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間話 掟と話し合いと…集合?

「何を騒々しくしている」
その時、執務室に緊張が走った。
低く静かな声が響くと同時に、乱れのない足音が室内に入ってくる。アテナはその声と音を聞き、何故か固まってしまった。

「何故扉が壊さ…室内も荒れているが、それは後程にしておく……『アテナ』…とは君の事か」
「は、はい…」
唐突に目の前に現れた男性に名前を呼ばれ、アテナの声は裏返った。
ザードと初めて会った時の緊張とは違う。体ではなく、心臓が押し潰されそうな感覚に襲われてしまう。

「私は知の国ケフラー王、ナルセス。法の番人として、今から君の処遇を言い渡す」

男性──フェルナンドの父にして、五つ国の知と秩序を司るケフラーの国王ナルセスはアテナをまっすぐ見据えた。
国王らしく乱れ一つない清潔な服装に、薄い金髪をオールバックにしている。深く刻まれた眉間の皺と鋭い視線。身長自体は他の国王に比べて小柄だが、威圧感に関しては誰よりもあり、息子と同じ青い瞳で見つめられると身が竦んでしまう位怖かった。
──女神との謁見が終わり、戻ってきたようだ。
腕を組み、アテナを含め部屋にいる全員を見渡す。

アテナは怖かった。ナルセスの威圧感も怖かったが、自分がこれからどうなってしまうのかという恐ろしさがあった。
自分はザードを愛している。だから傍にいたい。それが罪に問われたとしても…
けれどもそれは許されない事だ。彼は国を背負う立場であり、己の意思だけではどうにも出来ない事が多くある。
ザードと離れてしまうのが辛い。怖い。悲しい。
もし、女神に慈悲があるのならば、せめてザードの傍にいる事だけは許されたい。

アテナは震える手を抑え、意を決したようにナルセスへ顔を向けて言葉を待った。
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