第一話 始まりの一織り
その時、ドアの向こうから走る音が聞こえてきた。
「ちっ…意外に早いな」
ヒサギは舌打ちをすると、アテナの腰に手を回し、ひょいっと持ち上げて一気に窓際へ走った。その瞬間、ドアが蹴破られた。
「アテナ!」
「──ザード様」
ドアを蹴破って現れたザードはここまで走ってきたのか、少し呼吸が早い。しかし、それよりも彼は目を丸め、瞬間鋭く睨みつけた。
「ヒサギ…!テメェ、その手を離しやがれっっ!」
ザードは素早く剣を抜くとその勢いでヒサギに襲いかかって来た。
「あぶなっ!」
ヒサギが辛くも一撃目を避けると、本棚や家具もろとも窓際の壁が見事に崩壊した。
「うわっ、相変わらずの馬鹿力…」
「アテナを下ろせ…!」
余裕を見せている口調のヒサギも、瞳は鋭い。ザードもまるで鬼神のような形相で睨みつけている。
「ザード、『布姫』は預けておくって言ったよな?」
「『アテナ』を下ろせってのが聞こえねぇのか!?」
ザードはそう言いつつも、再び剣を構えた。
「借りた物は、返すのが礼儀だろ?そんな事も分からねぇのか脳筋が」
「黙れぇえええ!」
二撃目──ヒサギは飛んだ。
壊された壁から一蹴りし、ザードの剣も避け、空中に身を委ねた。
「や──」
アテナの短い叫びは、すぐにかき消された。
「安心しな。俺が考えなしに飛ぶわけない」
ヒサギは腕のワイヤーを伸ばし、木に巻き付け、勢いを殺すようにくるりと綺麗に一回転すると無事地面に着地出来た。
「確かに返して貰ったぞ、『布姫』を」
ヒサギがザードを見上げると、今にも飛び降りて来そうな気配がした。流石にそれはまずいと、ヒサギは呟き『布姫』を抱えて城外へ走り始めた。
──ザードが何かを叫んでいる。しかしその声もすぐに聞こえなくなり、遠くへと消えた。
「──ごめんなさい…さようなら、ザード様…」
『布姫』は意識を手放しながら、呟いた。
「ちっ…意外に早いな」
ヒサギは舌打ちをすると、アテナの腰に手を回し、ひょいっと持ち上げて一気に窓際へ走った。その瞬間、ドアが蹴破られた。
「アテナ!」
「──ザード様」
ドアを蹴破って現れたザードはここまで走ってきたのか、少し呼吸が早い。しかし、それよりも彼は目を丸め、瞬間鋭く睨みつけた。
「ヒサギ…!テメェ、その手を離しやがれっっ!」
ザードは素早く剣を抜くとその勢いでヒサギに襲いかかって来た。
「あぶなっ!」
ヒサギが辛くも一撃目を避けると、本棚や家具もろとも窓際の壁が見事に崩壊した。
「うわっ、相変わらずの馬鹿力…」
「アテナを下ろせ…!」
余裕を見せている口調のヒサギも、瞳は鋭い。ザードもまるで鬼神のような形相で睨みつけている。
「ザード、『布姫』は預けておくって言ったよな?」
「『アテナ』を下ろせってのが聞こえねぇのか!?」
ザードはそう言いつつも、再び剣を構えた。
「借りた物は、返すのが礼儀だろ?そんな事も分からねぇのか脳筋が」
「黙れぇえええ!」
二撃目──ヒサギは飛んだ。
壊された壁から一蹴りし、ザードの剣も避け、空中に身を委ねた。
「や──」
アテナの短い叫びは、すぐにかき消された。
「安心しな。俺が考えなしに飛ぶわけない」
ヒサギは腕のワイヤーを伸ばし、木に巻き付け、勢いを殺すようにくるりと綺麗に一回転すると無事地面に着地出来た。
「確かに返して貰ったぞ、『布姫』を」
ヒサギがザードを見上げると、今にも飛び降りて来そうな気配がした。流石にそれはまずいと、ヒサギは呟き『布姫』を抱えて城外へ走り始めた。
──ザードが何かを叫んでいる。しかしその声もすぐに聞こえなくなり、遠くへと消えた。
「──ごめんなさい…さようなら、ザード様…」
『布姫』は意識を手放しながら、呟いた。