第二話 未体験の知識
巷では先日の騒動が話題になっているらしい。
当然だ。別国の王子の許嫁へ挙式の場で求婚し、婚約してしまったのだから。話題にならない方がおかしい。
そんな騒動の取材だとかで、自分の所にも何度か記者が訪ねてきた。
しかし、他国民にとって農国民は特徴に乏しく見分けがつかないようで、毎度王子だと認識されずに帰られてしまう。
だから新聞にも自分の証言などが載らず、農国ではあまり騒動が話題に上がらない。
それに農国は新聞はあまり購読しない国民性だ。故に──長閑なものだ。
「ベェエ」
「ぴぃ!!」
…むしろ、空を飛び始めた雛を話題にしてほしい。
それはそれとして、騒動後は少し大変だった。
まずフェルナンドの父親に怒られ、何故かヒサギにも蹴られた。多分ヒサギの病弱な母があまりに刺激的な光景を見たせいで倒れてしまったからだろう。
あと、気付かないうちにザードの頭?を踏んで?しまっていたらしく凄く文句を言われた。
アテナちゃんには感動したと握手を求められた。アレフとアレフ父には何故かダンスに誘われた。何故?
父は頭を抱え、母はニコニコ満足そうに笑っていた。
母曰く自分は父にそっくりらしい。
両親もあんな派手な事をしたのだろうか?
フェルナンドにはお礼と謝罪をしようと探したが、赤髪の女の子と話していて声はかけられなかった。
まぁ、後日キチンとフルーツを山ほどと一緒に言いに行けたので大丈夫だ。
これからもたくさん新鮮なフルーツを持って行こう。それでも感謝しきれないが──自分には他に出来る感謝のやり方はない。
──そういえば、もう日があの時間に近づいている。
軽く体の泥を払う。
髪は…ぐしゃぐしゃ過ぎて直しようがない。
せめて顔は拭いておこう。
「ベェエエ」
ゴンが鳴いた。雛がとことこと走り始め飛んだ。
ああ、来た。小さいのに頑張って走ってくる。
「サルゴン様ーー!!」
手を振って返す。
「シルヴィー」
シルヴィーは一気に走り寄り、勢いそのままにサルゴンへ抱きついた。
二人の笑顔に巷の話なんて関係ないようだ。