間話 掟と話し合いと…集合?
扉は吹き飛び、室内の机上に乗り上げスライドし椅子を倒す。幸いアテナはラルゴによって、リーフとヒイラギもレオによって横に退避出来ていたので怪我はなかった。
「アテナ!無事か?!」
「ザ…ザード様!?」
目を丸くして確認すると、机に乗り上げたドアの上にザードが怖い顔で仁王立ちしていた。どうやら跳び蹴りして破壊したらしい。
部屋の外、廊下を見ると息を切らせたフェルナンドが驚愕した顔で立っている。
続いてその様子を楽しげに見つめているアレフと呆れ顔のヒサギ、苦笑したサルゴンも見えた。
「遅くなった!助けに来たぞ!」
「た、助けに…?」
「馬鹿者!!そこから降りろ!」
アテナの困惑を遮るように、フェルナンドが入室し怒鳴った。
「今は国王が話し合いをしているのだぞ!その邪魔をするなど我らとて許される事ではない!すぐに退室しろ!──王各位におきましては、勝手な行動失礼致しました。この件はバ……ザードを止める事を出来なかった我等の責任です。すぐに退室致しますので、しばし時間を頂きたく……ザード!行くぞ!」
フェルナンドは深々と頭を下げ、ザードを睨んだ。しかし、ザードはそれを睨み返す。
「っるせーな!好きにして何が悪い?!ここは俺の国で俺の城!そして俺のアテナが連れ去られて黙ってられるか!」
「貴様は次期王位継承者であって、武国も城も所有権はレオ王のものだ!そしてアテナ嬢は工国民!ヒイラギ王に身柄の権利がある!」
「こまけぇ!」
「とにかく机から降りろ!」
「うるせぇ!」
ザードとフェルナンドの言い合いは止まらない。正論も暖簾に腕押しのようだ。
「で?こっちはどこまで話し合えたの?」
そんな光景に飽きたのか、無事だった椅子にアレフがいつの間にか腰掛けていた。足も組んで我が物顔だ。
「こっちはねぇ、アテナちゃんと恋バナしてたんだよ~愛だね、愛!うんうん!愛って素晴らしいね!」
「ふーん、そっか」
ハイテンションなリーフとは親子のはずだが、息子は逆にダウナーなようだ。アレフはリーフの言葉を適当にあしらい、他の王へ視線を送った。
「…今回の件に関して、我らはザードとアテナの気持ちを尊重したいと思っている…が、やはり法がアレだと文句…意見が上がったのでな…今、ナルセスが女神に謁見している。……ところでザードが破壊したドアの修繕費はいくらになるだろうか…?」
「だな。このまま事が運べばキルティー領の不祥事関係も全部有耶無耶に出来る。俺としては面倒事が少なくなった方が良い。婚約者探しはヒサギが自分でどうにかしろ。……アホが半壊させた部屋の修理費も含めて金を五グロスってとこだな」
「恋だの愛だの、ほんまどうでもええ。さっさと終わらせて帰りたいんやが。こちとら仕事が山ほど残ってん」
国王それぞれ思う所はあるようだが、ザードとアテナの事は認めて動いてくれているようだ。とても有難い。…ヒイラギ王の言った事は気になるが…
「女神?女神まで動いてるのか?ま…まあ、そうだな、そうなるよな。法を変えるって事だもんな……やっぱりザードでも無理なんじゃね?」
「…側室が一番良いと思うんだけど」
「うーん……オラは何も分かんね。そういう事あんま考えた事ねし」
アテナがホッとしていると、ヒサギとサルゴンも入室し話に加わった。こちらはこちらで考えていたり、いなかったりだ。
「女神まで話が通ったのならば、もう結論は出ているも同然!」
ザードと口論していたフェルナンドが唐突に机を叩いた。
「王妃の条件とは、五つ国存続の重要な"理"だ。女神がその均衡を崩すはずがない──ザード、いい加減降りて認めろ。彼女は工国へ返還し、キルティー領の不祥事案件の証人とする。そうせねばならない」
「…理なんざ関係ない」
「自覚しろ。お前は武国を背負う責任…いや、五つ国の平穏を護る使命がある。誰も傷付かない未来を作るには仕方のない事もあるのだ……辛い選択もしなければならない」
「……」
耳が痛くなるほどに言い合いをしていた二人は沈黙した。
"理"
それはすなわち"不変"であり、変わる事が許されない"世のルール"だ。
たとえ自分達が変わりたいと願ったとしても変わらない、変える事が出来ない。
