運命の邂逅【女主】
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深夜の蒼天堀。
さっきから後をつけられている。
真島が雇い主に「監視されている」と言っていたことを思い出した。雇い主とは佐川のことだが、私にまで監視の手が及んでいるのかもしれない。
倉庫に戻るのはやめて、適当なホテルで一夜を過ごした。
翌日、ホテルの近くにあったラーメン屋で食事を取ることにした。腹が減ってはなんとやら。これを食べたら真島に会いに行こう。カウンターに座りラーメンを待っていると、テレビからニュースが流れた。
『今日未明、蒼天堀川で発見された若い女性の遺体は身に着けていた衣類などから、マキムラマコトさん20歳とみられます。遺体は損傷が激しく、大阪府警はマキムラさんがなんらかのトラブルに巻き込まれた殺人事件であると断定、捜査本部を設置し遺体発見現場の周辺を重点的に捜査するということです』
「は!?」
私の大きな声に周りの客が振り返る。
作戦が実行されていた。
真島がやった?いや、正直真島がやったとは思えなかった。追い詰められた人間は突拍子もない行動に出るが、彼の『流儀』はそんな簡単に崩れるものではないと思う。とするなら、他に実行できるものは李しかいない。
「お待たせしました、ラーメンです」
「ごめんなさい!お金は払います!お釣りいらないです!」
丁度出てきたラーメンに一口も触れず、1000円をカウンターに置いて速攻で店を出た。
昨日から監視が続いている気がするが、辺りを見ても姿は見えないままだ。もう倉庫には行かない方がいいかもしれない。
とりあえずグランドに行ってみることにする、真島が気がかりだ。
グランドに来てみたが、まだ営業時間ではない。そっと入り口のドアを開けて覗いてみる。すると、こちらに気付いた店長が足早に駆け寄ってきた。
「お客様、申し訳ありません。まだ営業しておりませんでして」
「客じゃないんですけど、真島います?」
「真島ですか?いえ、まだ……」
店の奥を見ると、営業時間外のはずなのにどんちゃんと騒がしい男がいる。ここのキャストである女性を両脇に抱え高らかに笑っていた。
「ただいま貸し切りでして」
「営業前なのにですか?」
「ええ……特別なお客様でして」
「ふーん」
半開きにしていたドアが勢いよく開いた。振り向くと、それは探していた真島だった。
「真島!?」
「なんでかがながここにおるんや、もう帰れ言うたやろ」
「お疲れ様です、支配人。今お客様が来店しておりしまして、その……大金を出されたもので断れず……」
「俺が対応する、お前は事務所におっとけ」
「は、はい……」
「ちょっと真島、ニュース見た!?あれどういうこと!?」
「あいつや」
真島の目線の先には、さっきから楽しそうに騒いでいる男だ。
「あれ誰?」
「今から確かめる」
カツカツと男の元へ歩いてく真島の後ろを私も付いていった。
「アカン、ワシのも揉んでえな!」
「えーどうしようかなぁ?」
「幾ら払えば揉んでくれるん?」
「んー1分1万かな?」
「なら100分で100万円や!」
「ウフフ!」
キャストの胸を揉みしだきながら、酒をグビグビと飲む男は上機嫌に手持ちから札束を机に投げ捨てた。
「当店はみだらな行為は禁止です、お客様」
「支配人……!」
現れた真島を見てキャストは慌てて男から離れる。支配人の登場で一気に空気が張り詰めた。
「ほう……あんたが真島君かいな。堅いこというなやぁ、場がシラけてもうたやんか」
「ですが、それが当店のルールです」
「ハイハイ、そらえろうすいませんでしたぁ。支配人怖いな?なぁ?」
キャストらの顔を覗きながら男は問うが皆目を逸している。
「当たり前や。他の客の迷惑になるような真似されて、支配人として見過ごせるわけないやろ」
「ちゃうねんってー!そない乱暴なことせんわぁ。これでもちゃあんとスジ通してまっせ?実はお店の人に頼んで、“貸切”にしてもろうたんや」
男が顎で差した方を見てみると、テーブルの向かいに札束が山のように積まれてあった。確かに貸し切れる金額だけはあるが、現実味のなさすぎる量に、この男がカタギではないことは明白だった。
男は陽気な表情から一変。キャスト達を手で払い除けると、彼女達は次々と席を外していった。
「ワシらの会話、他のモンに聞かれたないやろ思てな、人払いしといたんや。これでも気使うてるんやでぇ?まあまあ、座ったら?たまには自分の店で飲むんもええもんとちゃうか?」
真島は男の言うとおりに向かいに座る。
「姉ちゃんも座りいな、ワシの隣に来てくれてええんやで?」
この男は生理的に受け付けない。返事をせずに真島の後ろから動かないでいると、真島が話を切り出した。
「何モンや?」
「姉ちゃんが隣に座ってくれんと、気が乗らへんわぁ。はよおいでやぁ」
「ここでいい」
「へー!シカリオちゃんって喋るんかいな!」
「私のこと知ってるってことは……」
「ワシはなぁ、近江連合で五代目鬼仁会会長やっとる西谷っちゅうもんや」
「鬼仁会?」
「こっちのほしいもんはわかっとるやろ?真島君。マキムラマコトちゃん……あの娘どこに隠しとんのや?」
