第二話 未体験の知識
使用人から話を聞くと、シルヴィーが城を出て避難している間にフェルナンド様側から明日の挙式を申し出てきたらしい。
何故花嫁本人が居ないにも関わらず挙式の日程を唐突な明日に決めてしまったのかは、使用人も両親もよく分かっていないようだったが──
"そういうもの"なのだろう。
相手は王族だ。
一方的な都合で何でも"命令"出来てしまう。
──恐らく知国王族側も焦っているのだ。
武国の王子に工国出身の婚約者が出来、知創武農の四国の中から王妃を娶らねばならない。
そして複数国が同じ国の娘を選んではならない。
有体に単刀直入に言うと"早い者勝ち"だ。
だから、もし他国の王子が知国の娘を王妃に選んだ場合、婚約者が居ようとフェルナンドはシルヴィーもとい知国の娘とは婚姻出来なくなってしまうのだ。
その結果、知王族は一刻も早く知国の娘を娶らなければと焦ってしまっている──というワケだ。
「明日…私はフェルナンド様の妻となる」
薄暗い部屋で、シルヴィーは俯き呟く。
月明かりが差し込み、半身が照らされる。
──彼にも言ったではないか。
『心残りはない』と。
とうとう悲願のフェルナンド様との挙式を上げられるのだ。
嬉しいだろう。だから笑え。笑うんだ。
「…さぁ、笑顔よ。シルヴィー」
シルヴィーは自室の鏡の前に座り、顔を映した。
「幸せの絶頂的な、笑顔だわ……ね?…だから」
肩と口元も強ばって震えている。
「泣いては、ダメよ…」
目を赤くして、必死に涙を堪える自分の顔が、なんだかとても──滑稽だった。
何故花嫁本人が居ないにも関わらず挙式の日程を唐突な明日に決めてしまったのかは、使用人も両親もよく分かっていないようだったが──
"そういうもの"なのだろう。
相手は王族だ。
一方的な都合で何でも"命令"出来てしまう。
──恐らく知国王族側も焦っているのだ。
武国の王子に工国出身の婚約者が出来、知創武農の四国の中から王妃を娶らねばならない。
そして複数国が同じ国の娘を選んではならない。
有体に単刀直入に言うと"早い者勝ち"だ。
だから、もし他国の王子が知国の娘を王妃に選んだ場合、婚約者が居ようとフェルナンドはシルヴィーもとい知国の娘とは婚姻出来なくなってしまうのだ。
その結果、知王族は一刻も早く知国の娘を娶らなければと焦ってしまっている──というワケだ。
「明日…私はフェルナンド様の妻となる」
薄暗い部屋で、シルヴィーは俯き呟く。
月明かりが差し込み、半身が照らされる。
──彼にも言ったではないか。
『心残りはない』と。
とうとう悲願のフェルナンド様との挙式を上げられるのだ。
嬉しいだろう。だから笑え。笑うんだ。
「…さぁ、笑顔よ。シルヴィー」
シルヴィーは自室の鏡の前に座り、顔を映した。
「幸せの絶頂的な、笑顔だわ……ね?…だから」
肩と口元も強ばって震えている。
「泣いては、ダメよ…」
目を赤くして、必死に涙を堪える自分の顔が、なんだかとても──滑稽だった。