だからどんなに「好き」という感情があったとしても、結ばれる事は"不可能"なのだ。
アテナは俯き、泣きそうになるのを堪えた。
「アテナ!無事か?!」
「ザ…ザード様!?」
目を丸くして確認すると、机に乗り上げたドアの上にザードが怖い顔で仁王立ちしていた。どうやら跳び蹴りして破壊したらしい。
部屋の外、廊下を見ると息を切らせたフェルナンドが驚愕した顔で立っている。
続いてその様子を楽しげに見つめているアレフと呆れ顔のヒサギ、苦笑したサルゴンも見えた。
「遅くなった!助けに来たぞ!」
「た、助けに…?」
「馬鹿者!!そこから降りろ!」
アテナの困惑を遮るように、フェルナンドが入室し怒鳴った。
「今は国王が話し合いをしているのだぞ!その邪魔をするなど我らとて許される事ではない!すぐに退室しろ!──王各位におきましては、勝手な行動失礼致しました。この件はバ……ザードを止める事を出来なかった我等の責任です。すぐに退室致しますので、しばし時間を頂きたく……ザード!行くぞ!」
フェルナンドは深々と頭を下げ、ザードを睨んだ。しかし、ザードはそれを睨み返す。
「っるせーな!好きにして何が悪い?!ここは俺の国で俺の城!そして俺のアテナが連れ去られて黙ってられるか!」
「貴様は次期王位継承者であって、武国も城も所有権はレオ王のものだ!そしてアテナ嬢は工国民!ヒイラギ王に身柄の権利がある!」
「こまけぇ!」
「とにかく机から降りろ!」
「うるせぇ!」
ザードとフェルナンドの言い合いは止まらない。正論も暖簾に腕押しのようだ。
「で?こっちはどこまで話し合えたの?」
そんな光景に飽きたのか、無事だった椅子にアレフがいつの間にか腰掛けていた。足も組んで我が物顔だ。
「こっちはねぇ、アテナちゃんと恋バナしてたんだよ~愛だね、愛!うんうん!愛って素晴らしいね!」
「ふーん、そっか」
ハイテンションなリーフとは親子のはずだが、息子は逆にダウナーなようだ。アレフはリーフの言葉を適当にあしらい、他の王へ視線を送った。
「…今回の件に関して、我らはザードとアテナの気持ちを尊重したいと思っている…が、やはり法がアレだと文句…意見が上がったのでな…今、ナルセスが女神に謁見している。……ところでザードが破壊したドアの修繕費はいくらになるだろうか…?」
「だな。このまま事が運べばキルティー領の不祥事関係も全部有耶無耶に出来る。俺としては面倒事が少なくなった方が良い。婚約者探しはヒサギが自分でどうにかしろ。……アホが半壊させた部屋の修理費も含めて金を五グロスってとこだな」
「恋だの愛だの、ほんまどうでもええ。さっさと終わらせて帰りたいんやが。こちとら仕事が山ほど残ってん」
国王それぞれ思う所はあるようだが、ザードとアテナの事は認めて動いてくれているようだ。とても有難い。…ヒイラギ王の言った事は気になるが…
「女神?女神まで動いてるのか?ま…まあ、そうだな、そうなるよな。法を変えるって事だもんな……やっぱりザードでも無理なんじゃね?」
「…側室が一番良いと思うんだけど」
「うーん……オラは何も分かんね。そういう事あんま考えた事ねし」
アテナがホッとしていると、ヒサギとサルゴンも入室し話に加わった。こちらはこちらで考えていたり、いなかったりだ。
「女神まで話が通ったのならば、もう結論は出ているも同然!」
ザードと口論していたフェルナンドが唐突に机を叩いた。
「王妃の条件とは、五つ国存続の重要な"理"だ。女神がその均衡を崩すはずがない──ザード、いい加減降りて認めろ。彼女は工国へ返還し、キルティー領の不祥事案件の証人とする。そうせねばならない」
「…理なんざ関係ない」
「自覚しろ。お前は武国を背負う責任…いや、五つ国の平穏を護る使命がある。誰も傷付かない未来を作るには仕方のない事もあるのだ……辛い選択もしなければならない」
「……」
耳が痛くなるほどに言い合いをしていた二人は沈黙した。
"理"
それはすなわち"不変"であり、変わる事が許されない"世のルール"だ。
たとえ自分達が変わりたいと願ったとしても変わらない、変える事が出来ない。
だからどんなに「好き」という感情があったとしても、結ばれる事は"不可能"なのだ。
アテナは俯き、泣きそうになるのを堪えた。