間話 掟と話し合いと…集合?
「そもそも、何故王子の妻になる者に条件があるのか…理解しているだろうか?」
フェルナンドは座る三人を鋭い視線で見回すと、答えを待たずに続けた。
「自領土の女性を娶るのはそれぞれの国の血を薄めぬようにする為。王に認められた家系の者を選ぶのはより優れた子へ国を継がせる為。全ては国の安定の為の掟なのだ」
言い終わると、フェルナンドはアテナへ言い聞かせるように見つめ、溜め息を吐いた。
「どちらにも当てはまらない貴女は、到底認められない。この掟を破れば国が傾くのだ。一つの国が傾けば、残りの国も崩れる。…根本から説明しよう。五つの国はそれぞれ司る"理"があるのだ。武国は守護と武力を司り、国王は五つ国の人々の"力を使う理性"を抑える楔となっている。王が空席になれば、その楔が外れ、民は抑制が出来なくなり、武力を犯罪に使い始める。…ようするに、劣性の子が生まれてしまうと、以後子孫が武の国を治めるのが困難になり、王座が空席になってしまう可能性が高まってしまうのだ。そうなると、ドミノ倒しのように各国が不安定となってしまう…理解は出来たか?」
──アテナは一般的な常識をあまり知らない。しかし、今フェルナンドが言った事は理解は出来た。
武国の城では小さな喧嘩は日常茶飯事だ。兵士同士お互いの武器を振り回して椅子や机を壊したりしている。そんな喧嘩を毎度のように止めているのが、国王のレオだ。
言葉で納める時もあれば、力を使う事も多々ある。レオはどんな相手や武器、人数であろうとすんなりと兵士たちを黙らせてしまう。
──そういう事なのだろう。
武国の屈強な戦士達は国王の"力"によって抑えられている。だから、アテナは今まで工国の森の塔でのほほんと暮らしてこられたのだ。それどころではない。五つ国が"現状"を保てているのも王が居るからに他ならない。
そんな武国王の力少しでも弱めれば…きっと腕に自信のある者達は他国でも武器を奮い始めるだろう。
"自分の存在が五国を壊す"
アテナはその言葉が言葉だけではなく、事実なのだと胸が苦しくなった。
「話はそれだけか」
アテナが俯くと同時に隣に座っていたザードが、鼻で笑った。
「さっぱり理解出来なくて欠伸が出たぜ。ようするに、弱ければ鍛えりゃいい。馬鹿共が暴れ始めたらぶん殴ればいい。そういう事だろ」
ザードは一回そこで止めると、いきなりアテナの肩を引き寄せた。
「ぐちぐちと何を言われようと、アテナはもう俺様の物だ」
「…ザード様」
ザードの瞳には全くの迷いがなく、揺ぎ無い意思でフェルナンドを睨みつけた。
鋭い視線が重なり、一拍置いて、もう何度目かになる溜息を吐きながらフェルナンドは再び口を開いた。
「ザード、貴様の言い分は分かった。貴様は昔から自分中心で…周りの迷惑を考えずに行動する直情型だ。だが、今回ばかりは見過ごす事は出来ない。…よく考えてみろ。貴様がその娘を妻にしたならば、ヒサギの妻はどうなる?同じ国の血は二つも必要ない。工国に滅べと言っているようなものだ」
王族の妻となる者の掟には『王が支配する領土の娘』というものがある。よって、妻となる娘が他国の者ではならない、と同時に被りも駄目なのだ。
仮にザードとアテナが無理やりにでも結ばれたとしたら、工国の王子であるヒサギは妻を娶る事が出来なくなる。
アテナがチラリとヒサギを見ると、彼は不機嫌そうな表情をしていた。
フェルナンドは座る三人を鋭い視線で見回すと、答えを待たずに続けた。
「自領土の女性を娶るのはそれぞれの国の血を薄めぬようにする為。王に認められた家系の者を選ぶのはより優れた子へ国を継がせる為。全ては国の安定の為の掟なのだ」
言い終わると、フェルナンドはアテナへ言い聞かせるように見つめ、溜め息を吐いた。
「どちらにも当てはまらない貴女は、到底認められない。この掟を破れば国が傾くのだ。一つの国が傾けば、残りの国も崩れる。…根本から説明しよう。五つの国はそれぞれ司る"理"があるのだ。武国は守護と武力を司り、国王は五つ国の人々の"力を使う理性"を抑える楔となっている。王が空席になれば、その楔が外れ、民は抑制が出来なくなり、武力を犯罪に使い始める。…ようするに、劣性の子が生まれてしまうと、以後子孫が武の国を治めるのが困難になり、王座が空席になってしまう可能性が高まってしまうのだ。そうなると、ドミノ倒しのように各国が不安定となってしまう…理解は出来たか?」
──アテナは一般的な常識をあまり知らない。しかし、今フェルナンドが言った事は理解は出来た。
武国の城では小さな喧嘩は日常茶飯事だ。兵士同士お互いの武器を振り回して椅子や机を壊したりしている。そんな喧嘩を毎度のように止めているのが、国王のレオだ。
言葉で納める時もあれば、力を使う事も多々ある。レオはどんな相手や武器、人数であろうとすんなりと兵士たちを黙らせてしまう。
──そういう事なのだろう。
武国の屈強な戦士達は国王の"力"によって抑えられている。だから、アテナは今まで工国の森の塔でのほほんと暮らしてこられたのだ。それどころではない。五つ国が"現状"を保てているのも王が居るからに他ならない。
そんな武国王の力少しでも弱めれば…きっと腕に自信のある者達は他国でも武器を奮い始めるだろう。
"自分の存在が五国を壊す"
アテナはその言葉が言葉だけではなく、事実なのだと胸が苦しくなった。
「話はそれだけか」
アテナが俯くと同時に隣に座っていたザードが、鼻で笑った。
「さっぱり理解出来なくて欠伸が出たぜ。ようするに、弱ければ鍛えりゃいい。馬鹿共が暴れ始めたらぶん殴ればいい。そういう事だろ」
ザードは一回そこで止めると、いきなりアテナの肩を引き寄せた。
「ぐちぐちと何を言われようと、アテナはもう俺様の物だ」
「…ザード様」
ザードの瞳には全くの迷いがなく、揺ぎ無い意思でフェルナンドを睨みつけた。
鋭い視線が重なり、一拍置いて、もう何度目かになる溜息を吐きながらフェルナンドは再び口を開いた。
「ザード、貴様の言い分は分かった。貴様は昔から自分中心で…周りの迷惑を考えずに行動する直情型だ。だが、今回ばかりは見過ごす事は出来ない。…よく考えてみろ。貴様がその娘を妻にしたならば、ヒサギの妻はどうなる?同じ国の血は二つも必要ない。工国に滅べと言っているようなものだ」
王族の妻となる者の掟には『王が支配する領土の娘』というものがある。よって、妻となる娘が他国の者ではならない、と同時に被りも駄目なのだ。
仮にザードとアテナが無理やりにでも結ばれたとしたら、工国の王子であるヒサギは妻を娶る事が出来なくなる。
アテナがチラリとヒサギを見ると、彼は不機嫌そうな表情をしていた。