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間話 掟と話し合いと…集合?

五つ国の城には必ず一つ、王達が話し合いで使う執務室がある。
室内は王族以外の出入りを禁止しており、アテナもこの部屋のみは掃除にさえ入ったことがない程だ。
しかし──

「さぁ、お姫様。美味しいケーキに紅茶をどうぞ」
「え、あ、はい…」

何故、今その執務室内でアテナはケーキとお茶を出されているのか…?

五人の王子と話していたら、突然現れた美しすぎる吟遊詩人と踊り、唐突に抱き抱えられ、気が付いたら執務室に到着し、席に座らせ、
「今日は五つ星パティスリー、ラ・リーベのクレームダンジュを用意させたよ。紅茶はクレームダンジュのフルーツソースの甘さを引き立てるように爽やかなニルギリにしたんだ」
…今に至る。
目の前に出されたチーズケーキと紅茶はとても美味しそうだが、困惑が勝ってしまい、動く事が出来ない。
というか、吟遊詩人が笑顔でガン見してきて恐怖を感じてしまっている。

「…アテナ、気にせず食べるといい…そいつなりの気遣いだ」
「レオ様」
アテナは前に座っていたレオを見て、少しだけ安心した。
執務室は国王の話し合いに使われる。王子も集められていたという事は勿論王も集合して、この執務室で話し合っているのだ。
アテナが改めて周りを見回すと、机に足を乗せて気怠そうにしている工国王のヒイラギと麦わら帽子を顔に乗せて寝ている作業着の男性を確認できた。寝ている方は恐らくいつも食料を届けてくれるサルゴンの父親…農国王だろう。
こう思うのも失礼かもしれないが、どちらもあまり国王に見えない…とアテナは少々引いてしまった。

「ああ、アテナちゃん。緊張しているのかな?ヒイラギとラルゴくらいリラックスしろとは言わないけれど、肩の力を抜いて。そして君の本音を、愛の声を聞かせておくれ?ね?ね??」
「え、え、ふえ」
「リーフ、あまりアテナを混乱させないでやってくれ…」
「あはは、そっか。はぁーい」
アテナの横にいた吟遊詩人は、また唐突に距離を詰めてきたがレオの言葉で一歩身を引き、優雅に一礼をした。
「混乱させてごめんね。僕はリーフ。愛と自由の吟遊詩人のリーフさん。よろしくね、アテナちゃん」
「愛と自由…?」
「そいつの言うことを真に受けんな。ネジが全部吹っ飛んで失くなってるんだ」
工王ヒイラギは気怠そうに言いつつ、一度伸びをして机から足を下ろした。
「その様子だと知らないようだから言っておくが…そいつは創国ティファレトの国王リーフ。頭がイカレているから、まともに受け取ってると疲れるだけだぞ。無視しておけ」
「えぇ!!酷い!僕をこんな体にしておいて…酷い!酷いわっ!よよよ…もう知らない、レオと浮気するもん!レオ~なでなでしてぇ~」
「…よしよし」
「ほらな」
テンションのおかしい吟遊詩人…改め、創国ティファレト国王リーフは泣き真似をしつつレオに縋りつくと、ヒイラギは肩を竦めた。

白銀の髪と綺麗な外見で何となく察していたが、あの初対面でいきなり頬にキスをしてきたアレフの父親だと言われると納得できた。創国の人は行動が突拍子もないようだ。
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