぎた。
「……人殺したんは初めてやったんや、自分でもよう覚えとらん」
「気が動転してたって?ま、そういうこともあるかな?」
「どうでもええやろ!それより仕事は済んだんや、これで東城会に戻れるっちゅう約束やったで。嶋野の親父にナシつけてくれるんやろな?」
真島は会話をしながら、佐川に気づかれないよう“今の内に出ていけ”と私に手で合図をしている。足音を立てないようにゆっくりと後ろに下がりながらドアノブを握った。
「その前にもう一つ聞きてえ。さっき店で暴れてた男、あいつと何もめてたんだ?あいつは西谷って男でな、あれでも俺と同じ近江連合の直参だ。鬼人会ってな」
「近江連合の?」
「ああ、近江ん中にもいろいろあるがよ、鬼人会は他の誰かともつるまねえ跳ねっ返りだ。どこの縄張りだろうと好き勝手やらかす、蒼天堀のトラブルメーカーってやつだ。ま、俺は嫌いじゃねえよ?ただ、その鬼人会がなんでお前にちょっかい出してきてんだ?連中と何があった?」
「店ん中で暴れただけや、ええ酒飲み慣れなかったんとちゃうか?」
「そっか、まあ西谷のやりそうなことではあるか。ならいいんだが……なんでシカリオちゃんまでいたのかねえ?」
カランカラン
机の上に置いてあった消臭スプレー缶が倒れて床に転がった。シカリオという名前に反応してしまった私は足を作業台にぶつけてしまったのだ。
ゆっくり真島を見ると呆れた顔をしている。
「ん?なんだ?」
「……缶が倒れただけや」
佐川はパーテーションから顔を覗かせる。
「はぁん、もしかしてずっといたの?ん?真島」
「……」
「盗み聞きは良くないよシカリオちゃん」
もう逃げても仕方がない。
ドアノブから手を離し、真島と佐川の元へ歩み寄る。
「あ、あの……。支配人、何があったんですか?貸切のお客様は……?」
「貸切はしまいや」
「え、あんなにお金頂いてるのに、もう……?」
「ええから、お前はサツの応対しとけ。他のモンには開店準備させろ。今から通常営業や」
「わ、わかりました。準備でき次第店開けます。支配人はそれまでどうされますか?」
「店開くまで事務所におる、何かあったら呼べ」
「あ、はい。それで、あちらの方は……」
2人が同時に私を見る。
「気にせんでええ、早う行け」
その一言を最後に、店長は業務に戻っていった。
「何も聞けずじまいだったね」
「なんやったんやアイツ」
「マコトさんは無事なんだよね?」
「ああ、倉庫におる。で、かがなはどないするんや。まだこっちにおるつもりか」
「あなた達3人が心配で。お手伝いしてあげるよ」
「ガキに心配されるほど落ちぶれとらん」
「ガキじゃないし!」
「そっちの依頼主はどうするんや」
「死んだって伝える、金はしっかり貰う」
「お前に聞きたいことがある、蝙蝠、シカリオってなんや?」
「立ち話もなんや、とりあえず事務所戻るか」
真島の後ろを付いていく。2階に上がった奥の部屋が事務所のようだ。
真島が事務所のドアを開けて入ると室内からタバコの香りが鼻をかすめた。
入ってすぐ右に作業台があり、部屋の奥はパーテーションで区切られて見えないが、ソファがあり寛げるスペースになっているようだ。
真島はそのパーテンションを超えた辺りでぴたりと立ち止まる。
「さ、佐川はん……」
「よぉ、邪魔してるよ」
佐川と聞いて体が反応した。どこから湧いて出たのか。真島の雇い主が事務所に顔を出していた。サシで会う分には構わないが、真島と一緒にいるのはマズイ。
佐川と会ったとき、真島と既に会っていたことは話していなかったはずだ。
「いつから、ここに……?」
「サツが店に入ったすぐ後だ。にしてもずいぶん騒がしかったなあ。え?」
「……」
「それより真島ちゃよぉ……お前、仕事終えたら電話しろっつったろ?」
「仕事?」
「マキムラマコトだ、殺ったんだろ?ニュースで見たよ。蒼天堀に浮かべるなんて派手じゃないの。何ですぐ連絡してこなかった、ホウレンソウはどうした」
「うっかりしてたんや、これから連絡するとこやった」
「ふぅん……うっかりねぇ。でも妙なんだよな、例の女の死体……。俺ぁ、腑に落ちねんだよ。なんでわざわざ死体の顔潰したの?そのくせ死体にゃ、女の働き先の服着せたままだ。死体の身元隠してえのか、隠したくねえのか、よくわからねえじゃねえか」
佐川の言うとおりよく考えればわかることだった。計画が甘すぎた。
「……人殺したんは初めてやったんや、自分でもよう覚えとらん」
「気が動転してたって?ま、そういうこともあるかな?」
「どうでもええやろ!それより仕事は済んだんや、これで東城会に戻れるっちゅう約束やったで。嶋野の親父にナシつけてくれるんやろな?」
真島は会話をしながら、佐川に気づかれないよう“今の内に出ていけ”と私に手で合図をしている。足音を立てないようにゆっくりと後ろに下がりながらドアノブを握った。
「その前にもう一つ聞きてえ。さっき店で暴れてた男、あいつと何もめてたんだ?あいつは西谷って男でな、あれでも俺と同じ近江連合の直参だ。鬼人会ってな」
「近江連合の?」
「ああ、近江ん中にもいろいろあるがよ、鬼人会は他の誰かともつるまねえ跳ねっ返りだ。どこの縄張りだろうと好き勝手やらかす、蒼天堀のトラブルメーカーってやつだ。ま、俺は嫌いじゃねえよ?ただ、その鬼人会がなんでお前にちょっかい出してきてんだ?連中と何があった?」
「店ん中で暴れただけや、ええ酒飲み慣れなかったんとちゃうか?」
「そっか、まあ西谷のやりそうなことではあるか。ならいいんだが……なんでシカリオちゃんまでいたのかねえ?」
カランカラン
机の上に置いてあった消臭スプレー缶が倒れて床に転がった。シカリオという名前に反応してしまった私は足を作業台にぶつけてしまったのだ。
ゆっくり真島を見ると呆れた顔をしている。
「ん?なんだ?」
「……缶が倒れただけや」
佐川はパーテーションから顔を覗かせる。
「はぁん、もしかしてずっといたの?ん?真島」
「……」
「盗み聞きは良くないよシカリオちゃん」
もう逃げても仕方がない。
ドアノブから手を離し、真島と佐川の元へ歩み寄る。
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