真島は無言で男をじっとみつめている。
さっきから後をつけられている。
真島が雇い主に「監視されている」と言っていたことを思い出した。雇い主とは佐川のことだが、私にまで監視の手が及んでいるのかもしれない。
倉庫に戻るのはやめて、適当なホテルで一夜を過ごした。
翌日、ホテルの近くにあったラーメン屋で食事を取ることにした。腹が減ってはなんとやら。これを食べたら真島に会いに行こう。カウンターに座りラーメンを待っていると、テレビからニュースが流れた。
『今日未明、蒼天堀川で発見された若い女性の遺体は身に着けていた衣類などから、マキムラマコトさん20歳とみられます。遺体は損傷が激しく、大阪府警はマキムラさんがなんらかのトラブルに巻き込まれた殺人事件であると断定、捜査本部を設置し遺体発見現場の周辺を重点的に捜査するということです』
「は!?」
私の大きな声に周りの客が振り返る。
作戦が実行されていた。
真島がやった?いや、正直真島がやったとは思えなかった。追い詰められた人間は突拍子もない行動に出るが、彼の『流儀』はそんな簡単に崩れるものではないと思う。とするなら、他に実行できるものは李しかいない。
「お待たせしました、ラーメンです」
「ごめんなさい!お金は払います!お釣りいらないです!」
丁度出てきたラーメンに一口も触れず、1000円をカウンターに置いて速攻で店を出た。
昨日から監視が続いている気がするが、辺りを見ても姿は見えないままだ。もう倉庫には行かない方がいいかもしれない。
とりあえずグランドに行ってみることにする、真島が気がかりだ。
グランドに来てみたが、まだ営業時間ではない。そっと入り口のドアを開けて覗いてみる。すると、こちらに気付いた店長が足早に駆け寄ってきた。
「お客様、申し訳ありません。まだ営業しておりませんでして」
「客じゃないんですけど、真島います?」
「真島ですか?いえ、まだ……」
店の奥を見ると、営業時間外のはずなのにどんちゃんと騒がしい男がいる。ここのキャストである女性を両脇に抱え高らかに笑っていた。
「ただいま貸し切りでして」
「営業前なのにですか?」
「ええ……特別なお客様でして」
「ふーん」
半開きにしていたドアが勢いよく開いた。振り向くと、それは探していた真島だった。
「真島!?」
「なんでかがながここにおるんや、もう帰れ言うたやろ」
「お疲れ様です、支配人。今お客様が来店しておりしまして、その……大金を出されたもので断れず……」
「俺が対応する、お前は事務所におっとけ」
「は、はい……」
「ちょっと真島、ニュース見た!?あれどういうこと!?」
「あいつや」
真島の目線の先には、さっきから楽しそうに騒いでいる男だ。
「あれ誰?」
「今から確かめる」
カツカツと男の元へ歩いてく真島の後ろを私も付いていった。
「アカン、ワシのも揉んでえな!」
「えーどうしようかなぁ?」
「幾ら払えば揉んでくれるん?」
「んー1分1万かな?」
「なら100分で100万円や!」
「ウフフ!」
キャストの胸を揉みしだきながら、酒をグビグビと飲む男は上機嫌に手持ちから札束を机に投げ捨てた。
「当店はみだらな行為は禁止です、お客様」
「支配人……!」
現れた真島を見てキャストは慌てて男から離れる。支配人の登場で一気に空気が張り詰めた。
「ほう……あんたが真島君かいな。堅いこというなやぁ、場がシラけてもうたやんか」
「ですが、それが当店のルールです」
「ハイハイ、そらえろうすいませんでしたぁ。支配人怖いな?なぁ?」
キャストらの顔を覗きながら男は問うが皆目を逸している。
「当たり前や。他の客の迷惑になるような真似されて、支配人として見過ごせるわけないやろ」
「ちゃうねんってー!そない乱暴なことせんわぁ。これでもちゃあんとスジ通してまっせ?実はお店の人に頼んで、“貸切”にしてもろうたんや」
男が顎で差した方を見てみると、テーブルの向かいに札束が山のように積まれてあった。確かに貸し切れる金額だけはあるが、現実味のなさすぎる量に、この男がカタギではないことは明白だった。
男は陽気な表情から一変。キャスト達を手で払い除けると、彼女達は次々と席を外していった。
「ワシらの会話、他のモンに聞かれたないやろ思てな、人払いしといたんや。これでも気使うてるんやでぇ?まあまあ、座ったら?たまには自分の店で飲むんもええもんとちゃうか?」
真島は男の言うとおりに向かいに座る。
「姉ちゃんも座りいな、ワシの隣に来てくれてええんやで?」
この男は生理的に受け付けない。返事をせずに真島の後ろから動かないでいると、真島が話を切り出した。
「何モンや?」
「姉ちゃんが隣に座ってくれんと、気が乗らへんわぁ。はよおいでやぁ」
「ここでいい」
「へー!シカリオちゃんって喋るんかいな!」
「私のこと知ってるってことは……」
「ワシはなぁ、近江連合で五代目鬼仁会会長やっとる西谷っちゅうもんや」
「鬼仁会?」
「こっちのほしいもんはわかっとるやろ?真島君。マキムラマコトちゃん……あの娘どこに隠しとんのや?」
真島は無言で男をじっとみつめている。