間話 掟と話し合いと…集合?
「この度の件──ザードが他国の娘、アテナへ婚約を申し込んだ事についての是非を女神に問い、言葉を賜ってきた。これは当事者二人だけの問題ではなく、次期王位継承者である全員…いや、今後の王家にも関わってくる事柄だ。一言一句聞き逃しが無いように」
全員の視線がナルセスに集まる。
アテナの鼓動が最高潮に高鳴り、固唾を飲む。瞬きをする余裕もない。
──しかし、次の言葉がなかなか紡がれない。
もったいぶってる…という訳でもなく、ナルセスは言葉を選んでいるような素振りだ。眉間の皺をより深くし、先程の威厳ある凛とした様子から一変、溜め息なのか口ごもっているのかよく分からない口調でようやく話し始めた。
「…短刀直入に女神の言葉をそのまま伝える事にする。女神はこう仰った『別に慌てる必要はない。問題なし!現状維持で大丈夫!』だそうだ」
「?」
アテナは首を傾げた。現状維持とはつまり、今の状態を変えないということだ。
ようするに…法も変えない、アテナをそのまま武国に置いておいてOK、婚約もOK!という事になる。
それでは色々と矛盾してしまうのではないだろうか?
「父上、説明を」
一同の心中をフェルナンドが代弁してくれた。説明をしてくれなければ意味が分からない。
ナルセスは目を伏せて、溜め息混じりに頷いた。
「……女神は『法律は元から二人のような関係を禁止していない。言ってなかったっけ?』と言われた」
ナルセスは手にしていた一枚の紙を拡げ、一同に見せた。
紙には
『1:大陸の娘であること
2:二人の王子が同じ国の娘と結婚してはならない
(ようするに組み合わせがバラバラになるように)
3:王子が認めた者であること
4:王子に認められた家柄である事。』
と書かれていた。
覗きこんだフェルナンドは、2が修正された文字の上に書かれている事に気付いた。
「これは…」
「…法律改正書だ…私がこの度の件を進言した時、女神は慌ててこの法律証を取り出して筆記していた。明らかにあの時修正したのだろう…女神は王妃の条件を変えてしまったのだ…あの場あの瞬間」
一同は目が点になってしまった。
「彼女はバレていないと思ってやったのだろうが…こんな、重大な事を、何故あんなにも、軽率に…!」
ナルセスは頭を抱えた。
…彼とて不本意なのだろう。易々と法を変えられてしまったのだ。法の番人としては天と地がひっくり返ってしまうようなことだ。
「…えーと…」
困惑する空気を振り払い、アテナはおずおずと口を開いた。
「……あの、ようするに、その…私は、ザード様の側にいて良いって事、ですか?」
そう、結論だ。経緯は何であれ、結論を聞かなければならない。
ナルセスは頭を抱えたまま頷いた。
「……ああ」
女神とは五つ国の森羅万象である。
彼女がピンクと言えば、黒色は全てピンクになってしまう。
天が地と言えば、天と地は入れ替わり、地上は空になる。
「女神の決められた事だ。君が、ザードの妻になることを認めよう」
女神が良いと言えば、数百年守られた事であろうとそれは五つ国の掟となる。
全員の視線がナルセスに集まる。
アテナの鼓動が最高潮に高鳴り、固唾を飲む。瞬きをする余裕もない。
──しかし、次の言葉がなかなか紡がれない。
もったいぶってる…という訳でもなく、ナルセスは言葉を選んでいるような素振りだ。眉間の皺をより深くし、先程の威厳ある凛とした様子から一変、溜め息なのか口ごもっているのかよく分からない口調でようやく話し始めた。
「…短刀直入に女神の言葉をそのまま伝える事にする。女神はこう仰った『別に慌てる必要はない。問題なし!現状維持で大丈夫!』だそうだ」
「?」
アテナは首を傾げた。現状維持とはつまり、今の状態を変えないということだ。
ようするに…法も変えない、アテナをそのまま武国に置いておいてOK、婚約もOK!という事になる。
それでは色々と矛盾してしまうのではないだろうか?
「父上、説明を」
一同の心中をフェルナンドが代弁してくれた。説明をしてくれなければ意味が分からない。
ナルセスは目を伏せて、溜め息混じりに頷いた。
「……女神は『法律は元から二人のような関係を禁止していない。言ってなかったっけ?』と言われた」
ナルセスは手にしていた一枚の紙を拡げ、一同に見せた。
紙には
『1:大陸の娘であること
2:二人の王子が同じ国の娘と結婚してはならない
(ようするに組み合わせがバラバラになるように)
3:王子が認めた者であること
4:王子に認められた家柄である事。』
と書かれていた。
覗きこんだフェルナンドは、2が修正された文字の上に書かれている事に気付いた。
「これは…」
「…法律改正書だ…私がこの度の件を進言した時、女神は慌ててこの法律証を取り出して筆記していた。明らかにあの時修正したのだろう…女神は王妃の条件を変えてしまったのだ…あの場あの瞬間」
一同は目が点になってしまった。
「彼女はバレていないと思ってやったのだろうが…こんな、重大な事を、何故あんなにも、軽率に…!」
ナルセスは頭を抱えた。
…彼とて不本意なのだろう。易々と法を変えられてしまったのだ。法の番人としては天と地がひっくり返ってしまうようなことだ。
「…えーと…」
困惑する空気を振り払い、アテナはおずおずと口を開いた。
「……あの、ようするに、その…私は、ザード様の側にいて良いって事、ですか?」
そう、結論だ。経緯は何であれ、結論を聞かなければならない。
ナルセスは頭を抱えたまま頷いた。
「……ああ」
女神とは五つ国の森羅万象である。
彼女がピンクと言えば、黒色は全てピンクになってしまう。
天が地と言えば、天と地は入れ替わり、地上は空になる。
「女神の決められた事だ。君が、ザードの妻になることを認めよう」
女神が良いと言えば、数百年守られた事であろうとそれは五つ国の掟となる。